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幕間①

 昔々その昔。

 魔女と呼ばれた人間がいました。

 悪魔と呼ばれた人間がいました。

 化物と呼ばれた異世界からの転生者がいました。


 彼女はなんてことはない一般人。

 作成&カリスマ性(同種には効かない)を神から授かり異世界に転生した一般人。

 ただちょっと、性格に癖があるだけの一般人。


「人と関わりたくない。面倒臭い。疲れる。面倒臭い」


 そう、彼女は面倒くさがり屋だった。

 人と関わりたくない理由は嫌い・苦手とかではなく、ただただ面倒臭いから。今はそういう気分じゃないから。

 転生だって面倒。でも強制的になってしまったからどうしようもない。


 そんなある日彼女は白い毛並みのモンスターと出会いました。


「ワンちゃんじゃん。かわい」

「わ、わふっ! わん! わんわん! ガルルルル……!!」

「なんもしないよ。ほら、なーんにも」


 ――めんどくさ。可愛いけど噛まれたら嫌だしなんか面倒臭いことになりそうだし、警戒だけ解いておこ。


「……くぅん」

「え、何? 警戒解くの早くない? 何お前。ちょろワンちゃんなの?」

「わんっ」

「肯定って解釈するわ」


 威嚇していたモンスターが突然甘い声を出し女性に近づき、驚いた女性。

 それは使い道が分からないカリスマ性能力。その効果の始まりの瞬間だった。

 後に白い毛並みの子犬の姿をしたモンスターは牡牛座「タウルス」の名を名付けられましたがそれは後程。


 ただその名をモンスターに名付けた理由は、12星座関連の記事を転生前にたまたま目にして名付けの際に頭に浮かんだからだった。深い意味は特になかった。





 これは彼女が魔女と、悪魔と、化物と呼ばれ、処刑されるより前の始まりの話。

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