1.ハンドタオルになっちゃった!転校してきた美少女がハンドタオルになっちゃった!?
「タオルになっちゃうの!私はハンドタオルに変身しちゃうの!!」
美少女転校生の第一声である。
この高校二年生の美少女は自分の名前を告げるより、ハジメマシテ!と挨拶するよりも、
「タオルになっちゃうの!私はハンドタオルに変身しちゃうの!!」
と言い放ったのである。
静まる教室...。
しかし、数秒の沈黙の後、僕たち男子は共通の答えをだした。
「ま、なんかようわからんけど、可愛すぎるからいっか!可愛いは正義!」
それからこの美少女は真っ白な自分の膝をぽんぽん叩きながらタオルに変身するくだりを続けた。
「私ね、肩より上に手をあげちゃいけないの。肩より上に手をあげたらハンドタオルになっちゃうの。そうしたら二度と人間に戻れないの...一生ハンドタオルとして生きていかなきゃならないの!悲劇でしょ!」
それは悲劇だ。
「伸びができないね!う〜〜って!」
クラス委員の紺空エーリカが両手を頭上に伸ばしながら言った。
エーリカはこの日この瞬間まで「クラスナンバー1美少女」の座についていた女子だ。
しかしチャンピオンベルトはもはやこの美少女転校生のか細い腰に巻かれている。
エーリカはチャンピオン奪還に燃えていた。
(ふん!生意気な小娘、無謀なチャレンジャーが!私がこのクラスの女王よ!)
「でね、私たち一族はタオル気質で...」
エーリカの言葉に反応せず、身の上話を再開する美少女転校生。
エーリカは後ろにずっこけた。後頭部で後ろの男子生徒の鼻をへし折った。
「大丈夫か佐々木!」
「佐々木!鼻がやばいぞ佐々木!」
「佐々木!佐々木!さーさき!ささーき!」
佐々木の大合唱の中、大量の鼻血を出した男子生徒・佐々木先蔵は満足そうに何度も頷いた。
佐々木はエーリカが好きだったのだ!
少し曲がってしまった眼鏡を嬉しそうにかける佐々木。
そんな佐々木が少しかっこいいと思った。
佐々木の話はどうでもいい。
今は佐々木よりも大切なことがある。
あまりに自分の名前を告げないので、
担任が無言で黒板に名前を書いていった。
佐倉たお
担任は「佐倉たお」と書いた文字をチョークでたたいた後、熱弁をふるっている美少女転校生に向けた。
この子...この美少女の名前...佐倉たお。佐倉たおっていうんだ...!
僕たち男子にほんわかが広がっていく。
ほんわか〜そっか〜うんうん、君は佐倉たお、っていうんだねえ〜ほんわか〜
たおちゃん…こんな可愛い子は初めてみたよ…
「お母さんはすでにフェイスタオルになっちゃててね!だから私も...」
そこまで言うとたおちゃんは言葉を止めた。
キャーッ!!!!
?
教室が一気にざわついた。ほんわかタイムは一瞬で終わってしまった!
机を押しのける音、音、音!
「だったらお前をタオル送りにしてやる!今すぐハンドタオルにしてやる!」
エーリカだ!
血走った目、逆立ったツインテール、ぷるんぷるん揺れる胸、
エーリカが次々と机を押しのけてたおちゃんに突き進んでいく!
「たおちゃん!」
エーリカがたおちゃんの右手を掴む!
「けへへっ!お前はタオルになるのだ!さあ人間にサヨナラしな!」
エーリカがたおちゃんの右手を頭上に引っ張る!
たおちゃんの細い腕が肩のラインを...
「やめろおおおおおおおーーーーーーー!!!!!!!!!!」
つづく
村人にむりやり踊り子の衣装を着せられた男の子!なぜか魔王と戦う旅に行かされることになり・・・
「◇◇◇踊り子の衣装を着せられて、魔王と戦うことになったんですけど!!◇◇」
も連載中です(❀╹◡╹)ノ゛
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