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第2話 尽きない闘志、絶対の意志

クロードがぺったん娘なノーラさんに


「抱かせろ」


って迫った後、なんやかんやあって野球部のNTR坊主頭と、自称サバサバの太った女の人の4Pに発展。

しょっぱいベーグルの間食を交えつつ、2時間の休憩後に2人と、NTR坊主頭と自サバの人が男女2人ずつになり


「ヴォンジュール」


と不敵な笑みで、別れの挨拶をして解散。

帰り道、彼女が闇堕ち米津にゴキブリ食べさせられそうになった所を、彼が


「米津さんザコですね!」


と罵って追い払い、2人の仲が深まる。

後日デートの待ち合わせをしている時、クロードが用を足しにいくと、アメ舐めてるメスガキとトイレの個室で鉢合わせて、偶然通りがかった竜人族の双子の奴隷に助け船を出してもらう。

助けてもらったお礼に、奴隷の持ち主の名無しの魔女を


「魔女様マジで強すぎですぅぅぅ!!!」


と褒めちぎると、魔女が一瞬で飛鳥姉さんに変化。

わけがわからず彼女から逃げ出すと、とげちー♠と元極道のコンビニ店員に取り押さえられる。

その場面で目を覚ましたクロードが、夢オチに胸をなでおろし勤務先にいくと、今まで登場したキャラ全員が、いい汗をかきながら足場を組んでいた。

まだ夢から醒めないのかと困惑した彼は、足元に落ちてた日本国民全員が死ぬボタン押して、HAPPY END。

そんな素敵な2次創作を、ハーメルンの方で、いつか書きたいと思ってます。


(全部不快なバナー広告で、リスペクトもできそうにないので絶対書かない)


ホムラ様の広告は、知名度がなさそうなので省きました。

風邪ひいてる時にこんな悪夢が見れたら、楽しそうですよね。

ちなみに怪文書の元ネタの漫画広告を全部知っている人は、知人114514人にこの文章を回さないと、メキシコマフィアに拷問されて殺されるらしいので、ご注意を。

「昔の森は緑だったんだよ」


どこかの誰かが、そういった。

だが彼は生まれてこの方、緑の森を見たことがなかった。

魔族が占拠した森は、血塗られたような朱色の粘液によって、森中が染まっているからである。

シャーフ村付近の森も例外ではなく、魔物が自らの力と縄張りを示すかの如く、真っ赤だった。


「万が一のためにも、立会人を呼びませんか?」

「怖気ついてるのか? 戦場に立ち会うのは死神だけだ」


目的地に辿り着いたノーラがそういうと、彼は持ってきたカバンからナイフを取り出し、後ろからついてきた彼女に見せつける。

すると襲われると勘違いしたのか、彼女は腰を低くして身構えた。


「安心しろ、武器としては使わねぇ。準備ができたら教えろ。これを木に刺した瞬間が戦いの合図だ」

「……了承しました」


彼女は持ち手の部分が見事に装飾されたナイフを握ると、荒々しい炎のようなオーラに包まれる。


「治療と失明を司る神よ。汝の魂、今我と同化せん。アニムス=フォルティス!」

「ほぅ、お手並み拝見といこうか」


詠唱すると彼女の体を、無数の緑色の球体の光が、螺旋状に旋回する。

彼女の足元には、黄金に光る魔法陣が点滅していた。

光は黄色、闇は紫といった具合に、使う魔法の属性に応じて、浮かぶ魔法陣の色は異なる。


(ありふれた身体強化の魔法……どんどん使ってこい)


クロードはノーラの魔術を、まじまじ観察する。

無論、彼も黙って指を加えて見ているわけではない。

ババ抜きで手札が少なくなるにつれ、相手の持つカードが判別できるように、手の内が割れれば有利に動ける。


「では、試合を始めましょう」

「ああ」


促され、彼は短刀を放り投げる。


「破壊と創造の神に御言葉を響かせり。炎よ、我が言葉に応じ放たれよ―――フランマ!」


それと同時に彼女が呪文を唱えると、短剣の切っ先から、人の頭ほどの大きさの炎が3つほど、彼に向かって飛ぶ。

杖を介して魔法を打つのが一般的だが、彼女は短剣を杖代わりにしている。

体術に自信があるならば、遠距離から魔法など使わず、最初から己の身一つで向かってきただろう。


(典型的な中距離の戦闘が得意な魔法使い。近接戦はかじった程度か)


クロードは経験則と、眼前のノーラの行動から、戦闘不能にするための最短ルートを導きだす。


(戦術はだいたい把握できた。戦いに勝つ方法は、相手の嫌がることの徹底―――近づかれたくないなら距離を詰めるまで)  


間合いを見定め、火球に臆せず一歩進むと


瑞雨蒼雷流(ずいうそうらいりゅう·脱の型、奔雷ほんらい)


糸で操られていない人形のように、手をだらんとさせる。

幾度となく繰り返した動作に一切の気負いはなく、脱力した体に力を込めた刹那に、彼は稲妻と化した。

瞬く間に距離を縮めた彼に、彼女は短剣を突きつける。

―――が、とっさに手首を掴んで、短剣を突き刺そうとする勢いを殺す。


「不用心じゃないか。流石にこうなったら、もう逃げられないぜ」

「え!?」


クロードが厭らしく微笑むと、頬の蛇の目玉が妖しく輝いた。

青白い雷がほとばしる拳を見せつけると、企みを察したのか、手を振りほどこうと必死にあがく。

拳を軽く押しつけると、彼女は声にならない悲鳴を上げる。

歯を食いしばって耐え忍ぶも、しばらくすると痙攣して、ぴくりとも動かなくなった。


「戦場では無防備な人間が立ち上がるのを、待ってくれない。それを今から、お前の体に叩きこんでやる」

「……」


空を切る一撃は雷鳴のような唸りをあげて、彼女のみぞおちに炸裂する。

ミシャッと骨が砕ける鈍い音と、硬いもの同士がぶつかりあう感触。

一瞬の出来事だが、どれほど戦いの経験を積んでも慣れなかった。

だがその不慣れさが、常人と狂人の境を行き来する彼を、人間のままでいさせた。

地面を転がって木に打ちつけられたノーラの口許からは、あふれた血が顔の形を沿って、顎の先から一滴ずつ垂れ落ちる。

まだ意識はあるのか。

クロードは魔法の練度に感心しつつ、問いかけた。


「無様だな。いいんだぜ、俺はいつ止めても。とっとと降参しな、その方が痛い目を見なくて済む。俺だって殺しはゴメンだ」

「……嫌……よ」


クロードの一言を耳にした彼女は、首を横に振って提案を拒む。

強情さに、彼は表情を強張らせた。


「いいから諦めろ。こんな風になりたいのか?」


背後に鉄拳を見舞うと、彼女が背をもたれる大木は、たちまちに焼け焦げる。


「……木が」


後ろを確認した彼女は小さく言い漏らすと、疲れた犬のように喘ぐ。

勇敢な冒険者といえども、死という根源的な恐怖から逃れるのは不可能。

じきに馬鹿げた考えを改めると、次の脅しの思案に暮れると


「戦いを……続けましょう……」

「はぁ?! このまま続けても、お前の傷が増えるだけだぞ」


彼女のまさかの発言に、彼は顔を歪めた。

誰が見るまでもなく、実力の差は歴然としている。

これ以上続けても、どちらが最後に立っているかは明白。

だが追い詰めたはずのクロードの頬から、冷や汗が垂れていた。

窮鼠きゅうそ猫を噛む。

油断して一つ選択を誤れば、足元を掬われる。


「なんで諦めない! 今のお前に俺を倒せるはずないだろ!」

「いなくなっ……兄さんが……守るって……だから……私は……私が……この……世界を……守……」


怯え混じりに声を震わせると、彼女の大言壮語に、彼は腹の底から憤激した。

この女は、体験していない。

能天気だった頃の自分を、八つ裂きにしたくなる最悪な気分を。

寝ても覚めても、悪夢から解放されない苦痛を。

幼児じみた全能感が根底から覆った、地獄の日を。

叶えられもしない夢に酔っている今はよくても、いずれ魔物や敵幹部の手によって仲間が死に、無力な自分を憎む日がくる。

絶望の現実を前にしても、同じ台詞を吐けるのだろうか。

苛立つクロードは


(弱い人間が理想を語るな。お前も俺も、平和を夢見るのさえ許されない人間なんだ)


心の中で呟くと、唇を噛む。


「一つ聞く。お前、世界を救うのに何が必要だと考えてる?」

「……意志……かしら」


息も絶え絶えにしながら彼女は返事すると、クロードは殺意のこもった瞳で彼女を睨む。

理想を現実にするための力がなければ、ルッツたちの二の舞になる。


「いいや、何者にも負けない力だ。俺より弱いお前に何が守れる。俺の仲間は弱いから死んだ。お前の、あの世の兄貴もだ。この世界にはな。弱い人間が生きる価値なんかないんだよ!」


クロードは、心にもない暴言を吐き捨てる。

そう自分に言い聞かせて、精神を保つのが、彼の唯一の生きる道だった。

気のいい仲間と死別した事実から、目を背けることでしか、彼は生きられなかった。


(本当に生きる価値がないのは、俺だ)


「だから……理想を……捨てた……くない……」


頑として考えを曲げない彼女に


「なんで馬鹿げた理想を掲げるんだよ。本当は無理だって、叶わない夢物語ってわかってんだろ。だったら最初からそんな未来、見ない方がいいだろ! その方が苦しまないで済むだろ!」


彼は思いの丈をぶちまけた。


「それでも……私は……私を諦めたく……ない……」


途切れ途切れに、力強くクロードの発言を否定するノーラの一言に、彼は唇をわなわなと震わせた。

実力では到底及ばない彼女が、かつての自分の志を抱いている。

罵詈雑言を浴びせられるよりも、勝手に期待されて、勝手に失望されるよりも、ノーラの鉄の意志が胸を締めつけた。

―――彼女のような強い心があれば、他の未来があったのだろうか。


(こんなこと無駄だって、いい加減理解しろよ!)


彼女への対抗心は、言葉を交わす度に膨らんだ。

どちらが間違っているなんて、とっくに分かっていた。

それでも彼女の理想論を、彼は到底受け入れられなかった。


「俺はお前に腹が立つ。弱い癖に口先だけの平和を望むお前が、憎くてたまらない」

「口先だけ……じゃ……絶対に……世界を……」

「だったら這いつくばってないで、証明してみせろよ。お前が無力でないことを。この戦いで、俺を超えてみせろ!」

「言われ……なくても……」


挑発されたノーラはふらつきながらも、彼へ向かって駆けた。

隙だらけではあるものの、右手には短剣が握られている。

それなりの魔法が扱える彼女が、短剣での斬撃に、こだわる意味がある。

先ほど接近した際に、彼女は斬りかかるのを優先してきた。

戦闘で得たわずかな情報を分析しつつ、クロードは次の手を模索する。


(毒が塗られていると考えれば、妥当な行動だ。近づくのが危険なら、遠くから攻めればいいだけ)


粗暴な口調と風体とは裏腹に、冷静に判断を下したクロードは、地面を握り拳でぶんなぐる。

すると彼女の周りから泥が円を描き、間欠泉の如く噴き出す。


「これは……」

「棺桶さ。お前専用のな」


同時に、たちまちに彼女を飲み込んだ。  


「きゃあああぁぁっ!?」


泥に飲まれたノーラは、またしても膝をつく。

全身土まみれで横たわる彼女は、嗚咽混じりに、指を突っ込んで口に入った泥を吐いた。


「ハァ……ハァ……兄さんに……逢いたいのに……」

「兄貴なんて見捨てて、故郷に戻って暮らせばいい。弱い人間らしくな」


苦しみ、のたうち、それでも紫の瞳に宿る静かな闘志は、燃え尽きていない。


「こんなものかよ。お前、やられっぱなしじゃないかよ! 守るんだろ、世界をよ?!」

「……ええ」

「ふざけんな! お前に、お前なんかに、誰も救えない! 俺やお前が命を懸けて亡くなっても、残された連中は感謝なんかしない。いつかそいつらの記憶からも、お前が誰かのために戦った事実さえ風化する。お前の頑張りなんか、何も報われやしないんだ!」

「うる……さい! 私は……私を……諦めない!」


互いが互いの考えを譲ることなく、罵り合いは白熱した。

言葉に力が宿った。


「最後通告だ。いい加減にしないと死ぬぞ、お前」

「仲間が全滅……して……だから……全部……諦めるの! この世界を……見捨てるの!」

「昔の話をするなと言っただろうが。お前なんかに、俺の何がわかる!」

「わからない……でも……私は……ゴホッ、ゴホ」


途中まで言うと、ノーラが咳き込む。

先ほどの泥が口腔内に残っていて、上手く話せないのだろうか。


「おい、大丈夫か?」


心配になって口をもごもごさせた彼女の元まで、彼は歩み寄る。

腰を屈めて顔を覗き込むと、その表情はピエロのペイントのように、不自然なほど唇の両端が上がっていた。

―――何かを企んでいる!

直感した彼の顔面めがけて、彼女は血の混じった唾を吐き捨てた。

思いもよらぬ反撃に、反射的に右目を閉じる。

こいつ、まだ諦めて?!


「もういい。引導を渡してやる!」


叫ぶと同時に拳を振るおうとしたその時―――彼女が体当たりを仕掛けると、生暖かい血が衣服に染み込む。


「油断……してたわね……あなたの良心につけこんだ……私の勝ち……」

「うっ……ぐぅ……」


刃が突き刺さると、切れかけの電球が絶えず明滅を繰り返すような、穏やかで強い光が森を照らす。

その光が、暗闇に飲まれかけた意識を呼び覚ます。


「何……しやがる!」


全身に脂汗が滲む体に無理を押して、彼は首元に手刀を叩きこむ。


「この女、せこい手ぇ使いやがって……」

「……治療と……失明……レフェク……」


ナイフで地面を突き刺して、彼女は最後の気力を振り絞る。

このままでは、文字通り死ぬまで続行しかねない。


「魔法なんか唱えるな。いい加減にしろ!」

「うぅ……あああああぁ……」


無茶をするノーラを咎めると、負けを認めたくないのか、年甲斐もなく泣きじゃくる。

正々堂々と勝負を挑んだ彼女が、悪人には思えない。

泥臭くても、卑怯な手段を使ってでも、自分を仲間に迎え入れて兄と世界を救いたかった。

そうまでしても、失いたくないものがあった。

―――ああ、そうだ。

誰かに八つ当たりしたかったわけじゃない。

誰かを殺したかったわけじゃない。

自分が授かった力は、守るためのものだった。

彼女の生き様を通して、かつての師や友の遺言に思いを馳せる。

彼は己の愚かしさを悔やむと、心を改めた。


「俺の負けだ、案内してくれ。小さな種火って組織に」

「……こんな勝ち方……私は……まだ……兄さんのように……強くは……」


理由がどうあれ平凡な少女が抱きそうな、ありふれた気持ちを糧に、格上に一矢報いた。

―――彼女なら新しい世界を、自分に見せてくれる。


「いいや、あんたは強いよ。俺がとうの昔に捨てたものを、あんたは持ってるじゃないか。その志を、ずっと大事にしてくれ」


健闘を称えると、彼女に簡単な処置を済ませて背中におぶる。


「何を……」

「教会に連れていくんだよ。仲間を助けんのは、冒険者として当たり前のことだろ?」

「……負け……たのに……勝て……なかった……のに」

「どうせ強情なあんただ。やられても勝つまで繰り返すだろ。根負けだ」

「あぁ……うぅ……」

「あんたは強いさ。まだまだ強くなれる。俺なんかよりずっと」


彼女が喋る度に、傷口から滝のように血が噴き出す。

時折声をかけてやると安堵したのか、すうすう寝息を立てて眠りにつく。

今は消えそうな命の種火でも、悪を断つ日が訪れるまで、その火が絶えることはないだろう。

青空を見上げると確信を胸に、クロードは新たな仲間と共に、ゆっくりと歩み出すのだった。

ノーラさんは数話後に登場させるヒロインと比べると、序盤はあんまり強くないです。

ノーラさんは物語が進むにつれて指数関数的に戦闘力を上げていく、ラストリベリオン系女子ですね。

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