表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

67/90

第六十五話

 廣谷は目を覚ます。そこは水に落ちる前となんら変わりない中央の部屋。


「——はああぁ、一度転生者云々は置くとして。詳しい説明もなしに悪くない、頼むとか任されても困るんだが? それに、僕以外が後継者になって悪用するとか考えないのか? あれか? そういう対策は十二星座の奴らに任せてるって奴か? 物凄く頼りないけど?」


 ため息を吐き、先程の夢の主に文句を言う。文句を言った所で本人はいないので意味はないが、こればっかりは文句を言わざるを得ないと廣谷は思った。

 呆れ、ため息を吐きながら起き上がる。水に落ちたというのに服は何処も濡れていない。そういう魔法なんだろうな異世界だったし――と廣谷は夢の女性を思い浮かべる。


「僕の目的はここから出てシロと再開。ダンジョンの主はついでだからあんなもの見せられてもそうかーそういう事だったのかーとしかならないんだけど。なんだろう、真実を知ったせいで凄く拍子抜け感が……アレがこのダンジョンのマスターか…………」


 廣谷は額を押さえため息を吐いた。心なしか頭が痛む感覚を感じたが無視した。

 十秒ぐらい長いため息を吐いてから、無理やり気を取り戻して廣谷はⅤの道に進み始める。


「……今更だけど電波って通じるのか?」


 そういえばここに来てからスマホ見てないなと気づいた廣谷はスマホを取り出す。使えたらシロの情報とか手に入るかな。でもやばい事やったんだよな大丈夫か? と不安を覚えながらスマホを開き——圏外マークが目についた。

 

「流石にこんな地下で通じる訳ないよな分かってた!」


 早口でスマホを勢いよく懐に戻す。若干テンションが可笑しくなってる気がしたが廣谷は無視した。

 最下層に来てから「何を見せられている?」といったような展開ばかりで廣谷は疲労していた、が休憩はあまりしたくなかった。したらいつまで経ってもここから出る事は出来ないし、何かしら起きると予測していたからだった。

 楽しくダンジョン探索をしていたはずなのに今はダンジョンの謎を追求しているような感覚を廣谷は感じた。流石にこればっかりは無視できなかった。

 

 先に進みいつもの扉が見えてきた。


「ライオンだったらいいなと思う気持ち、と流石にあの楽観的な主だしライオンにしてないだろと思ってしまう。もしライオンじゃなかったらカンケルはなんで星座通りカニなんだよと思ってしまう。なんかムカつくな……」


 扉が開けるまでは分からない、まるでシュレーディンガーの猫ではなくシュレーディンガーの獅子座状態に廣谷は女性に悪態をつく。悪態をつく事に女性に対しなんでダンジョン終わらせなかったんだ。最後まで責任取れよ。と苛立ちが浮かぶ。


「試練内容聞いてすぐに終わらせる、すぐに終わらせる。まだ半分もいってないんだ。こんな場所早く終わらせる」


 落ち込む気持ちのまま廣谷はシュレーディンガーの獅子座の扉を勢いよく開けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ