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0、元始

“にゃー”


 遠くから音が聞こえる。動物の鳴き声のようだけど、聞いたことのない声だった。


“にゃー”

 

 声が近づき、頬にざらりとした何かが触れる。


(そうだ、僕は崖から落ちて……)


 慣れた道だと気を抜いて、大振りの石に気づかず躓いてバランスを崩し結構な高さから落ちたのだ。

即死してもおかしくない高さだった。

 こうして辛うじて意識があるということは、運がよかったのだろう。それでも小さな体だ、血が流れ過ぎれば失血死してしまう。


(どれくらい経ったのかな…?)


 閉じた瞼に光を感じない。日陰に落ちたのか、もう夜なのか。もし夜なら家族が心配しているかもしれない、妹が泣いていないといいけれど……。

 耳の近くでは相変わらず先ほどの動物が鳴き声を上げている。まるで起きて起きて!と言っているようだ。


(心配してくれてるのかな?まだ、体は動くかな……―――え?)


 どうせ動かないだろうと半ばあきらめつつ、手を持ち上げてみると、予想とは裏腹に何事もなく持ち上がる腕。何故か痛みも一切ない。


(どういうこと?)


 両手両足試しても、かすり傷ほどの痛みもない。

 崖から落ちたのに無傷なんてことがありえるのだろうか?


“にゃーっ”


 エルトが動いたことに気づいたらしい小動物が今度は瞼に触れてくる。それでようやく自分がまだ瞼を開けていないことに気づいたエルトは恐る恐る瞼を開ける。


「君が、助けてくれたの?」


 呟くように口を開けば、にゃー!と視界いっぱいに映る黒い小さな動物が嬉しそうな声を上げた。


コツコツ連載していきたいと思います。

書きためがありますので、更新は早めです。

気長に読んでいただけると嬉しいです。

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