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SECTION2 サッカーボールにご用心




「やぁ、冬見さんおはよう。今日は早いね」


『あっ風上君ちーっス。今日もかっこいいよ、川●シェフの次に』


「微妙な心境だよ」


『ねぇねぇ風上スマイルやって!』


「嫌だよ」


『やってやって!見たい風上スマイル!』



愛那は暴れた。 

ここは学校の廊下である。珍しく早く登校した愛那が廊下で黄昏ていた風上を目ざとく見つけてさりげなく近寄り声をかけられるように仕向けたのだ。 

暴れる愛那の形相にぎょっとした風上は仕方なく風上スマイルを披露した。



『…』


「え、なんで無言!?要求しておいてこの仕打ち!?」


『なんで苗字なの』


「いきなりどうしたの。つーか風上スマイルのくだりスルーかよ!」


『うっせー!黙って促せよバカ野郎』


「なにこの子ひどい」



風上は死にたくなった。しかしベッドの下のエロ本達を処分するまで死ぬわけにはいかなかった。 



『苗字って他人行儀じゃね?なに、冬見さんって。私はムツゴロウさんか!?』


「知らねーよ!そこでムツゴロウさん例えに出す意味わかんねーよ!…つまり名前で呼べと?」


『えへへ』


「ちくしょー可愛いな!…君と俺は付き合ってるわけじゃない。名前で呼ぶのは条件を満たした時」


『うざっ…』


「…心が折れそうだよ。ところで処分膜7人衆の一人を撃退したそうじゃないか」


『ねぇねぇ、今日一時間目数学だよね。宿題やってきた?見せてくれない?』


「話聞かない上に厚かましいわ!やってきたけどさ。見せるのはいいけどもうすぐ朝のホームルーム始まるよ。早く写しなよ」


『命令すんなよ』


「…」



風上は愛那をぶん殴りたくなった。鋭利な刃物で。










『次は体育か。今日は校庭でサッカーかぁ、雨降れよバカ野郎』


「何に怒ってんのよ。早く着替えなよ」



友人である歩香はすでに着替え終わっていた。ちなみに体育は4時間目だが歩香は登校するときから体育着で来たようで指導の先生に怒られていた。 



『歩香はいいじゃん。運動神経悪くないしサッカーも苦手じゃないじゃん。つーか登校時から体育着着用ってどんだけサッカー楽しみにしてたんだよ。アホ通り越して清々しいわ』


「早く着替えなよ」


『やっべ、体育着忘れた』


「私の体育着貸したげるよ」



そう言って歩香は自分のロッカーからスペアの体育着を取り出した。ちなみにロッカーの中にはサイズ違いの体育着が3着は入っていた。 



『なに、なんなのアンタ。アンタのロッカーで体育着の販売でもやってんの!?』


「早く着替えなよ」


『はい』



着替えて校庭へ向かった。チャイムと共に準備体操、補助運動をしてサッカーが始まった。 



『ぎゃっふぅうっ!』


「愛那大丈夫!?」



試合開始と共にボールが愛那の顔面にダイレクトアタックした。愛那の鼻からすこぶる元気よく鼻血が吹き出た。愛那の目からも涙がドバドバ出た。 



『ぐぬぅ!ちが…これ違うから!涙じゃないから、さっき飲んだスポーツドリンクだから!』


「そんな慌てて弁護することじゃないでしょ!きゅ、救急車!誰か110番!」


「冬見さん大丈夫!?あたし保健委員。あたし連れてく!」 



同じクラスの入間芹加(いるませりか)が駆け寄ってきた。ちなみに手には担架が握られている。 



『行動はっや!ありがとう、自分で歩ける』


「先生、あたし冬見さん保健室連れていきます」



芹加は担架を地面に叩きつけると愛那の手を握り保健室へと引っ張った。 

保健室へ着くと保健室には誰もいなかった。 



『保健室のセンコーいねーのかよ!あのオバハン仕事サボって金せしめてんのかよ!仕事しろ!』


「冬見さん手当するからそこ座って。興奮すると鼻血もっと出ちゃうよ」


『あっ、はい』



手当が済むと愛那はベッドに寝転がった。 



『入間さんありがとう』


「いいって。授業サボれてラッキーだし」


『へへっ、残りの時間はここでサボっちゃお』


「じゃああたしもそうしよっと!」


『お主も悪ですな』


「こうして話すのも初めてだね。あっ、あたしのこと芹加って呼んでね」


『断る』


「…」


『あっ、ウソウソ。怒ったの芹加たん』


「怒ってないでござる」


『なんだござるって。ござるってなんだ』



二人は微笑みあった。どこに微笑む要素があったのかは知らないが。芹加が保健室のやかんを使って勝手にコーヒーを入れた。コーヒーを飲みながら他愛のない話をしながら芹加がドアの方へ行きガチャッと鍵をした。 



『ガチャッ?』


「冬見さん」


『今ガチャッって聞こえなかった?』



芹加がゆっくりとした足取りで愛那のいるベッドへと向かう。



「冬見さんってバージンなんでしょ?」


『今ガチャッって』


「ね、あたしといいことしよう?」


『ガチャッって音が』


「聞けよ!どんだけ音に敏感なんだよ!鍵掛けただけだよ!」


『そう』


「あたしは処女膜7人衆の一人。今あなたのバージンをいただくわっ!」 


『断る』


「あっそう、じゃ諦める。とでも言うと思うの!?」


『諦めたらそこで試合終了だと思います』


「…」



芹加は無言で愛那の上にまたがった。芹加の体重にベッドがギシッと鳴った。 


『ギシッだって、今ギシッて音が』


「しつこいわ!なに、なんなの、なんでそんなに効果音に敏感なの!?」


『昨日の夜近所の公園の滑り台の真ん中でM字開脚してたらおばさんがいたんだけどあんな夜におばさんがいるなんて怖い。幽霊だったのかな』


「聞いてねーよ!つーか何してんだよ!夜にそんなことしてるお前が怖ぇーよ!ま、いいわ。とりあえず裸にしてあげる」



芹加が服に手をかける。抵抗しようとした愛那だが思うように体が動かなかった。 



『ありゃ?力が入らない』


「薬が効いてきたみたいだね。コーヒー、おいしかった?」


『もう一杯お願いします』


「…」



芹加がビリビリッと愛那の体育着を破いた。愛那は絶望した。体育着は歩香に借りたものだからである。

下着だけになった愛那の姿に芹加は興奮した。



「可愛い下着だね」


『通販です。体育着、歩香に借りたやつなんだけど。弁償しろよ』


「あたしレズなの」


『聞いてねーよ!』




愛那、ピンチ! 








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