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浄化士と近衛兵と

 ユリウスが言うには、この夏季休暇で婚約が決まった令嬢が二人いるそうだ。


 一人の相手は、浄化士を目指していて、教会の有力者の令息、リュカ。もう一人の相手は、近衛騎士団の有力者の令息、イーサン。


 二人とも、ユリウス、ソフィアと同じクラスで、選抜チームのメンバーだ。そして、ハリーの領地でララと共に討伐をしていた。


 夏季休暇が終わったら、やたらララとの距離が近い。

 何度もその事について、婚約者の令嬢が、不満を伝えたが、取り合ってもらえない。


「ただの、選抜チームの仲間だよ?」


『魅了』の影響は感じない。が、以前と人が変わったように感じる。と、ユリウスは訴える。


「何か『魅了』以外の影響があるのかもしれない。ハリーも誘って、あの小物屋でお茶を飲ませてみようと思うんだけど、どう?」


 オリビアは、婚約破棄を覚悟しているのでいいとしても、他の令嬢達は、不憫だ。


「お願いしても、いいかしら?」

「任せて!」

 ユリウスは、今日にでも、声をかけてみるよ。と、張り切っていた。


 ※


「ダメだったよ……」


 次の日、王立騎士団の訓練に参加するため、徒歩で騎士団の練習場に向かう途中、オリビアはユリウスに打ち明けられた。


 ハリーに声をかけたが、ララ達と出かけるから。と、断られた。

 城下に出るなら、ちょっとだけでも付き合って欲しい。と頼んでみたが、相手にされなかった。


 仕方ないので、ユリウスは一人で小物屋に行きヘルバに相談してみた。

 以前のような『魅了』の影響は感じないのに、ララに惹かれるているようだ。と。


 ヘルバが言うには、『魅了』で惹き付けた相手の心の中心に、入り込んでしまったのだろう。そこまでいくと、お茶を飲んでどうのこうのは、もうできない。

 本人が、本当に惹かれてしまっているのだろう。


「婚約者だから、愛されて当たり前じゃないからね。ちゃんと、心を通わせないと。『魅了』は、きっかけにすぎないから。って言われたよ……」


「オリビアとハリーは、心が通いあってると思っていたんだけど、違うの?」


 オリビアは、返す言葉がなかった。


 ハリーは、騎竜に選ばれるのを待ってて。と言っていたが、本心では、私に、()()()()()()()()()欲しかったのかもしれない。

 たぶん、そうだろう。人は、よっぽどの事がないと変わらない。ララは、従順なのだろう。


「ハリーは、従順な子がいい。って、よく言っていたわ」

「そうか……」

 ユリウスとオリビアが、二人でしんみりしていると


「ハリーは、どこぞの国の王子様なのか?」

 珍しくウラニスが、怒っている。

「オリビアは……オリビアは、努力して騎竜クラスに入ったのに。前から思っていたけど、あいつは、何様なんだ?」


「もう、狙われないから、良かったんじゃないか?」

 スクトゥムが、呑気に発言する。

「だってそうだろ?オリビアの周りの人々に、危害が及ぶ事だってあるんだから」


 そう言われれば、もう、ニョロや天鼓(テンコ)が傷つけられないから……

「そうかも……」

 オリビアの頬を、涙が伝う。


「もう、殿下!」

 すごい顔で、ソフィアとエレがスクトゥムをにらむ。


 そうこうしているうちに、王立騎士団の練習場に到着した。


 ※


 魔法は、遠距離には強いが、接近戦には弱い。呪文を発動するまでのわずかな時間と、対象物が自分に近いと巻き添えをくう事が弱点だ。


 ここ、王立騎士団の訓練場では主に、接近戦を想定した訓練を行う。 まずは基礎体力と筋力の向上だ。


 ソフィアは、ドレスが似合わなくなると困る、まだ婚約者もいないのに……と嘆いている。

 ユリウスが、売れ残ったら僕がもらってあげるよ。と、からかっている。


 ※


 王立騎士団と騎竜クラスの往復が続き、ハリーとララの事が気にはなるが、対処できない日々が続いた。


 ララは、変わらずハリーや婚約者のいる令息を取り巻きに、人目をはばからない行動をとり、冷笑されている。


 ハリーは、二年時のオリビアを思いやる行動は、すべて嘘なんじゃないか?と思うほど、ララに心酔している。


「自分の能力をひけらかす婚約者は、疲れるよ」

 と言っているらしい。

 ララだって、()()()()()()という、稀有な能力をもっているのだが、それは特殊な能力だから気にならないそうだ。


「人の噂になるので、ララ様との関係には、気を付けてください」

と、お願いしてみるのだが

「君だって、同じだろ?それに、オリビアは騎士団の訓練で忙しくて、会えないじゃないか。君が、騎士団に飽きたら、ララとは会わないよ」

と、まるで相手にしてくれない。


「選抜だって、訓練で討伐に出かけるのだから、同じではないですか」

 と言った後で、しまった。と、思ったが遅かった。


「だろ?僕だってララと居たくて居る訳じゃないんだ。わかってくれるかい?」

 と、頬を撫でてくる。


「それに、僕の贈ったピアス、どうしたの?」

 冷淡に笑いながら、ララと立ち去るハリーを、オリビアは、ただただ見送った。


「あなただって、もう、イヤーカフスしてないじゃない」

オリビアの中で、何かが壊れた。

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↑サクッと終わるヤツを書いてみました。

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