王立魔法高等学校 二年生 Ⅱ
『王立魔法高等学校 二年生』は、攻撃魔法を主に学習する。より実戦的な攻撃魔法だ。
基本的な攻撃魔法の習得は普通クラスで行い、騎馬を操りながらの、実戦的な攻撃魔法の習得は普通クラスと騎竜クラスで分かれる。
ララ・モラレス男爵令嬢は、ハリーやソフィア、ユリウスと同じクラスに編入していた。
ララは、良く言えば自由奔放、悪く言えば自分勝手だった。
モラレス男爵自身、なかなか子供に恵まれず、ようやく産まれた子供が『ララ』だった。母親は、産後の肥立が悪く、亡くなってしまった。
そのせいもあって、甘やかして育ててしまい、また、厳しく指導する者もいなかった。
なので、淑女として如何なものか。という行動も多い。その上、浄化特化魔法を扱える。と特別待遇で王立魔法高等学校に編入したものだから、度を越えたワガママ振りだ。
今日も、攻撃魔法は必要ない。私には浄化特化魔法があるのだから。と、授業に出ていない。
城下で、眉目秀麗な男性を引き連れている姿が目撃されていた。
ハリーは、オリビアに追い付きたい。せめて選抜チームに入りたい。と懸命に努力している。
動体視力は良い方だったようで、的確に動く的に魔法を当てていく。
そんな彼の様子を、ソフィアとユリウスが暖かく見守っている。
「ハリーも、騎竜クラスに入れればいいのにね」
「もともと魔力は高いから、チャンスはあるよね」
訓練場に拍手が、響く。ハリーがすべての的を倒したようだ。
「まぁ、まずは選抜チームに入らないとね」
と、二人はハリーの昇格を楽しみにしている。
※
オリビアは、講堂で失神した後、一旦タウンハウスで療養している。
ハリーが、見舞いに来た時に(倒れる程疲労が貯まるなら、騎竜クラスを辞めれば良いのに。と言われるわ)と、内心ドキドキしていたのだが、オリビアの大好きなラベンダーの花束を両手いっぱいに抱えて来てくれた。その上
「僕が全面的に悪かった。オリビアの頑張りを否定して、足を引っ張る事しか言わなかった」
と、謝ってきた。思わず、オリビアは、具合が悪いのか?と聞いてしまい、ハリーの爆笑を誘った。
「僕は、オリビアの隣に立つために、まずは選抜チームに入れるように努力するよ。見ててね」
とまで、言ってくれた。
毎日、様々な花束を抱えてお見舞いにきてくれるハリーを見ていると、ケンカも、してみるもんだ。と、オリビアは思う。
現在のオリビアの一番の気がかりは『悪役令嬢』の記憶が数ヶ月無かった事だ。
『悪役令嬢』に同化していてたから、記憶が無かったのだとしたら、今、再び思い出したのはどういう事なのか。何かの分岐なのだろうか?
サルビアが言うには、冤罪はスクトゥムが、何とかする。と約束してくれているから、心配しなくていい。と言う。
「婚約破棄を回避できるかしら……」
オリビアは考える。このまま騎竜乗りを続けるなら、騎士団に入ることになる。騎竜乗りは、数が少なく貴重な存在だ。
ハリーと婚姻を結んで、騎士団で騎竜乗りを続けられるか?ヴァルトス領を管轄している騎士団に配属されれば、可能性はある。
「ハリーは、見ててね。と言っているし、一緒に騎竜乗りになれる事を期待していよう」
もしかして?と、オリビアは思い付いた。
ハリーが、騎竜乗りを目指す事が、分岐なのだろうか?冤罪に気を付けろと、『悪役令嬢』の記憶を、思い出したのだろうか?
それならば、良い方向に向かっているのではないか?と、オリビアは安心する。
そろそろ、学校にも戻りたいし……と、思いながら眠りについた。




