君から届く物
あぁ、もう今日と言う日は、絶対に来てほしくなかった…。バレンタインだなんて、本当に来てほしくなかった…。バレンタインで、本命チョコをもらうリア充なんて滅びてしまえばいいんだ!
「あ、あのー。」
「はい?」
なんで、女の子が包装紙に包まれたものを持って、俺に話しかけたんだ?もしかして、誰かにこれを渡してくれと言う事なのか?そうだったら、俺は、もらう奴を殴ってやる。
「あなたの事が、好きでした!これを受け取ってください!」
これは、俺に向かって渡しているのか?やったぁぁぁぁ!!さっきの思ったこと前言撤回!
「あ、ありがとう。」
「今ここで、食べてください!」
まさか、俺がチョコをもらえるとは、こんなことが、あるんだな。食べてくれって、言ってるし、開けてみるか。
「開けるぞ、ん…?」
なんだ、この暗黒物質は…、チョコだよな、なのになんで、シチューの匂いがするんだ!?しかも、これから、毒みたいなオーラが出てるし…、これを食えというのか…、覚悟がすごいいるぞ。
「じ、じゃあ、いただきます…。」
パクっ
な、なんじゃこりゃ…。シチューの匂いがしてたのに、なんで味が、チョコでもなく、シチューでもなく、ゴーヤチャンプルーの味がするんだ、あと、意識が………。
ドサッ
「きゃぁぁぁあ!!諒間君が倒れたぁぁぁあぁ!!」
「ん………、ここは?」
「あ、起きました?諒間君。」
「なんで保健室に…、えーと、教室で橘さんに、チョコをもらって……、倒れた。そんな夢を見ていたような気がする。」
「……えーと、それは、夢じゃないですね。本当に申し訳御座いませんでした。」
「もういいよ。気にしなくていいから。橘さん。」
「そんな訳には、いきません。本当に申し訳ございませんでした。」
「大丈夫だって、倒れたのは、今まで、食べたこと無い味だったからなわけで、絶対もう食べたくない訳じゃないし。」
「なんか、酷いことを言われてる気がします…。」
「言ったなら、ごめん。できれば、また作ってくれよな。」
「うん、分かった!また、明日作ってくるね。諒間君は、もう立てる?」
「あぁ、立てる。そろそろ、帰るか。橘さん。」
「はい!」
「俺、今日何食べたんだろ…。」
カレーなのか、シチューなのか、チョコなのか、もうわかんなくなってきた…。本当に何を食べたか、わかんない。色も黒かったし。
「チョコですよ、本当に美味しかったんですか?」
「う、うん。」
「……、それならいいんですけど。」
「なあ、さっきのあれは、どうやって作ってるんだ?」
「じゃあ、家に来てください。説明するより早いですので。」
「わかった、じゃあ、連れてってくれ。」
「ついてきてください。」
なんか、橘さんの家に行くことになったけど、ちゃんと、食べれるものができるのだろうか……。少し、心配になってきた。
「どうかしましたか?顔が真っ青ですよ?」
「だ、大丈夫、大丈夫だから、気にしないで。」
「本当に大丈夫ですか?」
「だから、大丈夫だって!」
「そう…?」
「早く家に行こう。そして、早く作り方を教えてくれ。」
「じゃあ早く行きましょう。」
「着きました。ここが私の家です。」
「へ、へぇ~。」
橘の家、無茶苦茶大きい…。
「キッチンに案内するので、着いてきてください。」
「おう、わかった。」
「着きました。ここが、キッチンです。」
「早っ!まったく歩いてないぞ。」
「玄関から、すぐですから。じゃあ、作るから待っててください。」
「わかった。早くしてくれよな。」
「わかりました。じゃあまず、カレー粉を…。」
「ちょっと待て!お前は、俺に何を食べさせる気だ!」
「何って、鳥の唐揚げですけど…。何か?」
「なんだ、唐揚げか。よかった…。」
「なにがよかったんですか?」
「いや、なんでもない…。」
「そうですか…?まあ、いいです。次は、ウナギを…。」
「何作る気だ!?」
「なにって、鳥の唐揚げですけど。」
「鳥の唐揚げに、ウナギはいらないだろ!」
「思いつきでいろいろ加えてみてるんですけど…、ダメでした?」
「ウナギはやめて!」
「じゃあ、穴子を…。」
「同じじゃねぇか!」
「同じじゃないです。まず住んでるところが違います。」
「今そんな事は、聞いてないから!」
「わかりました。いれなきゃいいんでしょ。じゃあ、ミミズを小麦粉と一緒に混ぜて。」
「食えなくなるような物を作るな!ミミズは人が食うものじゃねぇ!ってか、それどこで手に入れた!」
「川で、売ってましたけど、それが何か?」
「それは、魚の餌だっ!人の物じゃねぇ!」
「そうだったんですか!」
「知らなかったのかよ…。」
「知りませんでした。教えていただきありがとうございます。じゃあ、普通に作りますか。」
「そうしてくれ…。」
少女料理中…。
「よしっ、シチューの完成!」
「作ってたの、唐揚げじゃなかったの!?」
「いつもこうですよ。唐揚げを作ろうとすると、カレーが出来たり、焼きそばが出来たりするんですよね~。」
「何をしたらそうなる!?」
「まぁ、見た目は大丈夫ですから。」
怪しいオーラがプンプンと漂ってますが…。
「ってか、見た目だけですか…。味は?」
「当然美味しいです!」
橘さん、自覚無い!
「わかった、じゃあ食べてみる…。」
パクッ
な、なんだこれ…、唐揚げを作ろうとして出来た物が、なぜ生臭いんだ…、しかも味がちゃんぽん…、また、意識が遠退いてく、もうだめ……。
ドサッ
「また、倒れたぁぁ!」
数十分後
「ん、ここは?」
「私の家です。ようやく起きましたか。」
「なんでだろうな、飯を食べるたびに、倒れるのは。」
「すいません…、自分で食べて、自覚しました…。反省はしてます。」
「自覚したのか。」
「はい。だから、美味しくなるまで、食べにくださいね。」
「……わかった。」
俺はあと何回、倒れるのだろうか…、耐性がつけばいいけど…。
私は、何が書きたかったんでしょうね。