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アルメディス領

 アルメディス侯爵家の朝は、侍女の悲鳴で始まった。


 うすく淡い青緑色の蛇のような生き物が、オリビアの上で、どぐろを巻いていたのだ。

 侍女の悲鳴で、その生き物は動き出した。そして、また悲鳴。

 蛇に四本の足が生えていて、歩いたのだ。


 悲鳴に驚いて起きたオリビアも、目の前にの光景に、驚愕した。

(たぶんニョロちゃんだけど、大きさが……昨日までは、肩に乗れていたのに。足もあるわ、あら、手かしら?)

 ニョロは、上半身?を上げ、まるで二本足で立っているように見える。そして、歩く。歩くときは、四つ足だった。


 騒ぎに気付いたソフィアやエレも、オリビアの部屋に入るなり、息を飲む。

「ニョロちゃん……よね……」


 ※


 食堂の入り口で、スクトゥム王子達が、立ちすくんでいた。

 彼らの目前で、うす青緑色の蛇が、ウニョウニョと空を飛んでいた。王子が、指を差して問いただす。

「お前は、なんだ……」


 エレ曰く、オリビアの精神状態がニョロの成長に影響しているのではないか、と言う。

 確かに、学校内でニョロは元気が無かった。いつも、オリビアの肩にうずくまっていた。

 騎竜乗りになり、ハリーと会わなくなってから、オリビアに活気が戻ったのは確かだ。


「それで、これからどうするんだ?」

 ウラニスが、気になる様子で聞いてきた。

 まさか、ニョロニョロ周りを飛び回るのか?学校生活を送る上で、面倒な事にならないか?

 オリビアの肩に乗っているだけでも、コソコソ言われているのに、()()()()となって、周りが何を言い出すか……とオリビアを心配している。


 さて、どうしたものか、学校に相談してみようか、と話していると、ニョロがみなの目の前で、クルリンと一回転した。

 すると、みるみるうちに、見慣れた手のひらサイズのニョロになった。

 呆気に取られていると、また一回転して、手足の生えたイチメートル程の蛇になり、ニョロニョロ飛んでいる。


「ニョロは、大きさを自由に変えれるの?」

 と、オリビアが聞けば、一回転して手のひらサイズになった。

「ニョロ、大きくなぁれ」

 と、ちょっとフザケ気味に言ってみれば、クルリンと一回転して、大きな蛇になり、ニョロニョロ宙に浮かぶ。


 このメンバーの前では、大きいままでもいいけど、学校では、小さくなっていてね、とオリビアがお願いすると、「わかった」とでも言いたそうに、彼女の周りをニョロニョロ飛び回っている。


 ひとまず、アルメディス領では、大きいままでいいだろう。と言う事になり、ソフィアが父である侯爵に話をしに行った。


 ニョロの騒動のせいで、遅くなってしまった朝食を頂きながら、侯爵より今後の予定が話された。


 交通の要となる土地に、あらたな街を作りたいので開拓を希望している。

 今日は、騎士団との顔合わせを兼ねた打ち合わせをしてもらい、明日から現地へ向かって欲しい。

 騎士団の駐屯地が近くにあるので、開拓が終了するまで、そちらで寝泊まりになる。

 侍女、侍従に身の回りの雑務を頼んではあるが、不便を掛けさせてしまう、と申し訳なさそうにオリビア達に告げた。


 スクトゥム王子が、食事さえあれば問題ない。寮生活で身の回りの事は、自分たちでできる。と答える。

 まだ、数日しか一緒に過ごしてないが、代表して答える場面では、スクトゥムが答える。


 王子だからというのもあるだろうが、チームのまとめ役といえる。



 スクトゥム・エーリオン第五王子、エーリオン王国のすべての妖精に守護された雷の使い手で、褐色の肌に、ハニーブラウンの髪、コバルトブルーの瞳が美しい。生きた彫刻のようだ。


 ユリウス・ドゥーカス、氷の守護を受けた風の使い手。銀髪でエメラルドの瞳を持ち、ハーフアップにしている髪型のせいもあって、中性的な雰囲気を持つ。いつも穏やかで、まるでそよ風のようだ。


 ウラニス・フォンターナ、水の守護を受けた火の使い手。相反する属性魔法に苦労したようだ。ダークブラウンの髪にラピスラズリの瞳。目元のほくろに色気を感じる。いつも、誰かしらの心配をしている。


 ソフィア・アルメディス、土の守護を受けた、風の使い手。若草色の髪色が目を引く、薄茶の瞳で、光加減で金色にもみえる不思議な瞳の色だ。儚い雰囲気を持っているが、しっかり屋だ。


 エレ・クロニエ、氷の守護を受けた、土の使い手。ブロンドにアクアマリンの瞳を持つ。派手な攻撃魔法に憧れていて、土魔法は地味だ、と嘆いている。


 オリビア・ウェントス、風の守護を受けた、雷の使い手。黒髪にアメシストの瞳を持つ。肩に白蛇を乗せていて、近寄りがたい雰囲気がある。『悪役令嬢』の記憶を持っていたが、今は忘れているようだ。






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