悪役令嬢
この世界、エーリオン王国で六大魔法、火・水・風・土・雷・氷は、精霊の加護との合わせ技ができる。
それぞれの領地特有の精霊の加護を受ける事ができ、また守り神にもなる。
例えば六大魔法の風と花の精霊で、花吹雪。土と草の精霊で、豊かな大地。これは、荒れた土地を開墾するのに便利で領主に喜ばれる。
また、六大魔法と同じ型の精霊も可能である。例えば、水+水=氷 火+火=業火などがある。
この場合、精霊の力を借りているので、普通の魔力消費で効果倍増だ。
したがって、魔力と想像力さえあれば、いろいろな攻守魔法を繰り出せる。
魔力が強い程、基本魔法としての自身の身体の回復・再生もできる。が、他者の身体再生だけは、『原則』できない。
したがって、魔法は夢があり、無限なのである。
そして、人々の負の感情が、澱んだ所に産まれるのが『魔』であり、私達は彼等を怖れ、浄化する。
私、オリビア・ウェントスは、風の精霊の加護を受けていて、魔法は雷である。
そして、断片的ではあるが、おかしな記憶がある。
どうやら『異世界転生』しているようだ。
それも、『婚約破棄され断罪される、悪役令嬢』これしかわからない。ゲームの世界なのか、小説の世界なのかもわからない。私の前世もどんな死にかたをしたのかもわからない。
誰と婚約するのか、どんな分岐や選択肢があるのか……いまいちハッキリしない。
頼りになる『おかしな記憶』でさえ、予感や予知、予兆と言ってしまえる類のものでしかない。
回復魔法・浄化魔法に長ける、ピンク頭がヒロイン決定だろう。
そして、眉目秀麗な男性が攻略対象者なのであろう。
これぐらいの情報しか持ち合わせていないので、攻略対象者のフラグを折りまくって、味方につける事もできない。
出たとこ勝負の断罪ルーレットだ。
なので、これは『オリビア・ウェントス視点』の新しい転生物語という事にした。ビクビクしていても心臓がもたない。
わずかな情報を頼りに、生き残れそうな選択肢を選んでいこう。
とはいっても、避けられる物は避けておきたいので考えた。
転生物は大抵、貴族の大多数が通う三年制の豪華絢爛な王立学校に、平民の有能なヒロインが特別に入学し、眉目秀麗な攻略対象者の心を鷲掴みする。
見に覚えの無い罪をなすり付けられた悪役令嬢は、卒業パーティーで婚約破棄と共に断罪される。
それならば、豪華絢爛な王立学校に行かなければいいのではないか?と、思い付いた。
それならば、どうするか?
いいところがありました。武道派の学校『王立魔法高等学校』が!
騎士団に入るためだったり、領地の『魔』を退治するために、特殊な攻守魔法を学ぶ為に通うような、『戦闘特化型の魔法学校』である。
王立学校での一般的な魔法に加え、より高度な攻守魔法を学べる三年制となっている。
貴族の令嬢でも、領民を守る為には、より強い攻守魔法が使えた方が良い、と考える者が一定数いる。特に『澱み』を領地に抱えてる令嬢だ。
それなので、未成年貴族の社交場である『王立学校』を選ばなくても、なんの違和感もないはずだ。
オリビアは『王立魔法高等学校』に通い、婚約者も作らず、卒業後は騎士団で魔導師になる。と決めた。
まずは『王立魔法高等学校』に入学するために『基礎学院』からの推薦書と入学試験突破を目指すことにした。
『基礎学院』はそれぞれの領地にいくつかあり、国営で運営されていて、十三歳から十五歳まで通う。
その『基礎学院』内で、特に優秀であり、人格に問題がない生徒で、希望するものが『王立魔法高等学校』への推薦書を得られる。
つまり、エリートのみが通える学校なのである。
オリビアは『基礎学院』でのエリートを目指している所なのだ。
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『魔法だらけの世の中で、式神使いはいかがでしょう』も、よろしくお願いします