勇者はいねかぁぁぁ
私の名はアイリーン。世界最高の天才魔術師だ。
魔術に関しては天才の私だが、魔術以外は平凡なところもあるし苦手なことだってある。
その最たるものは絵だ。
何故か私が描いた絵は不思議な出来上がりとなる。
例えば風景を描いた事がある。
気持ちのいい風が吹く草原。所々に花が咲き小さな動物の姿も見える、実にさわやかな場所だ。
幼かった私はその空気を少しでも絵に残そうと、景色を忠実に描いた。
……つもりだったのだが。
何故か出来上がった絵を見てみれば、そこにはどう見ても地獄としか見えない景色が描かれていた
青々とした草原は赤く血に染まったったような汚泥が広がり、可愛らしい花は毒々しい人喰花が立ち並び、小動物は屈強な魔物となり果てていた。
どうしてこうなったのか全く分からない。
私は素晴らしい景色を少しでも再現しようと描いただけだった。
草原の匂いを少しでも感じようと大地に身を投げその空気を吸った。
花は近くで丁寧に観察し花びらの造形や葉の手触りまで感じた。
動物は怪我をさせないよう注意して捕まえ、毛並みの柔らかさや匂いを堪能した。もちろんお礼にご飯をあげてから返した。
一つ一つを丹念に観察し、そのままを描いた。
たったそれだけのはずなのに、何度見直しても出来上がった絵は地獄の一幕。
私に絵の描き方を教えてくれた人も訳が分からないと首をかしげていた。
途中の経過を見ていたそうだが少なくとも下書きまでは普通の絵だったらしい。
ならば他のものを描いてみようとなり、描いた。
机の上に置いた果物を描き、建物を描き、人物を描いた。
絵の果物は匂いなどしないはずなのに腐臭を感じられ、建物は荒れ果てた廃墟のように見え、人物は……モデルとなった人が今でも生きているのは間違いないはずだ。
決して自分勝手な手順で描いているわけではない。基本に沿って描いている。
他人に見てもらいつつ、変なことをしそうになった時は止めるように頼んでから描いた事もある。
なのに何故か出来上がるまでは誰も不審に思わず、出来上がった途端、誰の目から見てもおぞましい……いや不思議な絵となる。
描いている最中に魔術は使用してないし呪われているわけでも無い。
原因は全くわからず、私は簡単なものすら絵に描けないことに悩んだ。
しかし一方で、ある一部の人の間では話題の的となっていた。
曰く、『こんなに恐ろしく禍々しい魔物は見たことが無い!』『なんと素晴らしい、悪を体現するとはまさにこのこと! 心が震えるようだ!』『この悍ましい大地をまるで本物の様に……ここに自分が立ったことを想像するだけで体が腐り落ちる快感が……』『この神々しいお姿……この方が邪神様のお姿なのですね!』『この絵を見ていると心がどす黒く染まっていくようです……なんて甘美なひと時でしょう』
当時一部で広まり始めていた邪神教の信徒から大絶賛された。
まるで邪神の使徒であるかのように崇められ、次を絵を求められた。
まだ精神的に未熟で幼い私が、崇められたことで調子に乗ったことは致し方ない事だろう。
次の日には全ての絵を焼き尽くし、邪神教の施設を全て破壊した。
傍若無人な邪神のその使徒の行いだ。もちろん誰からも文句を言われなかった。
その後信徒全員を無人島に放置してきた。
未熟なお前らは死ぬまでここで修行するようにと言っておいたので、本当に死ぬまであそこにいることだろう。
島から帰ってきた私は、真っ先に絵を二度と描かないことを宣言した。
そんな絵を弱点とする私だが、ここ二日で新たな自分の弱点を自覚しつつあった。
それは、“勧誘”だ。
◇◇◇
「勇者召還の日取りが十日後に決まりました。つきましては召還の儀の準備を始めていただきたくようお願い致します」
あの日宰相が告げた言葉。
それに真っ先に反応したのはセリオだった。
「十日後、ですか? ですが泉の力はまだ大きくなっている途中では……」
約二か月前にこの国に着いたときに泉の状況を自分で確認したから間違いない。
人間族の魔術師ではどこまで力が大きくなるか分からないだろうけど、他の泉を見たことのある私には分かる。
当時の時点で約半年から一年の間に最大になる。それは今でも変わっていない。
そして宰相はもちろんそれを知っている。にも関わらずこうなったのは。
「魔術師団長の判断です。現時点で泉の力は最も大きくなったと本日の会議で報告がありました」
「ですがアイリーン様は」
「妖精族の言うことなど信用できないそうですよ。魔術師団長は」
まぁ当たり前だね。
「むしろすんなり信用した宰相の方があやしく見られるよねー」
「ア、アイさん……」
「こう見えて魔術師の端くれです。アイリーン殿の力はお呼びした際にその一端を見せていただきました。せいぜい二等魔術師程度の力しかありませんのですぐにその道は諦めましたが、それでもアイリーン殿の力を見誤るような眼はしていないつもりです」
「どっちかと言うと魔術師としてより宰相として人を見る能力だよねそれ」
「両方をうまく使っているということです。それにその程度の力しかないから会議の場で反対することもできませんでしたし」
「どうして反対しなかったんですか?」
「魔術師団長が報告した直後、騎士団長からも攻勢の準備は整っているとの申し出がありました。通常であれば準備にひと月以上の時間がかかるはずですが、何故か都合よく。そして二人はすぐに勇者召還をすべきとの意を具申しました、騎士団長と魔術師団長が意思を同じにしていたのです。他の貴族達がどうでるのかは明らかですから」
「そんなとこで一言でも反対したらどうなることやら。というかそんな状況で十日も時間を確保した方がすごい」
「それくらいは何とかしますよ。これでも宰相をやっていますので」
自嘲気味に笑っているけど本当にすごい。
あの愚王をノせるために騎士団長と魔術師団長が結託した状況で、反対意見と取られないようにしつつぎりぎりまで延期させてみせた。
どんなに上がアレでも能力のある人ってのは居るもんだねー。
「ですが本当にこれ以上は引き延ばせません……召還はできそうですか?」
「あぁうん、召還するだけならだいじょうぶだよー」
「流石ですね」「えぇ!?」
不思議なことにセリオから驚きの声が聞こえた。何故に?
「……セリオ、何故あなたが驚いているのです? アイリーン殿の側で研究を見ていたのではないのですか」
「確かにそうなんですが……」
ちらちらこっちを見ながら言いづらそうにしている。ホントにどうした。
「その、とても研究が進んでる様には見えなかったんです。考え事をしたと思ったら魔法陣を書きだして、書き終わったと思ったらすぐ破り捨ててまた考え込んで……といったことを繰り返してましたので、てっきり上手くいってないんだろうなと思ってたんですが」
「魔法陣に関しては詳しい事は分かりませんが……確かにそう聞くと失敗を繰り返してるように聞こえますね」
二人揃ってこっち見んな。
魔術に関することで疑われるなんて失礼甚だしい。
「頭の中ではちゃんと魔術構築出来てるよ。セリオには言ったけど魔法陣を書いたのは確認とかのためで、召還するときは通常の魔術でやるからね。破り捨てたのは残しときたくないから。宰相みたいな人間しか居ないんだったら残してもいいんだけどねー」
「魔法陣は確か、魔力を流せば誰でも同じ魔術を使えるようになるものでしたか。なるほど、確かにそれは残されたくないですね」
「え、ですが召還用の魔法陣があれば今後の勇者召還が行いやすいのでは?」
「そうですね。だから本当に必要でなくても召還できてしまう(・・・・・)。そういえば知ってますか。騎士団長殿は、とても妖精族の事がお嫌いだそうですよ」
「あ……」
宰相は話が早くて助かるなー。
勇者という強力な力の使い道は、魔王討伐以外にも使える。
勇者と言う名のついた、ただの力なんだから。
召還してしまえばあとは戦争だろうが侵略だろうが蹂躙だろうがやりたい放題しほーだいだぜヒャッハーとか考えるやつも出てくるわけで。
まぁそんなことはどうでもいいんだけど。
「え、私それ聞いてない。もしかして謁見の時睨んでたのはそれもあって?」
「以前にある女性が不審な死を遂げたそうです。前日まで元気な姿を確認されていましたので病気等は考えにくく、最終的にその事件は魔術に長けた妖精族の仕業であるとされまして」
「どーせ何の証拠も無いから誰か適当なこと言ったんでしょ?めんどくさー」
その通りですと苦笑いする宰相。
勘弁してよー人間族に嫌われてるってわかってるのに妖精族がこんなとこまで来るわけないでしょー。
普段は他種族を下に見てる癖に都合のいい時だけ力があるってことにしてさー面倒くさいにも程があるってーの。
「そういうわけですので今回召還が出来ないとなると騎士団が乗り込んでくると思われますが……召還は大丈夫なんですね?」
「だいじょーぶだいじょーぶ」
宰相ってば慎重なんだからー大丈夫だってー。
「では召還するだけならという言い方はどういう意味なのですか?」
おぅふ。ばれた。
「その様子だと……召還はできてもそれが勇者かどうかは分からないといったところでしょうか?」
「召還されたものが勇者じゃない……ってそれ大変じゃないですか!」
「違うってばーちゃんと勇者としての力を持った人を召還できるってー。ただどんな性格してるかは分からないだけで」
「それがダメなんじゃないすか……」
呆れたような目で見る二人。こっち見んな。
「期日までに何とかなりませんか?」
「正直分からないなーあとひと月研究できればそれも加えた召還魔術が出来上がるけどねー十日じゃ間に合うかどうか」
召還する部分は問題ない、力に関しても大丈夫。
あとは選別の箇所だけが出来上がっていなかった。
「だから私にできるとすれば、研究を続けつつ個別に探し出すってことくらいかなー」
「個別にというと……あの異世界の人間と会話する魔術で一人一人と交渉する、ということですか? 砂の中から一粒の砂を探し出すような話ですが……確かに現状ではそれしか手段がありませんね」
勇者としての適性を選別する魔術が無い以上、大変だけどやるしかない。
かくして私の勇者勧誘が始まった。
《十九歳男性 学生の場合》
『勇者? なんで俺がそんなことしないといけないんですか。せっかく苦労して大学入ったのに。将来は公務員になって安定した生活を送るんです。大体僕は忙しいんです。そんなことしてる暇はありません。明後日と来週にも合コンの予定があるのに。とにかく無理です』
若者の方が柔軟な思考ができるからと思ったけど、やっぱ学生は勉強で忙しいかー。
公務員が何か知らないけど夢があるなら叶えたいだろうし、合コンも聞いたことないけどきっと重要なことなんだろうね。そこだけ熱意が違ったし。
次は仕事してる人にしよう。
《二十一歳男性 フリーターの場合》
『勇者な、それって時給いくら? 勤務時間は? ……はぁ? 魔物の素材次第だから出来高制? そんな給料でやるわけないじゃん。勤務時間も魔物次第とかふざけてんの。他当たれよ』
そりゃ働いてる人なら金銭面はシビアだよねー。
しかも交代要員の居る騎士団と違って勇者は一人だから、強い魔物が出ればたとえ寝てても関係ないし、まぁ当たり前か。
次は騎士団みたいな仕事の人にしてみよう。
《二十五歳男性 警察官の場合》
『異世界で、勇者? なんで俺が? 確かに治安を守る仕事っちゃそうだけど、ぶっちゃけただの相談所みたいなもんだし。めんどくさい事ばっか言われるし、下手に首突っ込めばプライバシーがとかうるさいし、そのくせ何かあるとお前らが未然に防がないのが悪いとか言われるんだぜ? 治安を守るのは俺らで、俺らを守るのは誰なんだってんだよクソが』
ああうん、君も苦労してるんだねー。
でも愚痴は鬱陶しかったのでタンスの角を小指で蹴りたくなる呪いをかけてあげよう。
つぎつぎー。
《三十二歳男性 自衛官の場合》
『自分が勇者ですか。非常に光栄なことですが、辞退させていただきたく。私はこの国を守る事こそを生きがいとし、戦うことではなく守ることに己の命を懸けていきたいと思っております。ですが未熟な自分ではそちらの国も守り、こちらの国も守るというのには力不足と言う他ありません。苦しんでいる人たちには非常に申し訳なく思いますが、何卒ご理解いただきたい』
真面目な人だなー。
でも当たり前だよねー自分の国と知らない国、どっち守るかなんてそりゃ決まってるってー。
貴方のような人にはそのままで頑張ってほしいから数日間絶対に快眠する呪いをかけてあげよう。
多少の事では起きなくなってしまうけどその分目覚めはすっきりするからねー。
しかし次はどうしようかな。
人間族の伝説だと勇者は男性ばっかだったけど、女性も聞いてみようか。
《二十歳女性 学生の場合》
『勇者ぁ? 何でもいいけどイケメン居るのぉ? 最低三人でぇガキはタイプじゃないからぁハタチ以上でぇオッサンも嫌いだからぁニジューゴ以下でぇイケメンがいいなぁ。あとぉあたしより強くてぇ私の代わりに何でもしてくれてぇ五人以上でぇ料理もできてぇイケメンでぇケンリョクもあってぇお金持ってんのは当たり前だけどぉイケメンでぇあたしのために死んでくれる人じゃないとイヤだなぁ。それからぁ――』
何この知性の欠片もない生物は。私間違えて人間以外に繋げた?
いや私が魔術に関することで間違えることがあるだろうか。いやない。
となるとこんなかわいそうな頭でもやっぱ人間なのか、愚王がマシに見えたよ。
勇者より強い人間が居るなら勇者なんていらんっての。
そんなにイケメンが好きならイケメンが集まる呪いをかけてあげよう。
ついでに絶対に誰とも縁が出来ない呪いをかけてあげた。
これで死ぬまでイケメン見放題だねっ。
《二十七歳女性 会社員の場合》
『家で寝ても仕事の夢見るとかどんなだけ仕事が好きなんだあたしは。プロローグのバグ出しは早くやれってことね。明日やりますよーだ。つーかこの期に及んで仕様変えんなっつーのマップまで変えやがって。背景班が遅れてるからって他のとこに手ぇ出してんじゃないっつーのあのアホ上司。他にもやることあるだろーが遅延がでるならスタッフ配置考え直せって何度言えばわかる。そんなだから最後にスケジュール間に合わなくて元請に怒られてあたしらが徹夜するはめになるんだろボケ上司め』
これが異世界の誇る社畜というやつかー。
無能な上司に振り回される部下は大変だよねーお仕事ご苦労様です。私も含めて。
社畜は仕事しないと死んじゃう生き物らしいから、しばらく体力回復速度が二倍になる呪いをかけてあげよう。
これからの社畜ライフもがんばれっ。
《三十歳女性 フリーターの場合》
『ああ……ついに精霊王へ私の祈りが届いたのですね……。今世に生まれて三十年、前世から数えれば一万年も待ち続けついにっ……! ええ分かっておりますとも。貴女は精霊王の使い。前世ではクィヤマヘクトラリヤの王子と結ばれた精霊王の娘である私を探しに来たのですね。ですがこの穢れた地で暮らした咎を追ってしまった爛れた我が身。勇者として悪を滅ぼすことで浄化せよということなのですねっ。ええ分かっておりますとも。幼いころに魔物に攫われた私はこの世界での力を封じられ小学生の間は私が何者なのかすら覚えておりませんでした。中学で前世の記憶を思い出した私はその封印を解くべく我が聖域にて力を蓄え続けました。それに気付いた魔物は今世での両親を洗脳し聖域から連れ出そうとしたようですがそんなものに負ける私ではありませんとも。そして十六年目の今日! ついに封印が解けたのですね! さぁ行きましょう! 精霊王の娘でありゴアギジェスロギャ神の加護を受けたこの私が覚醒した以上っ、全ての悪は存在することすら許されないのです!』
いえ結構です。
そのステキなお力は是非そっちの世界でだけ使ってくださいねーそして二度とお部屋と言う名の聖域から出てこないでくださいねー。
あー無駄に疲れた。SAN値が減るっていうのはこういうことかー異世界の呪いは怖いなー。
疲れたから今日はもうやめ。
URL:http://www.isekai.xxx/[4^2g=~|○○○-rwe/chat.cgi
【チャットルーム:Isekai】
Information >《アイちゃん@勇者募集中》 さんが入室しました。
《アイちゃん@勇者募集中》勇者はいねかぁぁぁぁぁ。
Information >《でっていうサン@勇者廃業中》 さんが入室しました。
《でっていうサン@勇者廃業中》[壁]_・)イマセーン
《アイちゃん@勇者募集中》よし今すぐ召還しよう。
Information >《でっていうサン@勇者廃業中》 さんが退室しました。
《アイちゃん@勇者募集中》やだなー冗談だってばー。
Information >《アイちゃん@勇者募集中》 さんが退室しました。
Information >《アイちゃん》 さんが入室しました。
《アイちゃん》ほらこわくなーいこわくなーい。
Information >《でっていうサン》 さんが入室しました。
《でっていうサン》勇者見つからなかったの?
《でっていうサン》おっかしーなー勇者召還と言えば夢に神が出てくるのが定番だからあっさり釣れると思ったのに。
《アイちゃん》あっさり釣れたのは夢の世界の住人ばかりだった。
《でっていうサン》つまりダメなのしか釣れなかったと。
《アイちゃん》きちんとリリースしときました。
《でっていうサン》よろしい。
《でっていうサン》魔術で選ぶのはまだできないの? あと五日だっけ。
《アイちゃん》あと四日だね。そして魔術はまだ。
《でっていうサン》そっかー。ネットの検索みたいにAND検索とかできればいいのに。
《アイちゃん》検索かー。
《アイちゃん》それは参考にするとして他にも勇者召還のテンプレ知らない?
《でっていうサン》一応知り合いのラノベオタクに聞いたけどなぁ……。
《アイちゃん》無かったの?
《でっていうサン》いやあったんだけど、使いづらそうなのが多くて。
《アイちゃん》気になるけどひとまず聞かせてよ。
《でっていうサン》まず前提として、最近の勇者はかませ犬役なのが多いらしい。
《アイちゃん》え、じゃあ主人公が勇者じゃないの。
《でっていうサン》そう。勇者として呼ばれた連中は『俺神に選ばれたから何してもいいんだぜー!』っていうアホがやるもんで、主人公はそれに巻き込まれた一般人がチート能力で成り上がっていくのが多いんだと。
《アイちゃん》なるほどねー。最初は能力の低さに笑われつつも次第に強くなっていく、あるいは特別な能力を使いこなせるようになった主人公が調子に乗ってるゴミ勇者をボロッカスに叩きのめす痛快ストーリーが流行りと。
《でっていうサン》そんな感じ。勇者として呼ばれても最底辺が多いってさ。
《アイちゃん》なるほどー。
《でっていうサン》でそんな勇者が召還されるのは、ある日突然に何の前触れもなくいきなり召還されるってのが一番多い。
《アイちゃん》何してようと関係なし?
《でっていうサン》寝てようが学校で勉強してようが遊んでる途中だろうが一切容赦なし。
《アイちゃん》それただ拉致してるだけでしょ。
《でっていうサン》まったくもってそのとーりw
《でっていうサン》もちろん送り返す方法は無くて、帰る方法は魔王が知ってるよーとか言って魔王を倒しに行かせるらしい。
《アイちゃん》え? そんなので魔王倒しに行くバカが勇者なの?
《アイちゃん》魔王が勇者送り返す方法知ってたら即送り返すに決まってるでしょ。送り返せば勇者と戦わなくていいのにわざわざ戦う魔王なんて居るわけないって。
《アイちゃん》しかも倒したら知ってる人いなくなるじゃん。
《でっていうサン》色々やり方あるみたいでさ、召還した直後に催眠とかでそう思い込ませるとか、酷いのだと強制的に命令聞かせるように奴隷みたいにするとかもあるらしい。
《アイちゃん》それ召還した連中のほうがよっぽど魔王らしいね。
《でっていうサン》言われてみればw
《でっていうサン》あと他のパターンだと召還よりも転生が多いってさ。
《アイちゃん》死んだ人を使うってこと?
《でっていうサン》とりあえず死ぬ→神とかそういうの『君死んだから転生してよ』→生まれたばかりの子供に魂移植、または死んだ人に魂だけ移してあとはお好きに。
《アイちゃん》確かに死んだ人なら今までの人生についてはどうでもいいだろうけど、魂の行き先が別の人じゃその体に入ってた魂の事は考えてないよね。
《でっていうサン》子供に入る場合は魂が宿る前だからおっけーとか、死んだ人に入る場合は魂死んでるからいいじゃんとか。
《でっていうサン》子供に入る場合は親にどう申告するかが話の見どころらしい。
《アイちゃん》例え魂死んでても死んだ後に体使っていいとは限らないのに……その神が確認取ったから大丈夫ーとかいうのか。
《アイちゃん》ストーリーの進行上必要な都合ってやつねー。
《でっていうサン》そんな感じだなー。
《でっていうサン》他には異世界の人がこっちの世界に直接来て探すとか、主人公の家のドアが突然異世界に繋がるだとかもあるってさ。
《でっていうサン》そういえばアイちゃんみたいにメールが来るってのもあったw
《アイちゃん》マジか。
《でっていうサン》それに返信したら即召還とか、ステータス入力したらその数値で召還されるとか。
《でっていうサン》今更だけど俺もよくあんな釣りメールに反応したもんだわw
《アイちゃん》そういえばそうだね。なんで?
《でっていうサン》スパ○ボZで二徹してテンションおかしくなってたところに明らかに釣りメールなのに今時cgiチャットっていうのがツボってつい釣られてみた結果。
《アイちゃん》ゲームも役に立つねっ。
《アイちゃん》でもそっかーこれと言ってパッとするのは無いかー。
《でっていうサン》もういっそそれっぽい人拉致ったら?(マテ
《アイちゃん》今私の前に丁度いいのが居るなぁ。
《でっていうサン》一日で帰れるんだったらいーぜっ。
《アイちゃん》じゃそれでいこう。
《でっていうサン》いや魔王居ないから時間稼ぐ必要あるって言ってたじゃんw
《アイちゃん》そんなのとは関係ないって。こっちで何日過ごそうがそっちでは関係ないようにできるの。
《でっていうサン》…………ん?
《でっていうサン》ってことはそっちに十年いても、こっちに帰ったら時間が経ってないとか?
《アイちゃん》それが希望ならそういうこともできる。
《でっていうサン》まぁぁぁぁぁじぃぃぃぃぃでぇぇぇぇぇ!!??
《アイちゃん》マジで。
《でっていうサン》いやでも俺戦い方とか知らないし体も鍛えてないしっ!
《アイちゃん》戦い方知らないのはこっちで訓練するとして、魔術の使い方は私謹製の指南書を作っといた。
《アイちゃん》身体能力は鍛えてなくてもこっち来るときに強くなる。
《でっていうサン》強くなっても死ぬこともあるっしょ!
《アイちゃん》こっちで死んでもそれはこっちの世界の体だけ。魂は元の世界に帰って今まで通りに生活できる。
《でっていうサン》そっちの世界の体?
《アイちゃん》泉の魔力を元にこちらの世界用の体を構築するように魔術を組んだ。だから元の世界でどんなにひ弱な人でも強い力を持った体になる。
《アイちゃん》召還するのは魂だけ。しかも本体はそちらの世界に残したままでこちらには魂の一部だけを持ってくるようにした。
《アイちゃん》体が殺されたら魂を繋ぎとめる力が無くなって魂は元の世界に戻る。仮に魂も殺されても一部だけだから本体には支障無い。せいぜい数日寝込む程度。
《アイちゃん》魂が戻る『時間』に関しても、こっちの世界とそっちの世界の時間軸は別物だから魂だけなら召還時の時間に戻すことができる。体ごと来てたら無理だけど。
《アイちゃん》あともしこっちの世界で今後も暮らしたいっていう場合には魂全部持ってくることもできるし体も持ってくることができる。
《でっていうサン》……つまり最初からレベル最大でスタート出来て、死んでも元の世界に戻るだけだし、そっちが気に入れば永住もできると。
《アイちゃん》何かあっても夢オチで済ませるように目指した結果こうなった。
《でっていうサン》夢オチのレベルたけぇぇぇぇぇwww
《アイちゃん》最初からレベル最大はちょっと言い過ぎだけどねー。魂と体が馴染むまでは全力は出せないだろうし。
《でっていうサン》馴染ませるってやっぱ戦ったり?
《アイちゃん》ほっといても馴染むよ。一か月もあれば。
《でっていうサン》はっやwww
《アイちゃん》あとアイテムボックスだっけ。大量の荷物を持ち運べる魔術も作ったし、知らないものを調べるように鑑定の魔術も作った。
《でっていうサン》冗談抜きに至れり尽くせりすぎるwww
《でっていうサン》つーか誰でもできるwww
《でっていうサン》それなら俺勇者やるぜ!
《アイちゃん》マジか!
《アイちゃん》ありがとう心の友よ!
《でっていうサン》俺からしたらゲームと変わんねーよw
《でっていうサン》そんな勇者なら余裕でやってやるってw
《でっていうサン》超リアルVRキター!w
《でっていうサン》……………………?
《でっていうサン》返事が無い。ただの屍のようだ。
《アイちゃん》誰ガ屍カー。
《でっていうサン》おおう。
《アイちゃん》ごめんごめんちょっと呼ばれてたから。
《アイちゃん》じゃ勇者やってくれるってことでいいー?
《でっていうサン》どんとこいやー!
《アイちゃん》わかった。
《アイちゃん》ちょっと用が出来たから細かいところはまた今度話す。
《でっていうサン》了解。
《アイちゃん》じゃねー。
Information >《アイちゃん》 さんが退室しました。
《でっていうサン》おうよーノシ
Information >《でっていうサン》 さんが退室しました。
一応は一国の危機に対して、ゲームと変わらない、か……。
どうしよっかなぁ……。
邪神=いません。信者による妄想の産物です。
呪いの絵=見ただけで精神にダメージを受けます。
異世界の人達=オタクな人たちはテンプレなので除外しました。最後の一名も除外するつもりでしたが呪われそうなので入れました。
宰相=魔物に国を荒らされたくないので勇者召還自体には賛成していますが、他種族と争うことは望んでません。彼我の戦力差を正確に捉えているので、人間族が他種族に喧嘩売る結果がどうなるかをしっかり把握しているためです。