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第四十話

 先に進むと色んな形の影が現れる。そして何回か倒して廣谷はこのエリアのモンスターの事が分かった。

 一度倒して地面に溶けても、別の場所から奇襲をかけてくる。そして死に際になると悲鳴を上げる。二回目の出没では目玉はついており、それと目線を合わせると精神が可笑しくなりそうな感じがする事。これは悲鳴も同じ要素を含んでいた。

 廣谷は、精神に直接攻撃してくるから、きのこエリアの爆弾より質が悪い……と、警戒をしながらシロと共に先に進む。

 止めはシロがやってくれているが、もし数が増えてシロだけじゃ対処しきれなくなったら――?

 廣谷はその最悪な可能性を考え、なんとか自分でも対処できるようにしないと。だが、聞く、見る。この二つが駄目なのに、どうやって倒すっていうんだ。と廣谷は頭を抱えた。

 そうして次の階の階段を見つけ、廣谷はシロに止まるように言う。


「一度戻ろう。武器のやつにあいつらに対処できる武器が売ってるかもしれない」

「わふ」

『分かったー』

「『宣言。僕達は部屋に戻る』」


 宣言してから部屋に戻った廣谷はシロのご飯を出してから、スマホの電源を入れる。そしてスマホの通知の量を見て嫌そうな顔をした。

 嫌そうな顔をしつつ、廣谷はスマホの通知の発生源のタイツクを見る。

 

「組んでください……組んでくれ……シロくれ……スライム寄越せ……はぁ? なんなんだこいつら」


 常識じゃない人達のコメントが廣谷の固定呟きに大量に送りつけられていた。

 更にメールの方でも同じようなコメントが大量に送りつけられ、廣谷は苛立ちを覚えた。

 組む話ならまだしも、シロやスライムを寄越せは常識がないんじゃないか? と廣谷は思い、同時に、メールやコメントの投稿主に痛い目を見せてやりたい。と思った。

 

「機械越しに能力使えるのか? ……罠で能力使えたから……いけそうだな」


 廣谷は今までで一番しんどい思いをした、水のエリアの罠解除を思い出す。

 そして、組んでほしいと送っている人以外のメールや、コメントの投稿主の名前をメモ帳に記入してから、宣言した。


「『宣言。メモ帳に書いてある投稿主は、死なない程度に傷を負う』。死なないようにはしたから、大丈夫だろ。それで死んだら胸糞悪いけど……まぁ運が悪かったって事で。いつ発動するのか分からないしな。時間指定ないから」


 廣谷は投稿主を書いたメモ帳を削除して、スマホを置いてご飯を作り始めた。

 そしてご飯を食べてる最中、ふと廣谷は思った。

 さっきの宣言、人を傷つけた事にならないか? 捕まらないよな? と。

 廣谷は少しの不安を抱えながら、食事を続けた。


 廣谷が能力発動してから、街は大騒ぎになった。会話や、寝ていたりしていると突然体から痛みだし、血が出てきたという話が各地で上がった。

 病院に連れ込まれた人の体は皆共通して体中に切り傷がついていた。更に、運ばれてきた患者は皆、意識を保った状態で、いたい、いたい! と叫んでいた。

 何もしてない、何も起きてないのに傷が出来た。その話は夜が明ける前には拡散に拡散されていった。

 そしてニュースや、新聞などで傷の話が載せられた。

 そんな中寝ている廣谷は、スマホに安否の通知が来ていたが電源を切っていた為、外が大騒ぎになっている事に気づくのは、数時間が経過した後だった。

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