開拓
騎竜の待機場で、その場にいた騎竜達が一匹残らず、オリビアに頭を垂れている。
いや、正しくはニョロに頭を垂れているようだ。
ニョロは、そんなことは気にならないようで、手入れの行き届いた広い水呑場で泳ぎだした。
騎竜達が、再び動き出したのを見ながら、アルメディス騎士団員が、こんなことは、初めてだ。と驚いている。
「実は、前にもありまして……」
と、オリビアは学校で騎竜に選ばれた時の話をした。
話を聞いていた、ウラニスの兄イリオスが
「ニョロは水龍なのかもしれない」
と、言い出した。
竜と龍の関係まではわからないが、フォンターナ領に海龍伝説があり、ニョロみたいな姿だと言い伝えられている。
「お前の魔法の『火龍』も、ニョロみたいな姿じゃないか?」
と聞かれたウラニスは、確かに……と答える。
エレが、城下町でニョロが『精霊の使い魔』と言われた事を思い出した。
スクトゥム王子が、精霊が使い魔になるには、余程の恩を感じてないと難しい。と話すと、フォルティスが
「オリビア、ニョロが干からびてた。って言ってたよな?」
そんな事を言っていた。と、ウラニスも同意した。
オリビアは、大雨の降った翌日、湖の畔で干からびたニョロを見つけて、しばらく水に浸けていたのだった。
干からびていた精霊または龍のニョロが、助けてもらったお礼に、オリビアの使い魔になった。と言われれば、そうかもしれない、とは思う。
なぜ、騎竜が龍に頭を垂れるかまではわからないが、龍は精霊と同じ立ち位置で、感謝すべき、敬うべき存在なのかもしれない。
「ウェントスは、龍に縁が深いんだな」
と、ノアとイリオスがフォルティスを見て、意味深に笑う。
「言うなよ」
と、フォルティスは、口元に人差し指を立てた。
※
騎竜達の相性は、ニョロのお陰なのか問題ないようだった。
再び会議室に場所を移して、明日からの開拓の作戦を、部隊長から聞く。
「侯爵から話があったと思いますが、交通の要となる土地に街を作りたい。という要望があります」
以前より商人を中心に、領民から、その辺りの地区には、宿場町も無いので、野宿をしているのだが『魔』が怖いから、何とかして欲しい。と要望がでていた。
そこで、騎士団の駐屯地を置いて、宿場町の変わりに、寝泊まりできるようにしていたが、どうにも不便らしい。
そこで、開拓し宿場町を作る事にし、様子を見て街に発展させ、主要な地区の中継点にしていきたい。との事だった。
今現在も、街道の整備に力を入れている。ゲートは使用料がかかるので、平民はなかなかゲートでの移動は難しい。
駐屯地の近くに森林と湖があるので、それらを残し、上手く観光としても利用したいそうだ。
「まずは、森と湖を確認して、浄化ということよね」
と、ソフィアが確認する。
「はい、まずは、その近辺から始めていきたいと、思っています。ある程度浄化してもらえれば、後は結界士にお願いしてあります」
『澱み』や『魔』を消滅、浄化させても、時間が経つと、再び発生する。
なので、街などにする予定の時も、開墾と同じように結界士に結界を張ってもらい、『澱み』が発生しないようにするのだ。
その後も、『澱み』や『魔』の発生状況を確認し、遅めの昼食を取った。




