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〜入国の罠〜

(。◕∀◕。)ノ⋆。оO(㋵㋺㋛㋗㋧♡

ーーーーーーーーーーーーーー闘技大会本戦前日


「はわわ…ようやく到着したのですぅ…」


私は乗り合いの馬車から降りると背伸びをしながらそう呟いた。


「へー、ここが王都か。この壁はどこまで続いているのだろうか、ふむ、先が見えないな」


ペコリーナが私の背後に立ち、私の両肩に手を乗せて目の前の壁を見上げながらそう感想を漏らした。


私は闘技大会の本戦トーナメントに参加するためにペコリーナと乗り合いの王都行きの馬車に乗り、王都へ来ていた。


王都へ到着したようだが、目の前には私達が拠点にしている町とは比べものにならないほど大きな壁がそびえ立っていた。


城壁の前には水の溜まった底が深い堀があり、橋がかかった場所でないと堀を超えられないようになっていた。

こちら岸から向こう岸への距離は30mほどあり、常人では到底飛び越えられない距離になっていた。


橋には巨大な鎖がかかっており、緊急時には橋を上げることが可能になっているようである。


私達が初めて見た王都の一部へ見惚れていると、乗り合い馬車の誘導係がすぐ後ろで声を張り上げた。


「えー、それでは皆さん、先程も申し上げました通り、ここからは徒歩での入場となりますので、橋を越えた先にある検問所の方までご移動ください!」


ペコリーナは顎に手を当てながら、誘導係の男の肩をツンツンと小突いた。


「なぁなぁ、なんで馬車ごと入らないんだ?見たところ橋や門はかなり広いぞ」


「あー、馬車でも入れるんですが、馬車で入ると入場料が高くなりますし、入場の検査に時間がかかったりして面倒なんですよ。王都に入っても中に馬車を置いておく場所も限られてますし、ちょっとトイレと思って少し離れただけで騎士団に違反金を取られたりするんですよ。王都は治安は最高ですが、その分法律が厳しいんです」


「ふーん」


「ですので、今回のように仕入れなどでは無い、乗り合い馬車などは護衛と一緒に王都の外に置く方が色々と都合が良いのです」


「なるほどねー、ご丁寧にありがとうございました」


「はわわ…色々理由があるんですねぇ…」


私達は細かい理由に納得すると、橋を渡り、検問所に入っていった。





ーーーーーーー検問所にて


検問所は綺麗な所で空港のロビーのような広い場所であった。

手荷物検査や各種手続きなどで様々な人が様々な場所でせわしく動いていた。


「はわわ…かなり新しい建物なのですぅ…」


私達が検問所に入って手続きの順番待ちをしていると怒号が聞こえてきた。


「ふざけるな!この有効期限が見えないのか?」


「申し訳ございません、そういう決まりですので」


どうやら、とある男と検問所の職員が何かで揉めているようだ。


「俺はもう王都内のホテルを前払いで予約してるし!闘技大会の観戦チケットも買ってるんだ!今急に入れないとか言われても困るんだよ!」


「左様でございますか…ですが、申し訳ございません。先程から申し上げておりますように、パスポートの残り有効期限が3ヶ月以上ないと王都には入れない決まりでして…」


「だーかーらー、有効期限内の1週間で用事が済んで帰るんだから有効期限とか関係ないだろ!それに、パスポート発行時にはそんな説明一切無かったぞ!」



どうやら男は、自分が知らなかったルールによって苦しめられているようだ。


王都へ入るには、この国の市民カードかパスポートが必要である。市民カードは複数所持できないので、他国に入国するにパスポートが必要である。パスポートは同盟国が発行している有効期限付きの身分証明のようなもので、市民カードの代わりに提示することで王都へ入ることができる、と先程説明を受けた。


「はわわ…なんか、かわいそうですぅ…」


さらに、今の会話から察すると、パスポートの有効期限内であっても入国できない場合があるということらしい。

意図せず不法滞在者となってしまうことを防ぐためであろうが、いささか過保護というか、男の話が真実であれば、発行時に説明くらいはして欲しいものである。


「あああああ!!もう!!計画が全部台無しだよ!!帰るわ!ボケ!」


男は持っていた筆記用具をへし折ると、捨て台詞を吐き、身を翻した。


そして私と目が合った。


男は一瞬停止した後、憤怒の形相になった。


「何見てんだ!クソガキが!」


そして突然罵倒したかと思いきや、手に持っていた、折れた筆記用具をこちらへ向けて思い切り投げてきた。


折れたペンの一つは床へ、もう一つは、あろうことか、我関せずと前を見ていたペコリーナの頭へ、ぺチッと音を立てて当たった。


「いてっ」


その瞬間、私の理性が吹き飛んだ…


私の可愛い妹のペコリーナによくも…


「はわわ…さようならなのですぅ…」


私は折れたペンを拾うと人差し指と親指で挟み、親指の力だけでペンを弾き飛ばした。


スパァン!


折れたペンは音速を超え、男の腹に吸い込まれた。


そして、まるで対物ライフルの直撃を受けたように男は真っ二つになり、折れたペンは勢いを落とすことなくそのまま進み、男の後ろの壁を破壊してどこかへ飛んで行った。


私としたことが…やってしまった…つい、蚊を叩くようなノリで…


気を取り直してペコリーナの安否を確認する。


「…ペコリーナ大丈夫ですかぁ〜?ケガはありませんかぁ〜?」


「お、お姉ちゃん…」


ああ、ドン引きされてしまう…


「わ、私のためにこんなに怒ってくれてありがとう!うむ、うむ、私は嬉しいぞ!」


ドン引きされるかと思ったが、恍惚の表情のペコリーナにギュッと抱きしめられて逆に褒められた。


「はわわ…」


ペコリーナの目が狂気に染まっている…ペコリーナは狩猟民族の出だから血を見ると興奮するのであろうか…?

なんにせよ、終わりよければ全てよしである。


幸いにも目撃者は私の動きを認識できなかったので、突然男が真っ二つになったということで目撃証言が一致した。


男が自暴自棄になった末の自殺未遂として処理された。なぜ未遂なのかというと、高級回復ポーションで一命を取りとめたからである。


無事に王都へ入った私達は、開会式まで時間があったので王都を観光することにした。

仕事が落ち着いたので、今日から毎日更新頑張ってみます。


感想を頂ければ、後書きで返信させて頂きます。

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