学校生活一日目
入学式が行われている講堂は、天井が高く、正面の上方には、何かの物語の一節なのか絵画が描かれている。
ステンドグラスとシャンデリアの光が入り交じり、神秘的に演出されている演説台で、生徒会長が祝辞を述べている。
とうとう『王立魔法高等学校 第一学年』が始まった。
オリビア・ウェントス伯爵令嬢が、婚約者ハリー・ヴァルトス侯爵令息に婚約破棄を宣言され、断罪されるまで、後二年。
粛々と式が進んでいく中、オリビアだけが、憂鬱になっていく。
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第一学年の教室は、二階にある。一学年四十人程で、二クラスに分かれている。
左右に五列ずつ、二人掛けの机が並ぶ。
オリビアは、窓側前から四列目だった。日当たり良く、窓からは噴水を中心にした、ノットガーデンが見える。
隣には、女生徒の羨望の眼差しを受けている『第五王子 スクトゥム・エーリオン』がいた。
後ろには、次兄フォルティスの友人の弟、ウラニス・フォンターナ。前には、寮で隣室の、エレ・クロニエが座っている。
婚約者のハリー・ヴァルトスと領地でのパーティーで紹介された、次兄フォルティスの友人の妹、ソフィア・アルメディスは、隣のクラスだった。
オリビアは、何とも言えない視線を感じている。それも、隣の第五王子スクゥトゥムからの視線が一番痛い。
左肩に乗る『ニョロ』ちゃんの事が、気になって仕方ないのであろう。教室内からは、『白蛇使い……』と囁かれている。
事情を知る、前の席のエレは肩を震わせ、後ろからは、ウラニスのクスクス笑う声が聞こえる。
オリビアから、声をかける事はできないので、どうしたものかと窓の外を眺めていると、クラス担任が入ってきた。
担任の簡単な自己紹介の後、『身分証』が生徒に配られた。表には、名前と学年が印字されていて、王都にいる間は、常に携帯しておくように伝えられた。
なんでも、王城門の出入り時に必要だそうだ。また、王都での買い物時に提示することで、会計ができるとも言われた。
歓声が上がったが、異常な金額が表示された時には、即座に家へ連絡が入るので、注意するように。と釘を刺される。
この後は、校内の案内をするとの事で、廊下へ出る。
校舎は、四階建てで、一階は食堂、図書館、広間など公共の部屋が続く。
昼食は、校舎内の食堂でも寮の食堂、またはタウンハウス、時間があれば城下で食べても良い。との事だった。
ただし、授業に遅れないように。と、注意が入る。
二階は一年生、三階は二年生、四階は三年生となり、それぞれの階に、基礎教室、学科毎の教室が入る。
校舎を中心に左側に男子寮、右側に女子寮が建っていて中庭を囲むように建っている。
また、校舎の二階はテラスがあり、男子寮、女子寮の二階とつながっている。端は階段になっていて、中庭へと降りられる。
正面玄関の右側に、入学式を行った講堂、左側にも二階建ての建物があったが、先生からの説明はなかった。
それぞれの建物は、装飾された渡り廊下でつながっている。
校舎の裏手には、訓練場や騎竜、騎馬の飼育所があるそうだ。
騎竜、騎馬は、羽の生えた竜や馬で、騎士団の異動に使用する。
王立魔法高等学校の卒業後は、騎士団を希望する生徒が多いため、乗馬の練習を二年生から行うそうだ。
ざっと、敷地内の説明が終わり、正面玄関に戻ってきた。今日は、ここで解散で、午後からは自由に過ごして良い。と言われたので、オリビアとエレは城下へランチに行くことにした。




