表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
65/71

第3王女

 オリビアは、ララを待ち受けながら、婚約者のはずのハリーに嫌味の一つでも、言ってやらないと気がすまない、と思った。


「ハリー様、パートナーのお誘いがなくて寂しく思ってました」

「ハッ、冗談だろ?楽しそうじゃないか」


「もう、ハリー。オリビア様は、焼きもちを焼いているですよぉ。婚約者なのに、誘ってもらえないんだから。ねぇ」

 ララは、バカにしたようにオリビアを見る。


 悔しくて、オリビアの握った拳に力が入る。


「こんな時くらい、オリビアと一緒にいてもいいんじゃないか?なかなか二人で会えないんだろ?」

「本気か?俺からオリビアを取り上げているのは、お前だろ?ウラニス」

「取り上げるって、何だよ?」

「そうだろ?いつも隣にはお前がいる」

「お前が、ララ嬢と一緒だからだろ?オリビアと一緒にいれば……」

「ハッ、俺は騎竜クラスには、()()()()。オリビアとは一緒にいられないんだ」


「もぉ。ケンカはよくありませんよぉ。オリビア様が、ハリーを蔑ろにするのが、いけないんですからねっ」

 ララは、キッとオリビアをにらむ。

「私は、蔑ろになんか……」


「キャッ、やめてください!」


 ララの純白のドレスに、赤いシミが広がっていく。

 床には、グラスが砕け散っていた。


(え、待って。私は、果実水を持っていたはず)

 自分の手を見ると、果実水の入ったグラスを持っている。


 何が起きているのか、呆気に取られていると

「オリビア様が、私のグラスを叩き落としました!」

「オリビア!何て事をするんだ。せっかくのドレスが、台無しじゃないか」


 慌てて、否定するが、周囲から非難の視線を浴びる。


「ララ様、お疲れなのでは?キチンとグラスも持てないなんて」

「あちらで着替えいらっしゃいよ。侍女も呼んであるわ」

 少し大きめの声で、エレとソフィアが助けてくれる。


 ギャーギャー騒ぎながら、ララは侍女に連れられ、奥の休憩室に向かった。

 ガラスの破片を片付けてくれているボーイに、お礼を伝える。

 彼は「大丈夫ですよ。誤解は解けますよ」と、微笑んだ。


「そうやってお前は……男に媚びを売るんだな!」


 驚いて振り向くオリビアの目に、蔑むような視線を送るハリーが写った。


「ハリー!お前……」

 ウラニスが、オリビアの前に立った。その時、曲調が変わった。


 中央を見ると、ユリウスとソフィア、スクトゥムと王立学園に通っている第3王女が踊り出していた。


 とても優雅で、背中に羽が生えているかのように、軽やかに踊っていて、思わず見惚れてしまう。

 先程までの、微妙な雰囲気だった講堂内の空気が、一変した。


 ハリーは、ララを追って、奥の休憩室の方へ向かっていた。


「王族は、居るだけで雰囲気があるわよね」

 エレが、踊るスクトゥム達を見ながらつぶやく。


 一曲踊り終えて、拍手喝采を受けている彼等が、オリビア達を見付け、近寄ってくる。

 先程の騒ぎが、まるで無かったようだ。


「いい目眩ましになったかしら?」

 第3王女が、ニコニコしながら問いかけてくる。

「いつも、スクトゥムから、あなた達の話を聞いていたわ。会えて嬉しく思います」


 オリビアの横にいるニョロに興味津々のようで「触らせてくれる?」とニョロに尋ねている。


 その後、穏やかにパーティーは進み、スクトゥム、ユリウス、ウラニスの前には、一緒に踊りたい令嬢が列をなしていた。


「騎竜クラスは、学園で人気があるのよ」

 ニョロを撫でながら、第3王女が教えてくれる。


「エリートだものねぇ……私達も騎竜クラスなんだねどなぁ……」

 エレがすねていると

「あの……御一緒してもよろしいですか?」

 学園の令嬢達が声をかけてきた。


「ほら、人気あるでしょ?」

 第3王女が、ニッコリと微笑んだ。


 ※


 着替えを終えたララが廊下に出てくると、待ち構えていたハリーが声をかける。


「ごめんな、ララ。オリビアが意地悪をして」

「気にしないで、オリビアは自分が一番じゃないと気がすまないのよ」


 ララは続ける。


「私は、大丈夫。でも、ハリー、あなたが心配。本当は、騎竜クラスに入れる実力があるのに、オリビアに邪魔されてるんだから」


「騎竜に選ばれなかったのだって、オリビアが細工をしたに決まってる」


「本当にハリーを愛しているなら、婚約者なんだから、卒業後は、ハリーの家に入るのが普通よ。それなのに、王立騎士団に入りたいだなんて、おかしいと思わない?」


「そもそも、騎竜クラスを断って、ハリーと一緒のクラスに居るべきなのよ。婚約者なんだから、愛してるのなら」


「オリビアは、男好きだから騎士団に入りたいのよ。チヤホヤされたいのよ」


 自分に都合の良い、耳障りの良い言葉を聞きながらウットリしていたハリーは、いつの間にか、休憩室のソファーにララと並んで座っていた。


 そして、ララにされるがまま、なされるま、彼女の胸に顔をうずめてしまった……

次回は、金曜21時に。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ