白い悪魔
結界の外に広がる白銀の世界にうっとりしてしまうが、一匹の白熊の魔獣が視界に入る。
いつもなら、土魔法で土地を隆起させ、上から魔法を浴びせて退治するそうだ。
しかしながら、騎竜を操れる我々『イザニコス』は上空から魔法を浴びせる。
「ぐぉぉぉぉ」
白熊の魔獣は、うめきながら消滅していく。
後には、キラキラと光る核が残るので、忘れずに破壊する。
「ヴァルトス領の『総魔』より楽だったわね」
「そうなの。だから、オリビアの肩慣らしに丁度良いと思って」
ソフィアとエレが、オリビアに話かける。
すかさず、地上では、結界士が結界を張り直す。
「他の地区は明日にして、ひとまず屋敷に戻りましょう。父が、歓迎会をしたいって、張り切ってるのよ」
エレが、面倒くさそうに話しているが、どこかうれしそうだ。
領地の騎士団も、他の地区で討伐を行っているので、その報告もあるはずだし。と、付け加えた。
※
高台にある屋敷の庭から、領地を見下ろしながら、飲む発酵酒は最高らしい。騎士団の団員が、教えてくれる。
私達も、氷のグラスを持ち、チビチビと果実水を飲みながら、領地を見下ろす。
もう、いい時間なのだが、昼間のように明るく、雪面が反射してキラキラ光っている。
(これが『白夜』なんだ。すごいなぁ)
オリビアは、眠気と戦いながらいた。明るいのに眠ってしまうのが、何だか勿体ない。
しかしながら、明日も討伐に参加するので、後ろ髪を引かれる思いで、この場を後にする。
他のメンバーも同じ思いの様で、さっさと討伐を終えて、最終日は、この美しい白夜を思う存分楽しもう。と誓いを立てた。
「もう少し遅くなると、より薄暗くなって、幻想的な景色になるのよ。でも、なかなか起きていられないのよね……」
残念そうに、エレが言う。
「お昼寝するって、可能かしら?」
ソフィアが、真顔で尋ねる。
そこまでする?と笑いあったが、意外に本気だったらしく、彼女がすねた。
「白い悪魔達の討伐が、済んでから考えましょう。すべてが終わったら、ゆっくりお昼寝して、白夜を楽しみましょうよ」
オリビアが提案し、結局、お昼寝なのね。と、皆で笑い声をあげる。
※
本日は、昨日とは別の地区のハグレ魔獣、白い狼・ワーウルフを討伐しに向かう。
普段は集団で群をなしているワーウルフなのだが、白夜の期間は、なぜか単独行動を好む。
新しい集団を、作るためではないか? と言われているが、定かではない。
ワーウルフは集団だと連携を取られるので、手強い魔獣だが、単体ではさほどではない。
なので、今回イザニコスは、騎竜に乗らず徒歩で参加することにした。
とは言っても、イザニコスは学生なので、クロニエ騎士団の精鋭部隊と合同で討伐することになっていた。
そのうちの一人の騎士は、エレの幼なじみだそうだ
偵察隊から、ワーウルフを発見したとの連絡が入った。取り囲むように隊列を組み、四方八方から魔法攻撃を行う。
何回か同じように討伐を繰り返し、だいぶコツがつかめてきた頃、事件が起きた。




