表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/71

ヴァルトス領の『総魔』Ⅳ

 ヴァルトス侯爵家の書庫に、オリビア達イザニコスと、王立騎士団の兄達が集まっている。

 過去に、今回のような『総魔』が出現したことがあるのか、調べていた。

 王立騎士団にも問い合わせたが、蠕動運動をする『総魔』の事例はなかった。

 大抵、大型動物の体を成していた。


『総魔』としての強さは、それ程ではないのだが、森林地帯一帯の『澱み』が『総魔』であるとするなら、兎に角デカイ。

 魔力と体力勝負になるであろう。


 明日は、ハリー達選抜チームも、といっても三人だが、騎馬に乗り、上空から浄化をしてもらう事にした。


 また、ララを現地に連れ出して、()()()()()()を使わせる話も出た。

「後で、王立騎士団のお守り役に、相談してみるよ」

 と言って、ノアがニヤニヤ笑っている。


 どうやら、お守り役の騎士も、兄達の同窓のようだ。


 ※


 ララ・モラレス男爵令嬢は、ヴァルトス領館の客室で、お守り役の騎士、オスカー・エドワーズ伯爵子息とハリーを除いた二人のクラスメイトと、食後のお茶を楽しんでいる。


「それにしても『澱み』の消滅って、結構疲れるものなんだな」

「あんなに魔法を連続で撃つなんて、信じられなかったよ」

 と、今日の討伐に参加した感想を言い合っている。


 ララは、大人しくお茶を飲んでいたが、自分の知らない話をしているのが、気に入らない。


「オリビア嬢と白蛇の連携攻撃も凄かったし、ソフィア嬢、エレ嬢も、あんな豪快な攻撃魔法を出すようには見えないよなぁ」

「学園で見かけるときは、三人共、ご令嬢の雰囲気だもんなぁ」

「肩に蛇が乗っているのを、見たときはビックリしたけどな」

「あれ、精霊らしぞ?」

「精霊の使い魔なんて、スゴいんじゃないか?」


 オスカーは、切れ長のエメラルドの瞳で、ララを盗み見た。

 ララは、素知らぬ顔でティーカップに口を付けているが、手がわずかに震えている。

(自分以外の称賛が、きにいらないんだろうな)と、簡単に察する事が出来た。


 オスカーは、今回の討伐にフォルティス達と参加できると聞いて、嬉しく思っていた。卒業以来だ。

 しかし、来てみれば令嬢のお守り役で、一日中お茶をしているか、商人を呼んで買い物三昧。

 最近、モラレス男爵は羽振りが良いのだろうか?他人事だか、少し心配になる額だ。


「でも、オリビア嬢って生意気なんだろ?」

「あぁ、ハリーも困っていたもんな」

「最近は、仲良くしているように見えるけどなぁ」

「婚約者だから、仕方ないよな……」


 ララのこめかみが、ピクッと動く。

(あら、ハリーと婚約者、上手くいってないの?)

 ひとりでに笑みがこぼれる。


「ララ様?明日、ララ様も討伐に参加されては?」

 オスカーの形の良い口元が、綺麗な三日月に変化する。

「そうね、ここも飽きてきた頃ですし、早く討伐して家に帰りたいわ」

 ララは、ゆっくりとティーカップをマホガニーのテーブルに置いた。


「それでは、明日のために、早めにお休みになった方が良いですね」

 と、オスカーは呼び鈴を鳴らし、侍女達を呼び入れた。


 ララが何か言おうとしていたが、オスカーは、ララの同級生を促しながら、退室した。


 ※


 部屋を出たところで、指を鳴らしていたオスカーは、フォルティス達に呼び止められた。立ち話もなんなので、侍従に声をかけ、談話室の使用許可をもらった。


 ハリーに似て、堅実な雰囲気の談話室だった。重厚な家具で統一されていて、全てにおいて無駄がなく感じる。


「……というわけで、明日ララ嬢にも討伐に参加して欲しいんだけど、うまく誘える?」

 ノアがオスカーの顔を伺い見る。焦らすように脚を組み換えたオスカーが

「ちょうど良かった。彼女も飽きてきてたようで、ちゃっちゃと討伐して、家に帰りたいってさ」

 彼は、伸びをしながら

「僕もお守りばかりで飽きちゃったよ……」

 と、つぶやく。


「ちゃっちゃと討伐できればいいんだけど、スピードと体力勝負になると思うよ」

「でも、オスカーは、ララ嬢をちゃんと見ててよ。勝手な行動取られちゃうと、ちょっと危険かも」

 と、イリオスとフォルティスが答える。

「えー」

 と言いながら、オスカーは残念そうな顔をする。

 そして

「なんか、あいつ気持ち悪いんだよね」

 と言って指を鳴らし、解除魔法を使った。


 なんで解除魔法?と不思議がる仲間に、実は……とオスカーが話し出した。

 ララ嬢が近くに来ると、何とも言えない不快感を感じで、彼女の言うことが()()、のような気分になってしまう。それが気持ち悪くて、小まめに解除魔法を使っている。

 でも、何も感じない人の方が多くて、少なくとも、ヴァルトス領では、自分だけが違和感を感じているようだ。


 フォルティス達は、まだ、ララに会っていないが、気を付けた方が良いかもな。と話し合った。


次回は、金曜日21時頃、投稿したいと思います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ