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蒼い華  作者: 桜ノ夜月
9/18

鏡夜は僕の。

玉倉さんのターンです。(キリッ!)

ヤキモチを妬く綺流社くん。

rose13 鏡夜は僕の。

鏡夜と一緒に校門を潜ると、あちこちで黄色い声が上がる。

「鏡夜君だぁ~!」

キャーキャーと騒ぐ声も、鏡夜は特に気にもしてないみたいだ。

でも、すごく可愛い女の子たちが鏡夜の名前を呼ぶと、僕の中でむくむくと嫉妬心が顔を出す。

「鏡夜は僕の!」って、大きな声で主張したくなる。

女の子たちの中の一人が鏡夜に触れた。

むかむかむかっ!

嫉妬心が爆発しそうになる。


「鏡夜はあたしの!」


不意に玉倉さんの声が聞こえた。

少し怒った声で、鏡夜の腕に自分の腕を絡めてぐいぐいと鏡夜を引っ張っていく。

「鏡夜はあたしのだから!もう鏡夜に近付かないで!」

その声を聞いたときに、かあっ、と頭が熱くなって気付いたら思わず叫んでいた。


「違うよ!鏡夜は僕の!」


すると、不意に鏡夜の低くて優しい声が聞こえてきた。

「…良くできました。」

その声は甘くて、熱をもった声だった。

心臓がバクバクする。でも、止められないから。

僕は玉倉さんの所へと歩く。

「…鏡夜は僕のだから。」

「…だから何よ。」

玉倉さんの声に、瞳に刺々しさが加わる。

「鏡夜があんたのだろうと関係無いわ。あたしは…」

玉倉さんが絡めている腕に力を込める。

「あたしは…本気で鏡夜が好きだから。」

「僕だってっ!…僕だって、鏡夜の事が本気で好きだ。」

僕が玉倉さんを見据えると、玉倉さんがたじろぐ。

「…で…?」

「…え。」

「なんでみんな鏡夜を好きになっちゃうのよ!あたしは…あたしは誰よりも先に鏡夜のこと好きになったのに!

誰よりも鏡夜の事見てたのに!」

玉倉さんが叫ぶ。

「なんで!?やっと見て貰えたのに!」

玉倉さんが僕の方へ近づいてくる。

「ねえ、なんで鏡夜のことを奪うの!?もう、鏡夜に近付かないでよ!あたしから鏡夜を盗らないでよ!」

玉倉さんが僕を押す。力で、後ろへと倒れる。

「あんたなんか、大っ嫌い!鏡夜だって…鏡夜だってそう思ってる!

本当は鏡夜だって…!」


「玉倉。」


鏡夜が僕を支える。

「…鏡夜っ!鏡夜だってそう思ってるよね?本当は鏡夜だってこんな子のこと、本当に好きだなんて思ってないよね!?

鏡夜が好きなのは、あたしだよね!?」

「………………………。」

「鏡夜っ!?」

鏡夜が苦しそうに言う。

「…ゴメン。玉倉…。」

鏡夜の手が震える。

「俺は…俺は綺流社以外、絶対に好きにならない。」

玉倉さんが大きく目を見開く。

「だから、お前も好きにならない。…絶対に。」

玉倉さんが泣きそうな顔をする。

「…ッ!」

玉倉さんは唇を噛み、走っていく。

「…追ってあげてよ!鏡夜!」

鏡夜に僕は叫ぶ。

「本当に、鏡夜の事が好きだったんだよ!」

叫ぶと、鏡夜が驚いた顔をする。


「…わかった。」


そう言うと、鏡夜は走り出す。

「…綺流社。」

正世の声が聞こえた。

「…正世。」

正世は淡く微笑んで言った。


「…おめでとう。…綺流社。」







…な、なんか可哀想ですね玉倉さん…。

正世も切ないです…。

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