食堂にて
騎竜クラスのメンバーで集まって、学校の食堂でランチを取っていた。
学年の終盤に近づき、魔力の上限突破を量るため、限界まで魔力を使いきる授業が始まった。それが、午後の最初の授業だ。
とにかく体力勝負なので、オリビア達も令嬢だから……なんて言ってる場合ではない。男性に負けじと、お腹にサンドイッチを詰め込んでいた。
そんな訳で、人目に触れたくない状態のオリビア達の前に、ララが現れた。それも、ハリーや他の男子を伴って。
「あら、オリビア様。そんなにたくさん召し上がるんですか?」
と、バカにしたように、クスクスとみんなで笑う。
「人前で、こんなに食べる女性が婚約者がなんて、ハリーも苦労するな」
と、取り巻きの男子生徒も便乗する。
ハリーが、場を納めようとするが、ララ達は止まらない。
オリビアは、相手にしないようにしていたが、ソフィアが、黙っていられなかった。
「それは、侯爵令嬢である、わたくしソフィア・アルメディスに対してもおっしゃっているのかしら?ララ・モラレス男爵令嬢」
手にしていたカトラリーを、静かにテーブルに置き、ララを正面に見た。
「あなたには、言ってないわ!」
と、半ば叫ぶように否定して、オリビアの横を通り過ぎようとした。
そして、音を立てて転んだ……。
(そういえば、足をかけられた。ってヒロインが悪役令嬢を罵る場面があったわね)
オリビアが、呑気にそんな事を思い出していると
「オリビア様が、わざと足をかけました!」
と、ハリーにすがり付き、訴えた。
「なっ!……」
周りが息を飲み、彼女達を見た。
オリビアも、カトラリーを静かに置き
「わたくしの足は、そんなに長くありません」
と、足元を指差した。
確かに、どんなに脚を伸ばしたとしても、テーブルの下より先に、通路までは伸びようがなかった。
「それに、殿下の食事中に騒がしいわ」
と、付け足した。
スクトゥム王子や、ウラニス、ユリウスまでも、必死に笑いを噛み殺していた。
恥ずかしさに顔を真っ赤にしたララが、ハリーに助けを求めているのを横目に、オリビアは食事を再開した。
「魔力量をあげて、役立たずと言われないようにしないとね」
と、一人言のように、呟いた。
「オリビア嬢は、友人が転んでいるのに助けもしないんだな」
ララの取り巻きの一人が、オリビアに詰め寄る。
(この人は何を言っているのかしら?)
オリビアは首を傾げる。とんだ言い掛かりだと思い、だんだん気分が悪くなってきた。
「理不尽にも程があります」
取り巻きとオリビアが、にらみ合う。すると、ララが
「オリビア様、ヒドイです。意地悪です」
と、大声で叫びながら、食堂から走って出ていってしまった。慌てて追いかける取り巻き達。
ハリーが「ごめんね」と、オリビアに謝りながら、ララを追いかける為、食堂を後にした。
後日、食堂で転んだララを、オリビアが小馬鹿にしたので、傷ついた彼女は、泣きながら走って出ていった。と、まことしやかに噂されるのであった。




