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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

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大願成就

作者: シバザキアツシ
掲載日:2023/02/10

なんて良い日なんだ!

涙を流しながら、大笑いした。


昨年の11月に大怪我をして、松葉杖生活になった。

12月、松葉杖から杖に変わり、一人で買い物に行けるようになった。

松葉杖の時から思っていたが、この国の人達は、怪我人に何故か道を開けてくれない。

通りすがりにニヤける奴もいる、どういう感情なのだろう?

この国は怪我人には人権がないらしい。

こんな優しくない国、滅びればいいのに…。

その気持ちはどんどん膨らんで行く。

そういえば、ネットで買ったロト6の当選を確認してなかった。

なけなしの金で、止まっていた携帯電話を復活させる。

買った番号は、昔付き合っていた人の誕生日と、自分の誕生日と、初詣に行った時買った、おみくじの番号。

当たるはずないと思いながら、1枚入魂の二百円。

弁当を買い部屋に帰り、マスクと上着を玄関のハンガーにぶら下げて置く。

職場の人間に、都心に住んでるなんて羨ましいとか、良く言われるけど、いくら都心でも探せばいくらでも安物件なんか出てくる。

ここも名前はマンションなのだが、どう見てもアパート、宅配の人が迷うのも無理ない。


さて、幕の内弁当を電子レンジで温めている間、スマホの電源を入れて番号を確認する。

…、…、…、…、…、…。

当たってる?

………………。

当たってる…全部の数字が一緒…。

キャリーオーバーも発生してたはず、詳しい数字は知らないが、かなりの大金なのは間違いない。

ふと小学校の卒業文集に書いた、将来の夢を思い出した。

馬鹿丸出しの『お金持ちになる!』

夢が叶った、と言う事なのだろう…。

次の瞬間、地面が持ち上がる感覚、一瞬フリーズするが、地震だと気付いた。

緊急地震速報が鳴らない、直下か?

古い2階建ての鉄筋コンクリートは、意外と丈夫だ。

急いでテレビをつける。

前回の震災より、規模が大きい可能性があるらしい。

もう一度、さっきよりデカい揺れが来た。

このマンションは、持ち堪えたが、恐らく周囲は大変な事になっているだろう。


外で大きな音がなる、今更?緊急地震速報?

いやこれは、全国瞬時警報システムだ。

しまった、初詣の時にお願いした事が聞き入れられてしまったのか?

テレビから流れて来るのは、某大国から核弾頭を積んだであろうミサイル数十基が、首都に向かって飛んで来ているらしい。

撃ち落とせないものか?いや、無理だろう。

この国は1つの決断を下すにも、責任逃れ、押し付け合いのたらい回し…とても間に合わないだろう。

そう考えると、地震のタイミングでなくても問題なかったのでは?と、どうでも良い事を考える。

情報統制出来てない時点で、既に混乱して詰みなのだろう。


そう、今まで初詣なんかお賽銭を入れて何となく手を合わせるだけだった。

今年は、本気でお願いしてしまった。

大日如来像の前で、気合を入れて。

「この国が早く滅びますように」と。


人は手に入れた大金を使わずに、死んでしまう事は不幸だと言うだろうか?

いや、小学校の時の夢が叶い、願い事が聞き入れられた。

2つの事が叶ったのだ、これは幸せな事なのではないだろうか?

なんて良い日なんだ!

涙を流しながら大笑いした、物理的に燃え尽きるまで、大吉のおみくじを握り締めながら。

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― 新着の感想 ―
[一言] 果たしてこの主人公はとてつもなく強運なのか、それとも不運なのか……痛快なようなたまらなく気の毒なような、考えさせられるお話でした。 周囲から優しさを向けられないことが最終的にこの国の滅亡に繋…
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