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17・そして、テンプレが発動する

 1916年は秋まで毎日のように戦死通知を郵便配達で届けられていたらしい。


 そら、厭戦機運も高まる訳だ。


 そして、恒例の四姉妹がプサンへとやって来た。


 年が明けて今年もロシアのクリスマスに呼ばれたのだが、今回初めて知った。


 これ仕組んでたの伊藤さんと権兵衛さんらしいよ。


 気にはなっていたが、マリアさんは我関せずで、タチアナさんはニコニコこちらを見て、オリガさんはアナスタシアの尻拭いをやっている。


 いつもそんな感じ。


 今年変わった事と言えば、じゃじゃ馬、銃を撃ちたいと言い出した。誰だよ、教えた奴。


 駄々をこねるじゃじゃ馬をオリガさんが宥めるが、諦める気はないらしい。


 仕方なく南部さんが護身用にと渡してきた南部小型拳銃の弾倉を抜いて渡した。


 ほら、人に銃口を向けない。


 だから、無暗に引き金に手をかけない。


 そんな持ち方して、もし発砲したら手首傷めるからやめなさい。


 お守が色々大変だ。


 そんな疲れるプサンでの休日を終えて済州島へと戻って来ると、どうもロシア情勢が怪しくなっているという。


 もしもに備えて済州島に居る特別乗り組隊や陸海軍の特殊部隊に待機命令が出され、本土ではテーハンへ派兵可能なように準備が始まったらしい。


 今年は四姉妹は3月になってもとどまっていた。


 と思ったら、ロシア革命が起きたとかで混乱が極東まで及んできた。


「朝鮮族が反乱を起こしたらしい。革命政府からも皇族の保護が日本へ要請された。速やかにプサンへ向かうように」


 待機状態だった特殊部隊は迅速にプサンへ入ったが、すでに各所で交戦が行われていた。


 プサンにある宮殿の安全確保を最優先に小高い山の上にある宮殿へと向かった。


 海軍陸戦隊潜入偵察隊がまずは俺たちの上陸場所を確保し、港湾部の街角では俺たち海上警備隊特別乗り組隊が安全確認を行う。


 そして、陸軍先行偵察隊が欧州風の街並みを駆け抜けて宮殿までのルートを確保した。


 街中にも反乱軍が入り込んでいる様で、所々で交戦が行われている。


 なぜここまで酷い状況なのかと言えば、極東は日米が居るので兵員は少なくて良いだろうと、ロシア軍はかなりの数を欧州戦線へ引き抜かれているからだ。


 その為、テーハンに居るのは武装警察部隊が中心で、その装備も日本が都合をつけた30年式歩兵銃や三八式機関短銃で武装している。


 反乱軍の武装はどこから持ち込んだのか、ドイツ製ライフルGew88が主体らしい。


 いや、そうなって当然と言えば当然だ。


 朝鮮族はロシアがあまり興味を示さない北部や満州境界域の山岳部でケシを栽培し、馬賊に売り渡している。

 そして、その馬賊が大陸で売りさばいて得た利益で、満州鉄道の平行線建設などを行っているらしい。


 辛亥革命で中華民国って国が出来ただろうって?


 満州にそんなものはない。張作霖とかいう馬賊が根城にして好き放題やってるよ。


 どうやら、ソイツと朝鮮族と日本の有力裏組織が組んであれこれやっているとの事。


 そんな訳で、日本国内でもアジア協和がどうのという勢力が気勢を上げているらしく、東京や大阪でデモや暴動が起きたらしい。


 そんな訳で、反乱軍の武器は潤沢にある。


 フットワークは軽いが持久戦には向かない俺たちは四姉妹とその近習を連れて済州島へと引き返すことにした。


 武器が溢れる艦内で目を輝かせるじゃじゃ馬を制御するのが俺の役目だった。


「外国の皇族なんですから、相手するのは宮さまの仕事です」


 と、誰も代わってくれない。笑ってんじゃねぇ。


 どうも、四七式機銃がお気に召してしまったらしく、後でモデルガンか何か与えてやってくれと南部さんに相談したら、四七式機銃の民間型作るとか斜め上の返答を貰った。

 エアガンで良いと言ったら、そんなプラスチック技術はまだないという。


 と言いながら空気銃を作ってくれたのでホッとしたら、完全に間違いだった。誰も鉛玉を撃つ鉄砲なんか頼んでねぇよ。


 仕方ないので、それ持って狩猟に連れていく事で妥協した。


 俺がそんな悩みで振り回されている頃、テーハン情勢は悪化の一途だった。


 ロシア人居住地域への攻撃だけにしとけばよいのに、反乱軍はあろうことか遼東半島を攻撃してしまったので米国が本気で乗り込んできた。


 そして、日本にも日米安保による周辺事態だから協力しろとおっしゃる。


 ちなみに、すでにロシア革命政府もテーハンの事は投げ出しているらしく、日本でご自由になどと大変困る発言をして来たので、米国がその言葉通りに日本へあれこれ言って来る。


 もちろん、また海賊の巣窟になられても困るので日本も派兵を決定。


 すると、米国はそれを聞いてテーハン内へと侵攻を開始した。


 またまたマンハントの始まりである。


 正義の味方、米帝様による汚物の消毒。そして、更生の期待が持てる人々を更生させるために遼東半島で再教育を行うために連れて行くという。


 当然だが、ケシ栽培が行われている地域は満州内であっても消毒対象とされ、ドンドン村が地図から消えていったという。


 分からなくはない。


 満州鉄道の平行線を建設している資金源がその山にあるんだもの。叩き潰したくなるよな。


 そんな米国は日本海軍や海上警備隊が大西洋でも護衛を行いドイツ潜水艦を警戒しているため、参戦する切っ掛けとなるような劇的な商船撃沈が起きていない。


 その為、テーハン派兵は以前のコロンビア号事件の事もあって大々的に行われている。


 もしかしたらここでテーハン問題で戦争参加への世論を作り出して、その盛り上がりの余勢で欧州参戦しようとしているのかもしれない。


 そんな米政府の下心もあってテーハン作戦は大々的に、それはもう、大々的に行われている。


 日本軍が呆れるような方法で、呆れるほどに無駄な銃弾、砲弾が飛び交うんだ。テーハン北部に日本軍が近付かないのはそうした理由もあった。


 そして、テーハン南部ではロシア人が入植し、日本人が指導と工事を担当してかなり大規模な土地改良が行われ、農地整備が進んできていた。


 極東のロシアの希望と言われ、テーハン南部はロシア語で希望の意味があるНадеяться(ナディエ―ジタ)と改名しようとすら言われていたほどだ。


 そんな噂が混乱が深まるロシア中に広まり、5月ごろからはシベリアを目指す人々が増えていった。


 そして、米国待望の事態が大西洋で起きた。らしい・・・


 らしいというのは、すでに戦時徴用で多くの客船や貨物船が軍によって運航される中、なぜか民間人多数が乗った客船が撃沈されたからだ。


 米国発の貨客船で、公式には武器弾薬などを積んでいないとされた船が、ドイツ潜水艦に撃沈されたという。


 

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― 新着の感想 ―
[良い点] ここまで日米がビジネス的に友好的な小説は貴重。 [気になる点] 米国内の半島系や中華系とかどうなってるんやろ。WW1で鉄砲玉にされそう。 [一言] なんか夫婦でマシンガンばら撒く皇族夫婦が…
[一言] 殺魔人もマンハントしている米帝もどーよ……笑
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