海月
海月。
宇宙の欠片に海月が游ぐ。
星々を巻き込みながら、ゆったりと。
星屑を纏った海月の輪郭がふわりふわりと揺れる。
まるで、ウエディングドレスに身を包んだ花嫁のように。
海月はやがて白く霞む月を覆った。
月は海月の心臓となり、ぽくん、ぽくんと弾む。
体内を廻りめぐる、純白に艶めく血液。
月の海は荒れ狂い、飛沫が舞い散った。
靄を織り交ぜた触手の先に、一粒の飛沫
が蕾む。
瞬く間に雫は散って、深い闇に波紋を描いた。
凪いだ宇宙に、波が踊る。
硝子のように繊細な触手が…
水のように柔らかな触手が…
眩い闇に垂れている。
リボンのように、ゆらりゆらりと波打ちながら。
貴女は僕を刺したのか?
僕は貴女に刺されたのか?
痙攣する身体に、貴女の毒が廻っているというのか?
溢れるほどの光に包まれて、貴女は艶やかな妖しい笑みを浮かべた。
その姿さえ、毒のように美しかった。
くらげ。