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第四話

 ダンジョン内を歩き、モンスターにあったら何を言おうか考え込む。


「即死するって言ったらどうなるんだろう。眷属化とか、武器化とか……」


 ぶつぶつと呟きながら歩いていると一体の白色のウルフが分かれ道を通り過ぎていった。少ししてから灰色のよく見るウルフ達が廣谷の事も気にも留めず、白のウルフを追って行った。


「何だ?」


 モンスターがモンスターを追う光景が珍しく、廣谷はウルフ達が向かった先を見つめる。

 そして何が起きてるのか気になった廣谷はウルフ達が向かった方に走って向かった。


「……仲間別れ?」


 向かった先で見たのは、よく見るウルフ達が白ウルフを威嚇している光景だった。よくよく見ると白ウルフの体は傷だらけで所々血で毛が赤く染まっていた。

 白ウルフは震えながら必死に威嚇をしていた。

 その様子を見て動物が好きな廣谷は「可哀想」と思い、助けようと宣言した。


「『宣言。白ウルフ以外のウルフは十秒以内に死ぬ』」


 十秒後、一体、一体、また一体とウルフ達が倒れ、溶けていく。白ウルフはその事で廣谷に気づき、唸り声をあげた。


「大丈夫か?」

「ヴヴヴ……!!!」

「攻撃しないって。ほら、何もしない」


 白ウルフは手をあげて何もしない廣谷に警戒を解かず、廣谷が近づこうとすると吠えた。その間にも血は滲んでいき廣谷は困った顔をする。

 傷を治せば警戒を解いてくれるか? と思った廣谷は手をあげたまま宣言する。


「『宣言。君の傷は回復する』。どうだ……?」


 白ウルフは痛みが止まったのに気づいたのか、くぅーん……? と首を傾げた。


「大丈夫か? 傷は癒えたはずだが……」


 白ウルフはその言葉に警戒を解き、廣谷に近づく。

 そしてスンスンと廣谷の服を匂っていく。

 襲ってこなければかわいいのに。と少し顔を緩め笑みを作る。


「わんっ」

「な、なんだ?」


 そう一声鳴くと白ウルフは廣谷の周りをぐるぐるとまわった。

 そのまま背中から廣谷に抱き着く。


「おっも……! ああ、うん、いい子いい子」

 

 嬉しそうに吠える白ウルフ。人一人背負えるぐらいの大きさな為、廣谷にその重さが乗っかった。

 白ウルフはそのまま背中から降りるとその場に座り込んだ。


「何?」

「わんっ」

「……まさかとは思うけど、一緒に行きたいとかそういうのか?」

「わんっ!」

「そうか、そうか……」


 廣谷の声に嬉しそうに答える白ウルフ。


「一緒に行くなら名前決めるべきだよな。何がいいだろ……白いウルフだし、シロ……?」

「わんっっ!」

「お気に召した? あー……あの、シロ。背中に乗っていいか?」


 動物の背中に乗って移動するのが憧れだった廣谷。シロは体をペタンとさせて鳴いた。乗れとシロは目で訴えた。

 廣谷はそれに恐る恐る背中に乗る。ふわっふわな毛の感触に自然と廣谷の頬は緩む。

 そうして廣谷が乗ったのを確認したシロは起き上がり歩き出した。


「おお……ふわふわだし、乗り心地いい。シロ、ダンジョンの案内をしてくれ」

「わんっ」


 二人はそのままダンジョン内を歩いた。時折現れるモンスターには廣谷が死の宣言をして殺していく。

 そうしてダンジョン内を歩いているとカメラを持った探索者と鉢合わせた。


「うわあああ!? え!? 人乗って……え!?」

「っち! シロ! こっちに行け!!」


 これは流石にバズるタイプのやつだ! と察した廣谷はシロに作った部屋までの道に移動させる。

 背後から「あれやばくない!? 従えてた!!」と興奮する声が聞こえ、廣谷は舌打ちをした。

 そうして部屋がある壁まで行くと廣谷はシロから降りる。


「この大きさじゃ部屋には入れそうにないから……『宣言、シロを子犬に。そして部屋にシロの自由な出入りを許可する』」

 

 そう言うとシロは小さな手乗りサイズの子犬に変化する。

 シロは体を見てから「わんっ!」と鳴いた。それを拾って廣谷は壁をくぐった。


「あったかい……ちいさい……かわいい……」


 シロを触りながら廣谷は部屋の中に入り、シロをベッドの上に置いた。

 そしてスレで自分の事が話題にされてないか確認する為、視聴者スレを一つ一つ見始めた。 


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