神様の命 ≒ 僕らの使命
『君は、神様を信じるかい?』
そうか。
神様は、信じる者にとっては、かけがえのない人だが、信じない者にとっては、何の意味もないひとつの言葉でしかない。
『では君は、神様にも命や寿命があると思うかい?』
そうだね。
ただ僕はね、僕ら人間に命や寿命があると同じで、神様にも、等しく命や寿命があると思ってるんだ。
はは。おかしいだろ。
『君は、人間とはどういう存在か知っているかい?』
人間とは、神様の愛を一身に受ける塵からできた生命。そして、神様の分身でもあるんだ。
神様は、自分と同じような者を創ったんだよ。
僕ら人間は、草木を生やしたり、火をおこしたり、光を生んだり、闇を作ったり、そして、自分の分身である同じ人間を誕生させる事だってできる。
神様にできる事は、僕ら人間にもできるんだよ。
『ところで、神様が神様だっていうのは、誰が証明すると思う?』
そう。それは、僕ら人間さ。
僕らが神様を崇める事によって、神様は神様になれるんだ。
ちょっとビックリだろ。
『でも、なぜ神様はあんなにも偉大で、分身である人間はちっぽけなんだと思う?』
それはね。
神様だけが神様で、そして神様であり続けたかったからなんだ。
自分だけが絶対無二の唯一の存在でいたいという、神様のエゴさ。
『さて、君は人間と神様の命の違いが分かるかい?』
ははは。そうだったね。
分身である僕ら人間に命の始まりと終わりがあるのだから、本体である神様にだってあるのが道理だろ。
人間の命は、人間の身体の中から始まり、数十年で終わってしまう。
これは、神様が、分身とはいえ自分とは違う様に創ったからなんだ。
『では、神様の始まりと終わりは?』
そう思うかい。
でも、僕の考えとはちょっと違うな。
神様の命は、人間の意識の中から始まってると思うんだ。
人間が神様、「無い物がある」という「概念」を、「存在」へと進化させる。
そしてその「存在」は、「経験」と「知識」という姿に変わり、最終的には、「記憶」という名の命に変身するんだ。
それは例えば、神様の事が書かれた本や聖書、絵、曲、もちろん、こうして話している事だってそうだ。
『結局、何が言いたいか分かるかい?』
神様の命はね、人間が死なない限り、僕らが神様の事を忘れない限り、この地球上に君らがいる限り、永遠に神様は生き続ける事になるんだ。
すごいと思わないかい。
これは、神様が僕らに与えた使命なんだ。
でもね、僕はもっとすごい事をしようと思うんだ。
『なにかわかるかい?』
僕はね、そんな神様の野郎をこれから殺しにいってくるよ。
まずは、君からだ。