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元魔王の旦那様はお猫様 ~もふもふパラダイス~

 日は西に傾き、沈みかけてた。

「お。あとちょっとで日が暮れる」

「げ」

 とたんにアルのスピードが速くなった。

 スタタタタタ。

「アル、速いー」

 アルの歩くスピードってシャレかい。

「理由分かってんだろ」

「分かってるけどさ、家臣も城の使用人もみんな知ってんだから、恥ずかしがることないのに」

「恥ずかしいんだよっ! 男なら普通そう思うっつーの!」

「えー?」

 かわいいのになぁ。

 その時。

 ぽんっ。

 アルの姿が猫に変わった。

 黒猫でしっぽ長。

「きゃあああああ―――っ!」

 驚愕の悲鳴じゃなくうれしい悲鳴をあげ、あたしはアルに飛びついた。

「かわいいーっ、大好き―――っ!」

 ぎゅ―――っ。

「もふもふーっ、ふかふかーっ!」

 思う存分もふる。

 ぐしゃぐしゃ、もふもふ。

「あああ、いい毛並み。ビロードみたい。手触りいーい。はああ、もふりがいがあるわぁ」

 ほわあああ、幸せ。

 ごしゃごしゃ、わしわし。

「はーなーせーっ!」

 アルがじたばたしてるけど、猫パンチなんか痛くもかゆくもないし。むしろかわいい。

 猫の時のアルは魔法使えないんだよね。もちろん剣も持てない。

 だって猫の手の形状でどうやって剣持てるのさ。

 剣の柄に肉球の痕がつくだけ……ヤバい、超萌える。

「肉球ぷにぷにーっ。しっぽながーい、ほそーい。お腹は……太った? ちょっとぽんぽこりん?」

「やめろおおおおお!」

 腹肉つまんだら泣かれた。

「太ってねえええ、断じてデブじゃねえええええ!」

「えー、猫はちょっとぽっちゃりしてたほうがかわいいのに。うえへへへへへ」

「女子の笑い方じゃねーぞ?!」

 おっといけない、つい。

「だってかわいいんだもーん。おヒゲくるくるーっ。しっぽもくるくる巻いちゃえー」

「やめろ、しっぽだって神経あるんだぞ! 変な感じするっ」

「じゃ、普通にもふもふー」

 嫌がるアルをギューして撫でまわす。

 傍から見れば、飼い猫をかわいがる少女。実に微笑ましい光景じゃないか!

 うひひひひ。このもふもふ感がたまりませんのお。

「かわいい女の子に抱きしめられて愛でられてるとか、男子なら喜ぶとこでしょーに」

「お前の本性知ってるから喜べるか! 恐いわ! ていうか自分でかわいい女の子とか言うな!」

「事実じゃん」

「外見はな! 中身は似ても似つかねーだろうが! ちくしょおおおおお! ほんと何なんだよこの呪い!」

「夜の間は猫になっちゃう呪い、でしょ?」

 実はアルはこの国の人間じゃなない。『本命勇者』はヒロイン―――隣の国の王女の義理の兄だ。

 本来の公式設定によると、王族の遠縁だったんだけど、両親が魔獣に襲われて死亡。彼だけ生き残った。

 窮状を知った王様が引き取り、養子に。忙しい自分たちの代わりに姫の兄替わりになってくれと言い、実の子のように育ててくれた。

 成長して両親の敵をとるため、その魔獣を探す旅に出る。ヒロインも一緒についてく。で、ラスト、『魔王』を二人で倒すことになってた。

 なお、逆ハーレムものなんで、『勇者』は何人もいる。その中からプレイヤーは最後結婚したい相手を選び、ハッピーエンドってオチだった。だからパーティー自体は姫一人、男たくさんの構成なんだよね。

 ……ところがこの世界は改変されてる。

 そもそも倒す『魔王』いないし。

 だからアルの両親は病死だ。国王夫妻が引き取ったのは同じ。ヒロインの兄替わりとして育ったのも同じだ。

「もう五年になるっけ。あたしが十歳の時だもんね。夜中、突如謎の魔獣に襲われて呪いかけられちゃったんでしょ?」

 これは本来のシナリオにはなかったことだ。

「ストーリーを改変したことで、予想外の事態がいくつも起きてる」

 母はそう言っていた。

「あなたが外の世界から転生してきたこともね、リリム」


     ☆     ☆     ☆


 母と同じように外からやってきたあたし。

 ただ母と違い、物心つく頃には自然と記憶が戻っていた。

 そのことを話した時、母はすごく驚いてた。

「あたしは事故死して、その時たまたま持ってたゲームに魂が入っちゃったっぽいのよ」

「ああ、じゃ、あたしもそうかも」

 思い返してみると……。

 死んだ日、あたしは休日出かけた帰り道だった。

 駅近くの道をてくてく行ってたら、後ろからクラクションを鳴らされた。

 え? 何?

 あたしちゃんと歩道歩いてるけど?

 振り向くと、車道のド真ん中を堂々と電動車いすに乗った高齢者が進んでいた。

 電動車いすってのはホラ、高齢者が乗るスクーターみたいなやつ。わざとゆっくりめにしか走れないんだよね、危ないからスピードでないようになってる。

 自転車に乗れなくなったとか、運転免許なくても乗れるから普及した。

 でも意外と方向転換しづらいとか、段差があると使えないとか、ニュースになってたなぁ。

 普通は歩道を行くもの。でも歩道から下りる時が下りづらいからって車道を走ってるのかな。

 いやでも、そんなスピードで車道走ってたら逆に危なくない?

 何人もの通行人が同じように考えたらしく、ジロジロ見てる。

 電動車いすの後ろには車が何台も待ってて、完全に渋滞を引き起こしていた。

 ここは駅前だし、休日でもそれなりに車が通る。そんな道でド真ん中を塞いでたら迷惑ってもんだろう。

 後ろの車もしばらくは高齢者だからと我慢してたみたいだけど、歩道ガラ空きなのにいつまでものんびりゆったり車道ド真ん中でよけようともしないのに腹が立ったらしい。窓を開け、

「ちょっと、おじいさん! ここ車道ですよ! ド真ん中をそんなスピードでのろたら行くとか、道路塞ぐとか、迷惑だって分かりませんか!」

 それでもちゃんと丁寧語。

 でもおじいさんは振り返りもしない。

「聞こえてないんじゃ? 耳が遠いのかも」

 通行人たちも大声をあげた。

「おーい、おじいさん! 危ないですよー!」

「おじいさん、後ろ後ろ! 渋滞引き起こしちゃだめですよ!」

「歩道すいてんだから、歩道行きましょうねー!」

「手伝いましょうかー?」

 四方から大声で呼びかけられて、やっとおじいさんも気付いた。

 周りを見て状況を理解したらしく、

「あー」

「おじいさん! 歩道上がりましょ!」

「ほら、そこで登れるでしょ? 手伝いますから、ね?」

「んー」

 おじいさんはうなっただけで、そのまま走り続けた。

 みんなざわつく。

「おい、ちょっと!」

「まさか認知症なんじゃない?」

「え、ちょっとヤバくね? こんな判断能力低下してんのに電動車いす運転してんの? 事故るよ?」

「スクーターみたいだから車道を行くものだと思ってるんじゃない?」

「いやいや、自転車だって高齢者は歩道行ってほしいよ。フラッといきなりくんだもん。この前、自転車乗ってた高齢者が車道走っててモロにこけてさあ。後続車が危うくひきかけた」

「あ、知ってる。そのまましばらく車道から動かなかったんでしょ? 転んだの人のせいにして騒いでて、みかねた通行人が自転車を歩道に移動してくれてたやつ」

「この先の交差点もついこの間、信号無視の車が突っ込む事故があったばかり……」

 ザワザワ話してるのが聞こえてあたしも思い出した。

 信号無視して突っ込んできた車が赤ちゃん連れをひきそうになり、かばって飛び出した女子高生が代わりにひかれたやつ。

 みんなでおじいさんを止めようと、声を張り上げた。

「おじいさん、交差点だよ!」

「信号赤、赤! 」

「ブレーキかけて!」

「車走ってる! よく見て! 止まって!」

 つい最近死亡事故が起きてるだけに、みんな叫ぶだけで物理的に止めることは躊躇してた。

 いくら叫んでもおじいさんは止まらない。

「赤信号だってば!」

「ああ、うん。で?」

「ひかれるよ! 死んじゃうよ!」

「だーいじょうぶだぁ~。みんな止まってくれる」

「止まってくれるって、おい、おじいさん!」

「バックのやり方なんか知らんし~。だいじょぶさあー、私はえらいんだ、みんな私の思い通りになるからなあ~」

「おじいさん!?」

 なんとおじいさんは赤信号なのが分かってて、どうせ車のほうが止まって自分を優先してくれるからと平気でつっこんでくつもりらしい。

 おじいさんは平然と交差点に侵入した。

 キキ―――ッ!

 みんな叫んでたのが功を奏したのか、車が何かおかしいと察して次々急ブレーキをかけた。青信号でスタートしたばかりで、あんまりスピード出てなかったのが幸いした。

 でも向こうから走ってきた車までは間に合わない。

 ガンッドガガガガ!

 追突事故を起こしていく。

 悲鳴があがった。

 はさまれた車がひしゃげ、さらに前の車にぶつかる。

 勢いあまっておじいさんにぶつかりそうだ。

「危ない!」

 あたしは飛び出していた。

 おじいさんをつかみ、ひきずってでも助けようとした。

 が、おじいさんはとんでもないことをした。

「わたしの物を盗る気か、泥棒めええええええ!」

 絶叫してつきとばされた。

 次の瞬間、あたしの体は宙を舞っていた。

 ひかれたと本能的に分かった。

 目の前でおじいさんが車とガードレールの間にはさまれる。嫌な音がした。

 あちこちで悲鳴があがる。

「わたしは悪くない。痛い痛い、車の馬鹿め。なぜよけない。泥棒め。運転手め、わたしをこんな目に遭わせて殺してやる。呪ってやる、祟ってやる……」

 おじいさんはなおも弱弱しい声で支離滅裂な言葉を吐いてたけど、それもすぐ止んだ。

 あれはもう助からないな。あたしは思った。

 ―――それはあたしもか。

 ははっ。

 乾いた笑いが漏れる。でも顔の筋肉がもう動いてないことは分かっていた。

 ああ、死ぬってこんな感じなのか……。

 前にここで事故死した子は親子連れを救った。でもあたしはあきらかに行動のおかしいおじいさんを助けようとして罵声をあびせられ、車の前に押し出されてひかれた。

 ほっとけばよかっただろうか。

 ところでこの場合、おじいさんは殺人罪に問われるのかな。認知症とかってことで、罪に問われないんだろうか。

 まぁ被疑者死亡だから変わんないか。

 妙に冷静にそんなこと考えてたのを覚えている。

 ゆっくり意識が薄れて―――。

 気づいた時には、ゲーム世界の『元魔王』として生まれ変わっていた。

「……そんな死因だったのね」

「うん、そういう死に方だった」

 母はちょっと考えて、

「同じ場所で死んだからってのは分かるけど……どうして同じゲーム内に? つながってたってこと?」

「もしかしたら、あたしも偶然同じソフトを持ってたからじゃないかな? ちょうどあの時、バッグに入れてた。出先の中古ゲームショップで買ってきたんだよね。安かったから。もしかしてお母さんが持ってたソフトだったんじゃない?」

「中古ゲーム……なるほど。たぶんあたしが死んだあと、家族が売ったんでしょうね。いくら形見とはいえ、乙女ゲームじゃあねえ」

 微妙な気分だっただろうな。

 ああそれはあたしもか。なんかゴメン家族。

「それをたまたまあなたが買った。そして同じ場所で死んだことで、魂が入ってしまった」

「そう考えるのが自然かなー」

 しかし、このソフト呪われてないか?

「お焚き上げでもしてもらったほうがいいんじゃないかな、これ」

「うーん。でも、外の世界と連絡を取る方法なんてないしねぇ」

 それに廃棄とかされたらどうなんのかな。あたしらの魂は元の世界に戻る? それとも一緒に消滅する?

 謎だ。

 母は肩をすくめて、

「まぁ何にせよ、あたしは破滅ルートを回避してよかったと思ってる」

「そこは否定しないよ。あたしだって『魔王』なんかになりたくなかったし」

 誰だって殺されるのが分かってて、そのままでいいなんて思わないだろう。

「にしても、男性として生まれるはずの『魔王』が女になって回避……か。ギリシャ神話に似てる」

「何それ?」

「ギリシャ神話の主神ゼウスは父親を倒して王様になったから、自分も息子に倒される運命になっちゃった。それを回避するため、妊娠中の恋人ごと飲みこんだのよ。赤ちゃんも神様だから、それくらいじゃ死ななくて。成長したら外出たいって頭痛引き起こした」

「飲みこむって、ずいぶんなことやるわね」

「うん。我慢できなくなったゼウスは息子にオノで頭を割ってもらう」

「割る?!」

 パッカーンって。

「死なない?!」

「神様だから。平気で再生するんだってさ。そしたら中から知恵と戦いの女神アテナがフル装備で出てくんの」

 武器までがっちり持った状態で。

「どこからつっこんだらいい?」

「全部つっこんだら? ギリシャ神話の神はたいてい苛烈だから。でまぁ、このアテナが女性だったのがだったってのがポイントなわけ。父を倒す息子でなく娘が生まれたことで、運命は変わった。破滅ルートが回避されたってわけね」

「へえー……。ときにあんた、死んだ時はいくつ?」

「23」

「げっ! あたしより年上じゃない」

 母が死んだのは女子高生、つまり十代。確かにあたしのほうが年上だな。

 それが転生したら母子なんだから、微妙な気が。

「でもそれは前世の話でしょ? 今じゃあたしは紛れもなくお母さんの娘だもん」

 あたしが言えば、母はにっこり笑った。

「そうね。前世が何であれ、あなたはあたしと大好きなルシファーの娘よ」

 そして優しく頭をなでた。


     ☆     ☆      ☆


 ―――っとまぁ、そんなわけで『元魔王』の今世なわけでございますが。

 『魔王の母』を全力で拒否した母と同じく、あたしも『魔王』に戻るまいとがんばった。

 ヒロインの国とは仲良く、良好な関係を。攻め込まれる隙を作らない。

 ヒロインとは時々遊びに行って友達になった。アルともすぐ仲良くなった。

 でも、呪いをかけられたってパパが情報を持ってきて。

 パパはスパイ組織の長だから、他国の内情にも通じてる。

 こんなシナリオはなかったと、あたしと母はすっ飛んで行った。

 ……ら、アルは黒猫になってた。

「見るなっ! 出てけよお!」

 丸まって泣いてるアル。

「……か……」

 あたしは肩をプルプル震わせた。

「か?」

「かわいい―――っ!」

 がばーっ。

 あたしは抱きついた。

 そのまま思いっきりなでまわす。

「猫! 猫だ、かわいいっ! ふさふさ! 何この超かわいい生き物! 癒し! 毛並みいい! つやっつやじゃん、黒光りしてる!」

「かわいいとか言うな! 俺は男なんだぞ、うれしくない! つーか黒光りってやめろ、ゴキみたいだろうが!」

「あんなカサカサ虫と一緒にしないでよ。ああああ、もふもふ。やわらかー、つややかー。ふわふわー、ふかふかー。超かわいい―――っ!」

 アルの意見をガン無視してもふりまくる。

 ふおおおお、なんとよき手触り。

「はあ、格別ー。いいなあ、うちおいでよ。お母さん、ペット飼いたい! いいでしょ?」

「いいけど」

「俺はペットじゃねえええ、人間だ!」

「今、紛れもない猫じゃないの。あたしにも触らせてー」

「やめてくれええええええ!」

「猫として思う存分あたしにもふられてればいいさー」

 わきわき。

 にゃははははははは。

 あたしの手が不穏な動きをしてるのを見たアルは震えがった。

「その手なんだよ!? 何する気だ!」

「大丈夫、大丈夫。好き放題愛でるだけだから。にょほほほほほ」

「めちゃくちゃこえええええ! 笑い声普通じゃねえええ! 全っ然大丈夫って気がしねえー!」

 うひひひひひ。

 安心したまえ。あたし、こう見えても動物好きだから。

「おっ、俺はいつも猫になっちまうわけじゃないんだよ!」

「え、そうなの?」

 一気にテンションさがった。

 さげぽよー。

 露骨にがっかりするあたしに、アルは助かったって天に感謝してた。

「つまーんなーい。ずっと猫でいていいのにー」

「いてたまるかっ! 恥ずかしい」

「恥ずかしがらなくても。猫の姿のほうがかわいいよ。さあ、もふらせろ」

「断る。とにかく、この姿になるのは夜の間だけだ。昼間は人間。日が沈むと変化して、日が昇ると人間に戻る」

 なーんだ、夜だけかぁ。

「でも夜の間はもふり放題よね? うふふふふ」

「だから不気味な笑いやめろ」

 テンション上がってきたあたしとは正反対に、周りの空気は重かった。

「呪われた子供」

「君が悪い。本当は魔獣なのではないか?」

 ヒソヒソと、これみよがしに聞こえてくる。

 腕の中でアルの体がこわばった。

 元々ヒロインの国は“善”として作られている。つまり、魔物・呪いといったことに対して厳しい。

 悪く言えば拒絶反応を示す。

 ましてアルは王の子じゃない。好意でひきとってきた親戚の子だ。

 ……なるほどね、こういうこと。

 パパの情報でアルが厄介者扱いされてるのは知ってたけど、これほどとは。

「猫の姿をしていても、本来の姿は化け物に違いない」

「かわいい姿でだまし、王や姫を食い殺す気だ」

 アルはうつむいてひたすら耐えていた。

「…………」

 あたしはぎゅっとアルを抱きしめた。

「あら、リリム。久しぶり」

 ふいに声がしたので振り向けば、ヒロイン―――プレイヤー自身になるキャラ―――が立っていた。

 金髪碧眼の美少女。天使と言われる美貌の持ち主。顔良し、優しく慈悲深く聡明で、頭もよく、魔法の才能もある。とにかく全スキルをたたっこんだと言っても過言ではない。

 が、今そのヒロインは汚らわしいものでも見るような目を向けていた―――アルに。

「見てよ、その姿。動物になっちゃうなんて。汚らわしい」

「汚らわしい……って」

 あたしは耳を疑った。

 ヒロインは優しい性格のはずだ。少なくともあたしがこれまで見てきたのはそうだった。

 動物は好きだし、現に城には彼女が拾ってきた犬猫がたくさんいる。

 なのに、どうしてここまで憎悪をみなぎらせてるの……?

「だって、そうでしょう? 夜の間だけ動物の姿になるなんておかしくない? 本当は危険な魔獣なのよ。今までは小さかったから分からなかったけど、ついに本性を現したのね」

 周囲も同調するようにうなずく。

「フローラ……あんた正気?」

 あたしはそっと探知機能を全開にした。

 『元魔王』であるあたしは、邪悪なものや悪意を察知することに長けている。もし誰かがフローラを操ってるなら一発で分かる。

 って、『ヒロイン』を操れるキャラはいないはずだけど。

 ……何も感じられない。

 逆に理解できたのは、フローラが本当にそう思ってるってことだった。

 これまであんなに「お義兄さま」ってなついてたのに、どうして……?

 フローラは扇子をアルに向けた。

「出てってちょうだい。二度と顔も見たくない」

「フローラ!」

 アルが愕然とする。

「どうして……」

「どうして? そんなことも分からないの? いやだ、心まで魔に支配されてしまったのね。仕方がないわ。この『正義の姫』が直々に退治してあげる」

 パンッ。

 フローラが扇子を閉じた。その先に光の玉ができる。

 キイイイイイイイ。

 アルは呆然とフローラを見つめていることしかできなかった。

 不気味なことに、誰もフローラを止めようとしなかった。「やめろ」と言ったのはあたしと母だけだった。

 『ヒロイン』は『魔王』を倒せる実力の持ち主。うちとは別系統の王家の魔力持ってて、その力は強大だ。

 くらったらアルは死ぬ。

 あたしはとっさにアルを抱えたまま、光の球に回し蹴りをくらわせた。

 パキイイン!

 攻撃が消滅する。

「なっ!?」

 これは裏技なんだけど―――。

 あたしの力を-とするなら、フローラは+。つまり正反対ってことだ。『ヒロイン』と『魔王』だから。

 -5+5=?

 答えは0。それと同じ理屈。

 ぴったり同じ力がぶつかると消滅する。

 ゲームの裏技としてネットに載ってた。被害を最小限にクリアする方法として。

 有効か分からなかったけど、どうやら上手くいったようだ。

 少しでも魔力の調整謝ってたら爆発してた。

「な、何するのよ!? 一体何をやったの!」

「何するのじゃないでしょ! 城の中でそんなレベルの魔法使ってら、周りの被害がどれだけになると思ってんの!」

「大丈夫よ。ちゃんとその悪魔だけを殺すもの」

 ふふっと笑うフローラ。

 いつもと変わらぬ、優雅な笑み。

 ゾクッ……。

 これがこんなに危険だと思ったことはない。

 フローラはヒロインだ。絶対正しい、正義の存在。こんなの逆じゃないか。まるで『魔王』みたい……。

 騒ぎを聞きつけ、王がやってきた。

 フローラはすぐ父王に泣きつき、

「お父様! リリムが邪魔するのよ。魔物を退治しようとしたのに、かばうの。おかしいわ。私は正しいことをしてるのに。あの化け物を放っておいたら、きっとこの国に災いをもたらすわよ! 今すぐ殺さなきゃ! ね? 大好きなお父様。リリムったらひどいのよ。……ひっく」

 ウソ泣きもたいがいにしろ。

 しらけるわ。

 愚かな王は娘の言うことを信じ切っている。

「おお、おお、泣くな、フローラ」

 ……馬鹿な王。

 愚かな姫。

 くだらない思考回路の臣下ども。

 キッ。

 あたしは彼らをにらみつけた。

「アルはあたしが引き取る」

「はあ?!」

 ウソ泣きだった証拠に、フローラの目には涙など浮かんでいなかった。

「何で驚くのよ。いいでしょ。あんたが出てけって言ったんじゃない。だからあたしがもらう」

「そいつは魔獣なのよ!」

「アルは呪いをかけられただけなんでしょ? どうして信じないの。だからあたしは呪いを解く方法を探すわ」

 フローラとにらみ合う。

「義理の兄弟なのに言うことを信じず、呪いを解く方法を探してもあげないなんて、あんたがそこまで薄情とは思わなかった。すぐ殺そうとするなんて、どっちの思考が悪だか」

「何ですって!?」

 ギリギリ。

 フローラが歯ぎしりする。

「邪悪なものを嫌うあんたんとこのお国柄はわかるけど、異常なまでの拒絶反応で徹底的に排除しようとするのはいただけない。とにかくあたしはアルを見捨てるなんてことはしないわ」

 だって、あたしは―――。

「リリム……」

 アルがゆるゆると顔を上げた。

 あたしは安心させるように微笑んで見せた。

「アルは被害者じゃない。それなのにこんな扱い、ひどすぎるでしょ?」

 犯罪被害者に対して、お前が悪いと見捨てるようなもんだ。

「リリム、あなただまされてる」

「もうやめなさい」

 凛とした声で言い放ったのは母だった。

 『一撃の女王』と言われ、時には『勇者』とまで言われた母の貫禄はさすがだった。

 一言で場を制圧してしまう。

 オーラが違うんだよなあ、オーラが。

 侍女たちはすくみあがってた。

 王でさえ青くなりながらも、

「し、しかしですな」

「お黙り」

 ドンッ!

 足を踏み鳴らす母。

 全員ビビって後ずさった。

 うん、大人しくしとけ。怒るとうちのおかんは恐いよ。

 文字通り鉄拳制裁くるよ。

 やばそうなら速攻逃げよう。

「黙って聞いてれば、子供に対してずいぶんな仕打ちね。呪いをかけられた被害者を助けるどころか、忌むべきものとして殺そうとするなんて。それでも一国の姫のやること?」

「だ、だって……」

「黙れと言ったはずよ。アル、あなたはどこで呪いをかけられたの?」

「え? ある夜、寝てたらいきなり魔獣が襲ってきて。気づいたらそこにいたんだ。窓もドアも閉まってたし、どこから入り込んだのか分からない。どんな魔獣だったかも、暗くてよく……」

「あっそう。城内だったわけよね。つまりこの国の警備は、魔獣に城内への侵入を許すほどザルだったと」

 フローラと王が慌てた。

「そ、そんなことは」

 一国の城なんだから、警備は最高クラスのはずだよね。ましてここはヒロインの住まい。トップレベルの防御力のはず。

 本来のストーリーじゃ、『魔王』も攻略できなかったんだから。

「なっさけない。他国にまでアルが呪いかけられた話は伝わってるわ。うち以外にもね。それってどういうことかちゃんと分かってる? 警備がザルだって暴露してんのよ」

「そんなことないわ! 私のバリアは超一流なのよ!」

「よしんばあなたの言う通り、アルが魔獣だったとしてもよ。それに気づかず、侵入を許したのは大失態じゃない?」

「……っ!」

 唇をかみしめるフローラ。

 王はさすがに王様だった。

「その通りですな。警備を見直しましょう。ですが、そいつを引き取るというのは……」

「そちらはいてほしくないと思ってるんでしょ?」

「…………」

 正直者の王は答えなかった。

「このまま残しておいたら、また口実作って殺されそうだしね。さ、行くわよリリム、アル」

 母はあたしとアルを連れて帰った。


     ☆     ☆     ☆


「はいっ、アル、どうぞーっ」

 あたしはアルにクッキー山盛りの皿を突き出した。

 あたしの部屋のソファーでちんまりしてたアルは目を開け、

「……何だこれ」

「クッキー。アルが好きなものばっかだよ」

「……何で夜こんなもん出てくんだよ」

「腹が減っては戦はできないから」

 がぼっ。

 あたしは一枚アルの口に押し込んだ。けっこう大きい。

「もがががぐがごごご」

「おいしい? よかったー」

 食べないと死ぬと悟ったアルは必死で飲みこみ、

「殺す気か!」

「え、猫の時は猫まんまのほうがよかった?」

「普通のもん食えるよ! つーか、何なんだよ!」

「言ったでしょ。腹が減っては戦はできぬって。それに、お腹すくと余計悲しくなっちゃうでしょ?」

「悲しく……」

 アルはしばらく沈黙していた。

 あたしは構わず皿からつまみ食いしてた。

 もりもり。

「……なあ、やっぱ俺、いらない子だったんだな……」

「いらない子?」

 むぐむぐ。

「親が死んで。王族って言っても遠縁だし。陛下が恩情で引き取ってくださったけど……それも世間にアピールするためだったのかなあ。みなしごを引き取って株をあげる」

「そんなことは考えてなかったと思うよ?」

 そこまであくどくはないだろう。

 むっしゃむっしゃ。

 あ、空になりそう。

「でも、呪いをかけられたとたん捨てられた。俺、がんばっていい子になろうと努力したのに。役に立って恩返ししようと必死だったのに……」

 ポロポロとアルは大粒の涙をこぼす。

「…………」

 あたしは静かにその背をなでた。

 アルは真面目な子だ。厄介者って言われないよう、がんばってた。その努力はあたしでさえ知ってる。

 フローラの態度にブチギレて連れてきちゃったけど、このぶんじゃそのうちここにもいられないって言いだすだろうな。

 なんとかしてアルが気にせずいられる方法……。

 ……………………。

「…………」

 ピ―――ン。

 頭の上に豆電球。

 おう、古典的。

 ま、ひらめいたってことですよ。

 がしっ。

 アルの両手……いや両足をつかみ、

「そうだ、アル、結婚しよ!」

 みごとにアルは動作を停止した。ctrl+alt+delete。

「………………」

 あれー?

 おーい、起きてるー?

 再起動してくださーい。電源ボタンはどこだ。

「……お前、何言ってんの?」

「結婚しよって言ったの」

「だから何でそんな話になるんだ!?」

 頭を抱えるアル。

 顔舐めしてるようにしか見えん。かわゆす。

 しょうがないなぁ、一から説明してしんぜよう。

「だってそれならアルがうちにいる立派な理由になるじゃない。誰からも文句言われない」

「出るだろ。呪いのかかった、隣の国の名ばかり王族だぞ」

「うちは呪いとか全然気にしないお国柄だから。悪評で言ったら祖父が最たるものだし。アルは一応王族で身分もつりあう、幼馴染」

 ね?

 かわいく小首をかしげる。

「呪いはすぐ解けるかもしれない。結婚なんかする必要はない」

「じゃあ婚約でいいよ。それでも問題ない。それにすぐ方法見つかるかどうか」

 元々のゲームのシナリオにはなかった出来事。もしかした一種のバグかもしれない。

 改変したことによる不具合。

 実はあたしと母が一番懸念していたのもそのことだった。

 破滅ルートは回避した。でもその代り、どこかにゆがみが発生してしまうのではないかと。

 だとしたら、それをなんとかするのはあたしたちの役目だ。

 母もそう考えてるからこそ、強引にアルを引き取ったんだろう。

「普通に幼馴染が困ってるからいさせてあげる、でいいだろ」

「だぁーめ」

 断固拒否した。

「そのうち出てくって言いだすでしょ。猫になってる間は魔法使えないってのに、危ないじゃない」

「何で分かった」

「ん? 見れば分かる」

 あたいは呪いの類の探知に優れてる。見れば何となくどんなものか分かっちゃうんだ。

「さすがだな。とにかく、婚約でも駄目だ」

「あたしはアルが好きなんだよ」

 穏やかに言った。

 母の押しキャラは『魔王の父』ルシファー。

 あたしの押しキャラはアル。

 なにせ彼は『本命勇者』で一番かっこいい。ほとんどのプレイヤーが好きになるようデザインされてんだから当たり前だけど。

 ええはい、あたしもその一人でしてね。

 ごくフツーの乙女ですから!

 ……誰だ、乙女のとこで失笑したの。

 紛れもない乙女ですよ! 心は永遠の十代です!

 えー、コホン。

 ともかく元々あたしはアルが好きだったの!

 ヒロインの周りにもイケメンはいっぱいいるんだけど、アルは別格。声優さんも超人気でイケボだし。

 あ、初めて会った時は鼻血ふいて空飛ぶとこでした。絶対推進力でいけた。

 だって大好きなキャラがリアルに目の前にいんのよ? しゃべって動いてんのよ?

 きゃあああああああ、ステキいいいいい!

 叫ばなかった自分を褒めてあげたい。

 ああああ、でも心の中で叫んでハアハアしてんのは見逃して。

 でも彼はヒロインと結ばれる運命だ。だから『友達』でいた。アルもフローラが好きだしね。

 あたしが「好き」って言っても報われることはない。むしろ迷惑だろう。

 だから黙って、心の奥底に隠してた。ずっと。

 それだけにフローラがアルを殺そうとしたのは信じられなかった。

 まさか『ヒロイン』が『本命』を殺そうとするなんて。

「は?」

 アルはあっけにとられてた。

「俺はお前が好きじゃない」

「知ってるよ」

 最初から。

「あ、ええと、友達としては好きだぞ? でも恋愛対象には見られない」

「…………」

 ぷっ。

 あまりにオロオロしてるアルに噴き出した。

「あはははは! やーだ、あたしも友達として好きって言ったんだよ? なーに勘違いしてんの」

 嘘だけどね。

 アルは顔を真っ赤にして、

「な、なんだよ! 本気にしちまったじゃないか! 紛らわしいんだよ!」

「はいはい。ま、アルが好きなのはフローラだもんねー」

 つんつん。

 鼻をつついてやれば、そっぽを向かれた。

「べ、別に好きじゃねーよ、あんな女」

「嘘つき。一目ぼれだったくせに。フローラのことはあきらかに違う目で見てたじゃん。ハタから見りゃ、好きってモロバレだったっての」

「……マジか」

 つっぷすアル。

「穴があったら入りたい……」

 うーん、そんな姿もかわいいなあ。なでなでしたい。

 わきわき。

「ま、分かるよ。フローラはあたしと違って美人でおしとやかで優しくて性格良くて。頭もいい、魔法も上手。何でも持ってる何でもできるパーフェクト超人だもんね。あたしが男なら惹かれるだろうなぁ」

 理想の女性像だもんね。

「だろ? フローラは最高だよ! 俺みたいなみなしごも兄って慕ってくれて」

「うん、そうだね」

 知ってるよ。体験版でプレイしたことあるからね。

「まさに理想だよ。大好きだ。だから……」

 尻切れトンボになった。

 さっきのを思い出してるんだろう。

 やれやれ。

「きっとさ、何か事情があったんだよ。あんまりびっくりして、どうしたらいいか分からなくて、過激な行動とっちゃっただけだって」

「……そうかな」

「うん。呪いが解ければ元通り仲良くなれるよ」

「……そうだよな!」

 ……そんな保証はないんだけどね。でも言えない。

「でも婚約はしないぞ」

「えー、困るなあ」

 あたしはわざとおおげさに眉を寄せてみせた。

「あたしを助けるためだと思って、偽装婚約してくれない?」

「偽装?」

「うん。あたしもそろそろ縁談とか来てるわけ。パパとかが蹴りまくる、というか形がなくなるまで潰してるけど。でも悪いじゃん? だから婚約者のフリしてほしいわけ」

「婚約者のふり」

「そうすれば縁談持ち込まれなくなるでしょ。なにせあたしは『一撃の女王』の娘だから、なんとかしてつながりを持っておきたいと考える奴がけっこういるわけ。その点、アルなら仮にも他国の王族で幼馴染だから」

 問題ないってこと。

「フリしてくれたら、呪い解く方法探す手伝いするよ。うちならそういう情報も仕入れやすい」

「……確かに、俺一人が旅してもきついだろうな」

「そういうこと。アルは衣食住の保証、安全も手に入る。ちゃんと呪いが解けたら婚約解消するよ。ね、悪い話じゃないでしょ?」

 またかわいくポーズ。

 童顔、実際かわいい幼女がやると効果抜群なの分かっててやった。

「でも、そこまでしてもらうわけには……」

「幼馴染のよしみでさ。助けてくれたらうれしい。お願い!」

 手を合わせて頼む。

「…………」

 しばらくしてアルはあきらめたように嘆息した。

「分かった。でも俺、演技とか上手くないぞ」

「いいよ別に。婚約者がいるって事実が大事なんだから。アルは隣の国の王族。同盟のためとか言えば、他に候補持ってこらんないし。普通に今まで通り友達としていてくれれば」

 嘘だよ。

 あたしはアルが好き。だからいてほしいんだ。

 今の状態で呪いを探す旅になんか出たら、そう遠くないうちに野垂れ死ぬのが分かってる。それは食い止めたい。

 ……フリでも。

 たとえ嘘の関係でも傍にいてほしい。

 ささやかな願いだ。

 いけないだろうか?

 告白はしない。迷惑なの分かってるから。

 アルはフローラが好き。たとえこんなことになっても。まだあきらめてないのが表情から分かる。呪いが解けたら告白するつもりだろう。

 それでいいよ。

 母は好きな相手と結婚出来て、両想いになった。毎日堂々と「好き」って言えた。あたしは言えない。

 ただこの想いは黙って押し込めておく。

 たとえ自分と結ばれなくても、好きな人が愛する人と幸せになれるなら。あたしはそれでいいから。

 だから、一刻も早くあなたがフローラのもとに帰れるよう、あたしも助けるから。

「偽装婚約、よろしくね!」

 あたしは猫になったアルと握手した。

・車道のド真ん中を電動車いすで走り、渋滞引き起こす。

・信号を見もせず交差点につっこみ、赤信号を指摘されて気づいても構わず横断。

 これ実話です。別の高齢者で別の場所・別の日でしたが、実際目撃しました。

 前者はめちゃくちゃクラクションならされてたのに、平然と走り続けてましたね。ちなみに歩道はがら空きでした。むしろ「歩道だと走りづらいんだよ!」って怒鳴ってましたね。

 後者は急ブレーキ踏んだのは私自身です。幸い他に車はなく、後続車もいなかったので事故には至りませんでした。危なかったね。

 赤信号だと言っても、うなずくだけでそのまま渡り続けてましたよ。悠々と去ってきました。譲ってもらって当然みたいな顔で。いやいや、交通ルールは守りましょうね……。信号は守りましょう……。

 そのうち事故おこすなぁ、あれと思いました。今も無事でいることを祈ります。

 判断力が低下してる場合、電動車いすでも運転をやめさせたほうがいいと思います。スピードでないから安心じゃないんですよ、危ないのはそこじゃない。

 事故起こしますって、本当に。

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