第三十話(番外編という名のモチベあげ)
「もちもちしてる」
廣谷は部屋でスライムを触る。ぷるんぷるん揺れ、伸ばすと伸び、潰すと潰れる。廣谷はスライムをもちもちしながら遊ぶ。
それをじっと背後から見つめる大きいシロ。そして動き出したかと思うと、前足でスライムを踏み潰した。
「あ」
「わん」
『廣谷、こいつばっかりに構ってないで遊んで』
「え。……いいけど、どうした?」
廣谷の言葉にシロはぷいっと横を向く。そしてスライムから足を退け、その場に座り込む。スライムはぷるんと揺れ元の体型に戻った。
「もしかして、嫉妬してるのか?」
廣谷の言葉にシロは顔を背けたまま。尻尾がゆらゆらと揺れ、なんだかそれが不機嫌そうに廣谷は見えた。
「遊ぶって言ったけど、どこで遊ぶんだ?」
「わふ」
『わしゃわしゃして』
「それでいいのか?」
顔を背けたまま言うシロの言葉に廣谷は首を傾げる。シロは前足でたしたしと触るように急かす。
その様子を見て廣谷はため息をつき、シロに近づきわしゃわしゃと撫でる。
「そういえば、シロを風呂に入れたことないな。入るか」
「……わ、わん……?」
『風呂? 何それ?』
廣谷の言葉にシロは首を傾げる。
「『宣言、シロの体は小さくなる』実際に体験するか」
シロを小さくして廣谷はシロを風呂場に連れて行った。
「きゃわーーーん!!!」
『や、やだーーーー!!!!!!』
風呂の中でシロの叫び声が響いた。




