表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/71

白蛇と伯爵令嬢

 王立魔法高等学校の三年になった。悪役令嬢物語の本編だ。 ヒロインは1年早く編入学してきたが。


 婚約者であるハリーは、ヒロインに引かれていき、何かの事件をきっかけに、()()()()が芽生える


 寮にいるときは気付かなかったが、校内は少し嫌な雰囲気が残っている。まだ、『魅了』の効果が残ってるのだろう。 ニョロが戻ってきて、どうなるだろうか。


 オリビアの両脇には、エレとソフィアがピッタリ寄り添い、ララを警戒している。

 クラス替えはないので、ソフィアは隣のクラスだ。


 三年時、騎竜クラスは、ほぼ王立騎士団との合同練習になる。ホームルームのみ、基礎クラスに戻る。

 ソフィアと別れ、エレとクラスに入ると、髪色が変わっている事に、ざわめきが起きた。


「嫌な事があったから、気分転換よ」

ニッコリ微笑むオリビアに、何かを察してくれて、それ以上は聞かれなかった。


 ※


 騎竜クラスに戻ると、ソフィアとユリウスが慌てて、オリビアに駆け寄ってきた。

「ねぇ、この夏の間、ララがハリーの領地にいたって聞いてる?」

「え? 聞いてないわ……」


 ララは選抜チームだが、編入してきたので討伐の実戦がない。なので、ハリーの領地で、討伐の実戦をハリーと行っていた。と言うことらしい。

 正確には、ハリーのクラスの選抜チーム全員で。なのだが……


「それだけじゃなくて、なんだか二人、ずっーと一緒だったらしいわよ」

 オリビアは、実際に見たり聞いたりしたわけではないので「ありがとう。気に止めておくわ」と返した。


 ※


「あの、言いにくいんですけど、ヴァルトス様とクロニエ様、距離が近いと思うんです」

「今日も二人で、テラスでランチをしていました」


 オリビアのところに、ハリーとララの情報が嫌と言う程、耳に入ってくる。

 みんな、何をそんなに心配しているのだろうか?同じクラスで、同じ選抜チームではないか。

 オリビアは、あまりにも異口同音なので、一度ハリーに話をしておこうかと考えた。


 昼食時に、よく二人がいる。と言われるテラスに、エレと共に訪れてみた。


 中庭の噴水が見えるテラスに、向かい合って座っているハリーとララを見つけた。

 オリビアとエレは、バイキングで選んだ食事をトレーに乗せ、彼らの近くへ向かった。


「御一緒して、よろしいかしら?」


 ハリーがオリビアを見上げるが、なんで?とでも言いたげだった。


「他にも席、空いてるけど?」

「少しお話したくて」


 違和感を感じ、涙が溢れそうな程、オリビアは緊張した。そして、吐き気を催す程の不快感を感じた。

 後ろのニョロを見ると、テラスの周りをクルクル周りだした。


 ハリーは、何も言わずに、空いている椅子を少し引いてくれた。

 その様子を見ていたエレが、ララに声をかけた。


「ララ様、私達はあちらで御一緒しませんか?お二人は、積もる話もありますでしょ?」


「なんで?ララがいて困る話はないけど?」

 ハリーが不思議そうに、エレを見上げる。

「オリビアと二人で話したいって、思わないの?」

 思わず砕けた口調になってしまっていた。


「なんですかぁ?オリビア様、嫌われちゃったのおぉ?」

 ララが、頬杖を付き、ニヤニヤしながらオリビアを見上げる。


 音を立てトレーを置き、座る。なんとも言えない気持ちだ。

「オリビア様、お行儀悪いですよ?伯爵令嬢ですよね」


「そうね。でも、あなたもお行儀悪いわよ。人の婚約者と二人きりで過ごしているのは、どうなのかしら?」


 穏やかにハリーに話すつもりでいたのだが、ララに言ってしまった。意地悪ではないだろうか?とオリビアは心配する。


 ハリーとララは、顔を見合せ、声をあげて笑った。


「オリビア、そっくりそのまま返すよ。君も、ウラニスや殿下と二人きりで過ごしているよね?」

「何の事ですか?」

 思わず、オリビアは立ち上がる。


「そうゆう事だよ。本人達にその気がなくても、周りからは、違って見えている。って事だよ」

「ハリー様、オリビアは、けっして二人きりでなんてなっていません!クラスのみんなと一緒です。私もいつも一緒にいます!」

 エレが、声を荒げる。


「それを言うなら、私たちも一緒ですよ。ほら」

 ララが指し示した先には、選抜チームがいた。

「ほらって、かなり離れていませんか?」

「仕方ないだろ?席が、そこしか空いていないんだから」

 不機嫌に言い放って、ハリーは立ち上がる。


「ララ、外に食べに行こう」


 まだ半分以上、手付かずで残っているトレーを持ち、二人は食堂へ戻っていった。

 オリビアは、力が抜けたように、椅子に座り込んだ。


「大丈夫?」


 心配そうにエレがオリビアに声をかけた。うつむくオリビアの瞳から、涙がこぼれる。


(こんな気持ちで、婚約破棄なんてできないじゃない)


 膝にシミが広がっていく。


「ニョロが来て、不快感感じはなくなったのに、ハリーの様子、変わらなかったわね……」

 エレが、オリビアの背を撫でながら呟く。ニョロがオリビアの腕の中に頭を突っ込んでいく。


「フフッ、慰めてくれるの?」

 不快感は消えていたのに……と、ニョロの頭を撫でながら、オリビアも、そう思っていた。


(本当に、ララを気に入ってしまったのね)

 オリビアの頬を、再び涙が濡らす。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ