表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

あかりが消えたとき

掲載日:2026/02/28

 いつもひとりぼっちでいる少年がいました。

 なんだか暗い顔をしていて、いつもつまらなそうにしています。

 みんなが楽しそうにしている中、一人じっと見つめているだけ。

 そして言うのです。


「みんな楽しそうにしてるけど、オトナになったら……」


 ちょっぴりおませさんでみんなと遊んだりすることはしません。

 オトナに憧れているみたいで、子どもっぽいコトは嫌いでした。


 そんな少年ですが、一人だけ友達がいます。

 けれども、友達とは思っていません。


「ねぇねぇ、あんな楽しそうにしているの邪魔したくなりません」

「なんでそうなるんだ。それは悪いことだろう」

「またまた、ほらあの子なんか」


 いつもこうしてイタズラをしようと話してくるのです。

 おませな少年をたぶらかそうとしてきて、断ってはいますが、つい乗せられてしまうのでした。


「あっ、また邪魔しにきたぁ」

「せんせー! なにか言ってやるからな」


 二人はみんなにイタズラをするのでした。

 けれども、少年はあくまで乗せられただけで、ちょっぴり申し訳ないと思っています。

 もう一人の子、ゆうくんはというといつも楽しそうにしているのでした。


 ゆうくんは色々な仲良しグループの中にいて、いつも忙しそうにしています。

 そんな中、一人ぼっちの少年を毎日イタズラに誘うのでした。


「なぁ、なんでイタズラにおれを誘うんだ?」

「だって、あなたとやった方が楽しいので。まぁまぁこれもぼくなりの友情ですよ」


 友達だと思って、そう言ってくれているみたいですが、少年はなんともいえない顔を見つめるのでした。


 二人はいつもほかの子どもたちに怒られたり、先生にしかられたりとしり。

 ひとりぼっちのはずが全然寂しくありません。

 本当は静かにしていたいのですが、ゆうくんと一緒にイタズラばっかり。

 そんな二人をみんな困った子ととしてみてましたが、一人だけいつも楽しそうにくすっと笑う女の子がいました。


「いつもヘンなことばっかりするね」

「そうかな」

「うん、いつもくだらないなって思うけど、好きだよ」


 そう言ってくれるみずきちゃんが、少年は好きでした。

 毎日ではありませんが、それからもイタズラをする日々は続きます。


 そんないつもの午後、今度のお遊戯会でみんなで演劇をやると先生が言いました。

 少年はめんどうだなと思い、木の役をやろうとします。

けれども、ゆうくんはそんなことは許しません。

 重要な役に少年をしてしまったのです。

 大変なコトになったと思いましたが、お姫様はみずきちゃんで王子様役をやればよかったとちょっと後悔。

 けれども、決まったものをいまさら変えるコトはできません。


 その日から、劇の練習が始まりました。

 

 大きな声を出すのは苦手ですが、一生懸命やります。

 しかも、王子様のセリフも練習しているではありませんか。


 周りはなんでだろう?と思っていましたが、ゆうくんが言っていました。


「王子様役の子が本番に出られなかったら?」

「それは、ほかの子が」

「でも、誰も練習してませんよね。ということはつまり、あなたがやればいいんですよ」


 なんて言うものですから、まぁついでにと練習します。

 本番にいないなんてコトほとんどありえないとは思っていますが。


 劇の練習の合間も、もちろんイタズラは続けました。

 道具を隠してみたり、先生の台本に間違ったセリフを書いたりと。


 それがバレてこっぴどく怒られますが、ゆうくんも少年もどこか楽しそうにしていました。


 楽しい忙しい日々はすぎて、いよいよ明日が本番となった日のことです。

 王子様役の子が風邪を引いたみたいで、明日は来られないと先生は言いました。


 不思議なことにゆうくんも少し前に風邪を引いていて、王子様役の子とよく一緒にいたのです。


 またゆうくんがなにかしたのでは?と思いましたが、そんなことはないと信じるほかありません。


 

 いよいよ当日を迎えますが、やっぱり王子様役の子は風邪で来ることはできませんでした。


「ほかに誰かできそうな子はいるかな?」

「せんせー、あの子はできると思うよー」

「うん、いっしょに練習してたもん」


 そういって少年の方を指さすのでした。

 ゆうくんもみんなに合わせるように言うのです。


「あなたなら、これぐらい余裕ですよねー」

「ま、まぁ…練習したし……」

「先生、できるみたいですよ」


 またしてもつい強がってしまった少年の言葉をみんなが聞くことになります。


「なら、まかせるね。よ~し、みんながんばったところを見てもらおうね」


 いよいよ劇が始まりました。

 少年も少し緊張しているみたいな顔をして、それから舞台に上がります。


「どうしましたか、姫」

「ううん、なんでもないの。ちょっと悲しいことがあって」


 舞台の上のみずきちゃんはいつもよりキラキラと輝いているように見えて、見ほれてしまうほどです。


 緊張しながらも舞台は続き、ところどころ危ない場面もありましたが、無事に進みました。


 そしていよいよ終わりが見え、王子様とお姫様のキス。

 もちろんフリだけなのです。

 小さな声で、みずきちゃんに声をかけます。


「気をつけてね」

「もちろんわかってるよ」


 ゆっくりと顔を近づけます。

 しかし、突然明かりが消えて、二人してビックリして止まれません。


 そのままちゅっとキスをするのです。

 きっとゆうくんがまたイタズラをしたのでしょう。


 しかし、見ていたみんなはこれも劇の一部だと思って大盛り上がり。

 明かりがつく前にほかの子たちも舞台に上がります。


 そして、みんなでおじぎをして舞台は終わりました。


 ゆうくんはというとやっぱり、ずっとニコニコ笑っています。

 舞台が終わったあと、ゆうくんのところに行きました。


「ゆうくんでしょ? 明かりを消したの」

「そうですよ。だって、その方がおもしろいことがありそうだったので、つい」


 まったく悪びれることもなく言いのでした。

 みずきちゃんはというと、こちらを見ていますが、いつも見たいに話かけてはくれません。


 だって、事故とはいえ、してしまったから、きっと恥ずかしいのでしょう。



 舞台は無事に終わり、みずきちゃんとの距離はさらに近くなった気がします。

 ですが、三人の日々はこれからも

続いていきます。


 きっとどこまでも楽しく愉快な毎日を。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ