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王立魔法高等学校 二年生

 新学期が始まった。『王立魔法高等学校』の新二年生と三年生が講堂に集まっている。

 生徒会長が演台の前で、シャンデリアを通して射し込むきらびやかな光に照らされている。

 粛々と進んでいく、式典。少し、いやかなり退屈だ。生徒達のほとんどが、欠伸を噛み殺し始めた頃、校長の話が終わった。


 やっと、終わった。と思ったが、編入生を紹介すると言う。

 校長が名前を呼ぶが、誰も立ち上がらない。講堂がざわつき始めた頃、後側の扉が開いた。


「ごめんなさぁーい。遅れちゃいました」


 女子生徒の声がして、皆が一斉に振り返る。ピンク頭のかわいらしい令嬢が立っていた。そして、皆の横を通り、演台の方へ向かっていく。


「ララ・モラレス男爵令嬢。珍しい浄化特化魔法が扱える事が判明し、編入する事となった」

校長からの説明に、講堂内がざわつく。


 ()()()()()()が扱える。基本、聖域で修行をつんだ浄化士が扱う魔法だ。

 それも、修行すれば扱えると言うものではなく、適性が必要になる。十年に一人扱える者が現れれば、良い方なのだ。

 ほとんどの者が、適性がたりず()()()になってしまうほど、珍しい魔法だ。

 オリビア達魔力が強い者も、浄化魔法は扱えるが、『澱み』や『魔』を消滅させた後に土地や大気などを浄化させる、()()()()だ。

 ()()()()()()は、『澱み』や『魔』そのものに撃ち込めば、消滅と浄化が一辺にできる。

『総魔』との闘いには、必要不可欠なのだ。


『総魔』とは、『魔』の集合体であり、数年かけて『総魔』になる為、領主は、こまめに領地を探索し、『魔』の内に消滅するよう心がけている。

 が、希に急激に成長し、気づいた時には『総魔』になっている事がある。

 数十年に一度現れるかどうか、と言われる『総魔』だが、闘う上で絶対不可決な存在なのだ。


 オリビアは、ピンク頭の令嬢を見ながら、何か思い当たるような気がして、考え込む。

(ピンク頭?ピンク、ピンク……)

 そして、思い出した。


 ガタッ!


 急にオリビアが立ち上がり、視線が彼女に集中する。

「どうしたの?」

 隣に座っていたエレが、スカートの裾を引っ張り、座らせようとしているようだ。

(ピンク頭、編入、ハリー、婚約破棄……編入してくるのは三年時でしょ?)

 目を見開いたままの正面を見ていたオリビアが、視線を落とし、エレを見つめ

「どうしよう……私……」

 と言ったかと思うと、そのまま崩れ落ち意識を無くした。


 ※


 頬に暖かい物を感じたオリビアは、ふと瞳を開けた。

 すると、真横にハリーの顔があり、驚いた。

「……」

 しばし、見つめ合う二人だったが

「大丈夫かい?オリビア。急に倒れたんだよ?」

 少し、顔が紅いようにみえるハリーが尋ねる。

「すみません、御迷惑おかせしました」

「問題ないよ。それに、君を運んでくれたのは、ウラニスだ」

 と言って、席を立ち廊下へ続く扉を開けた。


「オリビアー!」

 と言いながら、エレ、ソフィアが医務室に入室してきて、その後から、スクトゥム王子、ウラニス、ユリウスも入ってきた。


 皆に心配され、信頼関係を持っているように見えるオリビアを見ながら、ハリーがつぶやいた。

「今からでも、追い付けるだろうか……」

 そのつぶやきを拾ったウラニスが

「悩むくらいなら、やってみたらどうだ?」

 と、ハリーに聞こえるようにつぶやく。

「そうだな。(ひが)んでいても仕方ないしな」

 と、微笑んだ。オリビアが大好きな、柔らかい微笑みだった。








次話は、本日20時頃投稿予定でいます。

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