課外授業 Ⅲ
テラスに出たオリビアとハリーを見送り、スクトゥム王子がウラニスに聞く。
「なぜ、婚約者殿はオリビアに冷たいんだ?」
「そうでしたか? 心配しているように見えましたが?」
「いや……あれは……」
スクトゥムの母親は、第三王妃で南国の王女だ。母親の遺伝子が強かったのか、彼は、肌が褐色で凛々しい雰囲気をかもし出している。
肌の事で幼少期には、嫌な思いもした。その経験があるからか、人の心の動きに敏感だ。
「よし、私が様子を見てこよう。誰も私を制止できないからな」
と高笑いをしつつ、堂々とテラスの二人の元へ向かった。
※
「……君まで攻撃魔法を放つ事はないよね? 友人に任せておけば良かったじゃないか」
スクトゥムがテラスに出ると、ハリーの声が聞こえてきた。(やはり、嫉妬心だな)
「それは、違うよ。ハリー」
急に背後から聞こえた声に、テラスの二人は驚き振り向く。
「これは……殿下……」
と、慌ててハリーとオリビアは礼をする。
「ハリー、私たちは君の領地から要請されて『澱み』の消滅に来た選抜メンバーだ。だから、全力で対応するのは礼儀だと思うよ。」
スクトゥムは、オリビアの横に並び立ち
「君の後ろに控えていて欲しかったのなら、婚約者として招待するべきではないかな?」
何も言えなくなったハリーを横目に
「オリビア、君は素晴らしい。自信を持つんだ。ヴァルトスの民の為に力を奮ってくれて、この国の王族として感謝する」
そして、オリビアの手を取り
「一曲踊ってくれないか?良いだろうか、婚約者殿」
と、ハリーに許可を求める。
王族に異を唱えられる事など、出来るはずもなく、ハリーが頷くと、そのままホールへとオリビアを連れて戻っていく。
二人の姿を見送るハリーの肩が、わずかに震えていた。
※
ホールに戻ったスクトゥム王子は、皆の注目を集めるようにオリビアを称賛し、ダンスを申しこんだ。
一曲踊り終わると、ハリーの元に行き
「私の国の優秀な友人を、よろしく頼むよ」
と、肩を叩きながらオリビアを引き渡した。
「次は、僕とおどってくれるかな?」
いつもの様に柔らかく微笑む瞳に、オリビアは安堵する。
ハリーのリードは、とても優しく思いやりに溢れていて、踊り易く感じる。
オリビアは、自分の瞳を見つめる、艶っぽいセピアの瞳にウットリしていると、急に腰を引かれ、耳元で囁かれた。
「僕は、従順な女性が好きだな」
アメシストの瞳を見開き、ハリーを仰ぎ見る。冷ややかな笑顔に、オリビアの背筋は冷たくなった。
『魔法だらけの世の中で、式神使いはいかがでしょう』
https://ncode.syosetu.com/n5227ib/
も、よろしくお願いします




