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蘇る心境  作者: 海谷
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混乱する日々・二

 自宅に帰り、リビングへ行った橋本を待っていたのは堅苦しい表情をしている母親だった。壁が白色で、電気がついていて明るいので、黒に近い茶色の服を着ている母親が地味に見えてしまう。ちなみに父親はまだ仕事中だ。尋問が始まるのか、と思うと母親は堅苦しい表情を少しも変えずに口を開いた。

「突然、友達と夕食ってどういうこと?」

 どう答えるか考えておくべきだった。テレビに目を向けると、芸人が大物芸能人と会話している場面が見えた。だが、テレビを見ている場合ではない。神経を脳に集中させて、橋本は考える。そして、思いついた言い訳を口から出す。

「コンビニで会ったんだよ、友達に。それで、まあ、食事しようということに……」

 少しずつ声が小さくなっていた。逆に怪しく思われるだろう、と自分に向かって心の中で言う。母親は疑いの目を橋本に向けながら訊いた。

「友達は誰?」

 一番訊かれたくない質問だ。本当のことは言えないし、女子なんて言った瞬間に終わりだ。何が終わるかはわからないが、悪い方向へ行くのは確かだ。それは断言できる。

 そこで、橋本はこう言った。

「坂下、という小学校の時の同級生」

 母親の目を見て、付け加える。

「男子だよ」


 それから数分くらい、橋本は頑張って言い訳をし続けた。そして何とか勝利を手にした。母親は半信半疑の表情をしていたが、これ以上訊いても無駄だと思ったのか、諦めてくれた。

 二階の自分の部屋へ戻ると、橋本は解放感に包まれたが、疲労感も襲ってきた。母親を説得するのは疲れる。勉強を少ししてから寝ようと考えて問題集を広げるが、右手に持った鉛筆が動かない。何となく、勉強をする気になれない。問題は頭の中に入らないし、逆に坂下や中川のことは頭の中から離れない。

 橋本は鉛筆を置いて、トイレへ向かった。寝ることにした。その時に少し考えていた。俺の心身を支配しようとしているのは疲れか、それとも別の何かか。

 トイレを終えると、橋本は自分の部屋に戻り、ベッドの上で寝た。何故か、睡魔が襲ってくる時間がいつもより遅かった。


 目が覚めてから時計を見る。七時二十分だった。当然のことだが午前である。窓に目を向けると、光り輝く太陽が見えた。思わず「眩しい」と呟いて、太陽から目をそらした。

 その時に坂下が言った「午後一時」が脳裏に浮かんだ。今日は午後一時に中川が住んでいるマンションの出入り口に行かないといけないことを思い出す。中川は嫌だと思っているのだろう。

 起きた時刻が遅かったということではないが、眠気がほとんど無いことに気づいた。太陽を見たからだろうか。しかし、そういうことは数日前にもあったし、思い出しても数え切れないと思う。期待というものだろう。俺も相当悪い人だな、と橋本は思った。だが、よく考えてみると、そう思うのは当然かもしれない。

 昔の事件の真相を調べる――探偵のようで面白そうだ。少なくとも俺は犯人じゃない。坂下にも木村にも触れていない。中川には失礼だが、午後一時が楽しみで仕方がない。いつもとは違う何かが待っているような気がして、心が飛び跳ねる。

 眠気ではなく元気のような感情が生まれる。橋本は思わず笑みを少し浮かべながら一階へと向かった。階段を一段下りるだけで好奇心が身体の中で上下に大きく揺れる。

 リビングのテーブルには朝食が置かれていた。キッチンにいた母親が顔を橋本に向けて言った。

「おはよう」

 表情に異変は見られなかった。昨日のことは気にしていないらしい。良かった、と心中で呟いて、一安心してから「おはよう」と橋本も言い返すと、椅子に座ってから箸を右手に持った。今日の朝食は白ご飯にみそ汁、ハンバーグに千切りにされたキャベツとプチトマトが二つ。ハンバーグは昨日作ったと思われるが、ハンバーグは昨日も店で食べた。二回連続とは……どうでもいい奇跡だ。まあ、この奇跡は誰にも言わないだろう。そう思いながら、橋本は朝食を食べていた。ハンバーグは好きなので、苦痛ではない。

 食べ終えると、ハンバーグやキャベツが載せられていた皿の上に箸を置いて、椅子から立ち上がる。母親がキッチンからリビングへ移動していたことに気づいた。

 文句は言わないだろう、と思いつつ橋本は雑誌を読んでいる母親に言った。

「午後一時から友達と勉強するんだけど、良い?」

「友達って……坂下君と?」

 母親は雑誌を読みながら訊いた。橋本は「ああ」と答えて頷いた。

「まあ、良いけど」

 そう言うと、母親は黙って雑誌を見つめる。

 橋本は時計を見て時刻を確認してから、二階の自分の部屋へ向かった。約束の時間まで残り五時間二十分だった。力や元気が身体の様々な部分から次々と湧いてくる。

小説を書く時に、皆さんはどうしているのでしょう?

想像をしている、という人が多いと思います。僕もそうです。場面を想像して、それを文章にするということをしています。しかし、難しい。意外と書き忘れていたりすることも多いですからね。

気をつけて書き続けていきたいと思います。

話は変わりますが、もう一つ、小説を作ろうとしています。流れは決めてあります。短編集で、ジャンルは青春ミステリになると思います。

発表はまだしていませんが、もし発表した時はその作品も見てもらえると嬉しいです。

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