ヴァルトス領の『総魔』Ⅱ
早朝から、イザニコスと兄達王立騎士団の討伐メンバーは、ヴァルトス領の外れの森林地帯に『澱み』消滅の為にやってきた。
ハリー達、選抜チームは、浄化を行う為に地上に待機している。ララは、今日も参加していない。
上空から見る限り、ソフィアが浄化魔法を撃ち込んだ所は『澱み』が現れていない。
「オリビアの言っていた、キラキラしたら何かを見つけないと『澱み』は消えない。ということか……」
メンバー皆で、考え込む。
「これって、全体的に『総魔』になっている。ってことですか?」
エレが、問いかける。
「『澱み』や『魔』に核は無いはずだからね……この一帯全てが『総魔』になろうとしている。って事かもね」
と、イリオスが嫌な雰囲気を出している森林地帯一帯を、ぐるっと指し示す。
「形を成していない『総魔』と対峙するのは……初めてだな……」
フォルティス達が神妙な顔をする。
※
『澱み』は平面で、沼のようなイメージ
『魔』は『澱み』の集合体で、立体的になったもの
『総魔』は『魔』の集合体で、核を持ち、動くもの
『魔獣』は『総魔』が生き物に、取りついたもの
※
形を成していない『総魔』すなわち、成長スピードが早すぎて『魔』の形成を飛ばしている。ということだ。
「急がないといけないな」
と、イリオスがつぶやく。そして、隊列を整えた。
「一発、デカイ魔法を撃ち込んで、核をさがせばいいのよね?」
と、エレが確認する。
『氷土砕彗星』
頭上に大きな岩が現れて、急加速しながら落下していく。
眼下の『澱み』が薄くなるが、核は見つけられなかった。
「オリビア、見えた?」
「ちょっと、わからなかったわ……」
「よぉぉぉぉし!」
『氷土砕彗星群』
先ほどの岩が、多数上空に現れ、同じように落下していく。
ものすごい地響きと砂煙だ。これでは核を探すのは不可能と思われたが、すかさずオリビアが『突風』で砂煙を払う。
キラリと光る物が見えた。ウラニスが『火槍』で核を破壊する。
地上にいる選抜チームのハリーが、間髪を入れず『風の癒』で浄化魔法をかける。
「ハリー!よく、タイミングがわかったな!」
スクトゥムが、上空から声をかけると
「昨日も見ていたので、なんとなくです。広域攻撃で払ってからの、狭域攻撃で核破壊であってますか?」
「ハリーって、やっぱり状況把握能力がスゴいわよね。昨年もテキパキ指示してたしね」
「さすが、領主だわ」
エレとソフィアが、オリビアを見ながらニヤニヤしている。
※
「小隊の編成を変えてもいいか?」
イリオスがフォルティス、ノアに尋ねる。
「ニョロ、オリビア、フォルティスで、ひとチームにしてもらって、スクトゥム王子には、私のチームの手助けをして欲しい」
先ほどの連携を見ていて、エレが広域、ウラニスが狭域が良いと直感的に感じたが、自分が払うとなると、土魔法での『圧縮』になるから、砂煙を払いきれない可能性がある。
なので、スクトゥム王子にフォローを頼みたい。と、イリオスが自分の考えを述べた。
「なるほど……」
「いいんじゃないか?スクトゥム王子は全魔法だから、どれも対応できるだろうし、全体把握をしてもらえると助かるしな」
暫し話し合いの後、各自の行動が決まった。
ニョロ広域、フォルティス払い、オリビア狭域。
エレ広域、イリオス払い(スクトゥム王子)、ウラニス狭域。
ノア広域、ソフィア払い、ユリウス狭域。
「では、行きますか」
ノアが声をかける。
「総魔の前段階であることを、忘れずにな」




