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第四十七話

「回復の水よし、カードケースよし、銃よし、ランタンよし、全部よし。よし、行くか」


 エレベーターの反対の道が気になった廣谷は万全の準備を整え、エレベーターに乗った。

 先程回復の湖直通の道を作って水を補充してきて、いつでも対応できるようにしていたばかりだった。

 エレベーター45階のボタンを押して、先日行った分かれ道まで向かう。

 道の先に看板が見えて来て、何か変わっているかと思い一度看板を見る。

 四角に黒丸。変わらず何があるのか分からないそれに廣谷は首を傾げる。


「黒丸が何を表してるのかが分からない。でもろくなものではないんだろうな」


 そう呟き廣谷は先に進む。

 四角に黒丸、四角に黒丸……と考えながら何を表しているのか考える。

 もし罠だったらすぐに逃げれるようにしないといけないし、ないとは思うが、魔法が貰える水晶の部屋かもしれないし。と考えるがいまいちこれ! といったものは思いつかなかった。

 そして先に進むと広い空間に着いた。広い空間。それに廣谷は一つのことを思い出す。


「っボス部屋!?」


 すぐに攻撃できるように武器に手をかける。だが何も来ない。

 じっと辺りを見渡していると、目の前が異様に暗いことに気づく。ランタンが壊れたのか? と見るが明かりはついており、正常に作動しているようだった。

 じゃあ、なんでこんなに暗いんだ……。と廣谷は影が出来ている上を見る。

 そこには巨大な繭があった。よくよく見れば辺りには蜘蛛の巣があった。


「な、なんだ、これ」


 あまりのでかさに廣谷は驚く。繭は時折揺れ、何かが居るのが分かった。

 辺りからカサカサと何かが動く音が聞こえ、廣谷は武器に手をとりいつでも攻撃出来るようにする。シロも唸って周囲を見渡す。

 すると、ドクンッと大きい音が鳴る。音のした方を見ると繭が激しく揺れ始め、そこからドクン、ドクンと音が鳴っていた。

 

「な、ん……まさか、生まれる!?」


 びりっ。

 目の前で繭が裂かれ始める。廣谷はその瞬間おぞましい恐怖に襲われる。

 それは影とは桁違いの恐怖。あってはならないものだと脳が理解してしまった。これを解き放ってはいけない。廣谷は生まれるのを止めたいが一心に叫んだ。


「『宣言っ!!! 僕達以外のこの部屋のものは全て今、死ぬ!!!』」


 その瞬間、繭の動きは止まり、辺りに響いていた虫の音は消え去る。

 廣谷はパクパクと口を開閉させながらその場にへたり込んだ。


「な、ん、なんだ……!!」


 そして当た頭を抱え、意味のわからなさにその場で蹲った。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新お疲れ様です。 今まで遭遇してきたモンスと違い、本能が「アカン」とガンガン警報を鳴らした蜘蛛(仮)…。いわゆる新種が誕生する瞬間だったのか、ダンジョンモンスターとは隔絶したヤバい存在…
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