心ない噂
花薫週間が終わり、日常が戻ってきた。イザニコスは、王立魔法高等学校の騎竜クラスに戻り、オリビアの兄達も、王立騎士団の任務に戻った。
王立騎士団では、オスカーがララの魔法について、騎士団長に報告をしていた。
王立魔法高等学校において、自分には浄化特化魔法があるから必要ない。と、授業に参加せず自分勝手な行動が目立つ事、また、彼女の魔法も、騎竜クラスのメンバーが一人居れば充分な程度の物だった、と説明する。
「……という事で、今の時点では、必要性を感じません。以上です」
王立魔法高等学校でも、ララ・モラレス男爵令嬢の扱いに、困っていた。
モラレス男爵の居住している、フローラリラ領の貴族数名から、連名での推薦状が届いたのが、事の発端だった。
浄化特化魔法が扱える素晴らしい生徒が見つかったので、是非、王立魔法高等学校に。聖女の可能性を秘めている。とまで言われていたのだが、素行を見る限り、怪しいと考えられている。
しかし、一部の教員は、素晴らしい。と称えているので評価が難しい。
貴重な魔法の担い手であるのは確かなので、様子を見ることになっている。
※
王立魔法高等学校では、ララ・モラレス男爵令嬢のヴァルトス領での活躍が話題になっていた。
今までとは違う、形を成さない『総魔』を、ほぼ一人で退治した。
騎竜クラスは、騎竜に乗れるだけで『総魔』退治に関しては、何の役にも立たなかった。
それどころか、ハリーの婚約者のオリビアは、まるで従者のようにハリーを扱い、魔法の指定や指示までしていた。
と、面白おかしく語られている。
ソフィアとユリウスが、基礎学科でクラスに入った時に、その話を聞かされて反論したが、オリビアの件については、昨年のハリーの発言の事もあったので、皆、ララの言い分を支持していた。
ハリーも訂正するのだが、逆に、婚約者のオリビアを庇う優しい人だ、と評価されていた。
魔法に関しては、今までのララの態度があるので、ほとんどの生徒が半信半疑だったが、花薫週間以降、ララは授業に参加して、事ある毎に浄化特化魔法を披露するので、『総魔』退治で活躍したのは、間違いないだろう。と囁かれていた。
それにともない、オリビアは周りから、特にハリーのクラスメイトから、冷ややかな視線を感じていた。わざとらしく、聞こえる様に嫌味を言われる。
しかし、(『悪役令嬢物語』ぽくなってきたわねぇ)と、呑気に構えるオリビアだった。
なぜなら、ハリーとの関係は、昨年より良好だし、冤罪に関しては、スクトゥム王子が「まかせろ」と言っている。
今、オリビアに出来ることは、ララと二人きりにならない。これにつきる。
転生物のテッパンとして『階段』がある。ララは、寮ではなく、親族のタウンハウスから通学しているので、寮内は安全といえる。
また、オリビアは、ララとはクラスが違うので、階段ですれ違う事は少ないと考えていたが、なるべくエレと行動を共にするよう、心掛けている。
なのだが「教科書を隠された、破かれた」という、ララの訴えには、どう対処していいのか、解らなかった。
なぜなら、オリビアは、一度も隣のクラスに立ち入った事が、ないのだから。
この件は、冤罪になるのかしら?と思いながら、否定するのだった。




