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騎竜 Ⅱ

 ハリー・ヴァルトスは、領地へ帰る為に、馬車でゲートに向かっている。

 そして、オリビアに会えず(いきどお)っている。


 夏期休暇の前日に、騎竜クラスの発表で、並んで立っていたのが最後に見た姿だ。それ以降、姿も見かけなければ、会話もしていない。呼び出しにも応じてもらえない。


 何度か、オリビアに面会を申し込んだのだが、学校側からは、『一週間で騎竜に乗れるようにしなければいけないので、特訓中だ。訓練所は立ち入り禁止で、面会も許可できない』と、取り付く島もない。


(オリビアは、僕の婚約者だ。僕の物だ)

 ハリーは、やり場の無い怒りを抱えていた。

 そして、思い付いた。

(そうだ、領地の『澱み』退治で、呼び出せばいいんだ。領地に帰ったら、早速手配しよう)

 ハリーは、一人ほくそ笑んだ。


 ※


 何も知らないオリビアは、王立魔法高等学校の敷地内にある訓練所で、一日中騎竜に乗る練習をしている。

 紫色の鞍を竜の背に乗せると、魔方陣が浮かび上がり、竜に固定された。

 竜の首に手を掛け『よいしょ』と、よじ登る。ここまでは簡単なのだが、これで空を飛ぶのが難しい。

 まず、地上で歩かせる練習をする。手綱を左右に引くことで方向、足で身体を叩くとスピードがあがる、両方の手綱を引くと減速または上昇……


 エレは、減速したくて両方の手綱を引いているのだが、力加減に左右差があるようで、何度も高速スピンになっている。


 オリビアは、上昇したくて足で身体を叩いて、手綱を引いているのだが、何度やっても、止まってしまい、騎竜は『どう?』とでも言いたげに首を回し、後ろのオリビアを伺う。その姿が可愛くて、笑ってしまう。


 ソフィアは、身体を叩く力が弱すぎて、いつまで経ってもトコトコ歩いている。こんなに可愛い子を叩けるわけない!と言いつつ、ずっーと、歩いている。


 男性陣は、三人ともすんなり指示が通ったようで、抜けるような青空を、飛び回っている。そして、早くこいよ!と、笑っている。


 ※


 訓練最終日、校舎の上を六匹の竜が、悠々と飛んでいる。教官の笛の音で、旋回や編隊飛行の確認をしていた。

 また、騎竜で飛行しながら攻守魔法を放つ最終確認も行った。片手、時には両手を使うこともあるので、バランスを取るのが難しいが、慣れればそうでもない。


 初めの頃は、無様な様子を見せていた令嬢達も、騎竜との意志疎通が図れてからは、早かった。

 明日からの夏期休暇中に、騎竜との仲を深める事と『澱み』退治がある時は、騎竜と一緒に参加する事を告げらるた。

「最後に一つ。騎竜に名前をつけてあげて下さいね」


 オリビアは、もう名前を決めていた。天鼓(てんこ)だ。騎竜で旋回しながら、雷を放つ。想像するだけで、ワクワクする。正に、雷鳴、天鼓(てんこ)だ。


 ハリーとは、夏期休暇に入ってから、まったく連絡を取っていない。多少気掛かりではあるが、騎竜に乗ることの方が楽しくて仕方がない。


 明日からは、エレとソフィアの領地に招待されている。飛行訓練にちょうどいいので、みんなで飛んでいく予定だ。

 ハリーには、招待の事を連絡してあるので、問題ないだろう。


 オリビアは、久しぶりにワクワクしている。



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