開拓 Ⅱ
翌日、再び騎竜に乗り、三角の編隊飛行で、目的地である騎士団の駐屯地へと向かっている。ニョロも、空を飛んでついてきている。オリビアは背中に、弓を背負っていた。
昨晩、スクトゥム王子が
「結局、釣りと狩りとどちらを先にするんだ?」
と、言い出した。さんざん、あーでもないこーでもない、と言い出し、結局両方、一緒にやることになった。
湖の畔で釣りをして、釣れるのを待ってる間に狩りをする。という、とんでもない結論に至った。
スクトゥム王子の「風魔法は弓」という、これまた、よく分からない理論を押し付けられて、オリビアとソフィアとユリウスは弓を渡され狩りの担当、ウラニスとエレは釣りの担当に決められた。
当のスクトゥム王子は、楽しそうな方に、その都度参加するそうだ。
王子が満足そうなら、もういいや。と、ウラニスもユリウスもお手上げ状態だった。
※
ほんの数時間で、目的の駐屯地が見えてきた。
見渡す限りの荒れ地の中に、湖とこんもりとした森が眼下に見える。
まずは、駐屯地と開拓予定地区の湖近辺の間にある『澱み』を消滅しよう。という話になった。
「殿下、オリビア、いってもいいですか?」
オリビアが、名乗り出た。学校では、婚約であるハリーの目を気にしなければならなかったが、ここでは、誰も何も言わない。
「いいぞ、オリビア。思いっきりいけ」
言い終わるかどうか、の間に、オリビアは詠唱しながら、器用に片手で魔法を打つ。
「雷塊」
雷の塊が地面にめり込み、破裂する。
器用に、騎竜のテンコを操り、その場に留まりつつ、続けざまに雷塊を打ち付ける。
砂煙が上がる。テンコを操り急降下し『風の癒』で浄化する。
「ずっと想像してたんだよね。うまくいって良かったわ」
と、ニカッと笑う。
「オリビア、すごいよ!この間より、威力上がってない?」
と、エレが驚いている。
「あの……あまり、穴だらけにしないで頂けるかしら?」
と、ソフィアが小言を言う。
「土埋」
オリビアが開けた穴を、エレが埋める。
「あなた達、いいコンビなのね」
と、ソフィアが呆れたように言いながら、笑っている。
後方で笑っている彼女達を振り返り見ながら、オリビアに元気が出てきて良かった。と、思うウラニス達だった。
※
空から、あらかた『澱み』を消滅してから、駐屯地に降り立った。
騎竜達に休息してもらい、徒歩で移動可能な範囲だけ、先に浄化してしまうことにした。
先ほどの攻撃を見ていて、スクトゥム王子達に任せても大丈夫だと判断したアルメディス騎士団の部隊長は、徒歩圏内の浄化をイザニコスに任せた。
ただ、学生なのでオリビアの兄達が見守る事になった。
※
フォルティスが、オリビアに近寄り尋ねる。
「ハリーのとの事は解決したのか?」
みるみるオリビアの表情が曇ってゆく。
「エレ達に話を聞いてもらって、スッキリはしたのだけど……」と続ける。
今の所、ハリーの機嫌を損なわないように、成績が落ちるギリギリをキープするように努力しているが、ウェントス基礎学院の推薦をもらってまで入った学校なのに、手を抜くのはどうなんだろう。と思っている。と伝える
「兄様、騎竜クラスっていうのは、普通クラスと授業は一緒になるんですか?」
「あー、確か基本教科は一緒になるけど、ほとんど騎竜のメンバーと過ごしたな」
それなら……とオリビアは、もう手加減することなく授業を受ける事にする。と話した。
ハリーにさえ気付かれなければ、嫌味を言われる事もないし、どうせ、婚姻したら大人しくしないといけないんだから、それまでは思う存分暴れるわ。と笑う。
大人しくしないといけないという、考えが悲しいな、と思うフォルティスだったが、どうしてやる事もできない自分に苛立つだけだった。




