幕間④
リナがカンケルに連れられ、そこで目にしたのは血まみれで、元の姿が見えない程ボロボロな姿になっていたモンスターの姿だった。
「ちょっ、ちょっとアンタ大丈夫!!!?」
彼女は青ざめた表情でモンスターに近づき、体をよく見た。
ボロボロで死にかけの体だったが、そのモンスターはまだ生きていた。
ほっとしたのも束の間、彼女は「あ……」と口元に手を持っていき震えた。
彼女は気づいてしまった。自分の転生特典に治癒能力はないと。モンスターを治すすべがない事を。
「う、そ、うそどうしよう。どうしよう。あ、ああそうだ、作成で、ポーションみたいなのを作れば!」
付いてくるんじゃなかった。と後悔をほんの少し抱きながら彼女は急いで特典の一つ、作成能力でポーションを作った。
そしてそれをモンスターに飲ませようとしたが、モンスターは固く口を閉ざし飲まなかった。
「駄目、飲んで、このままじゃ死ぬわよ。ほら、飲んで!」
リナは必死にモンスターに呼びかける。だけどもモンスターは口を開く事はなかった。
モンスターの体が少しずつ冷えていくのを感じていたリナは声を荒げた。
「飲んで、死ぬじゃうわ。お願い、飲んでっ…………『飲みなさい!!!!』」
想いが籠った言葉はモンスターの口を開かせた。
「ぐ……」
「! 飲んだ、飲んでくれた!」
ポーションを飲んでくれた事にリナは安堵した。
彼女は気づかなかった。先程の言葉はリナのもう一つの特典、カリスマ性(同種には効かない)の効果だった事を。この時彼女は気づかなかった。
人間には効かないそれは命令系としても使える事が出来た。だけどもリナは一先ずモンスターを治す事で頭が一杯だった。
傷が癒えてきたのか微かに開かれたモンスターの目には目尻に涙を溜め安堵した表情のリナの姿だった。
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『主……俺は……』
レオは寂し気に炎を揺らしながらリナが作ってくれた自身の人形と彼女自身の人形をじっと見ていた。




