ゴシックの唄
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隙間から零れ出す魂は 無数の泡沫に溺れる
枯れた心臓 重なる面影 すれ違う残像 忘れゆく記憶
仮初の世界では 言葉の意味さえ 蝕まれた
「――ご機嫌麗しゅうお嬢さん、お探し物はこれかい?」
悪戯な笑顔で現れた 悪魔が抱えるは 虚しく砕けた残骸だ
複雑な欠片は 二度と同じ姿形には戻れない
悲しみで囚われる新しいオトモダチの誕生に 悪魔はにたり薄ら笑った
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星屑が踊る世界は 何ひとつ信じられない
両手を満たすは 溢れる絶望の渦だ
重なり合った想像 埋め合う希望
「――さあ、私と明日を灯そう」
顔無しの傀儡子が 光を恐れる罪な手を伸ばした
もう何も恐れはない すべては醜悪で濁り 夢現の感情は支配される
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口から滑稽が零れ 鼻から呪縛が零れ
耳から希望が零れ 躯は死で包まれる
「――お眠りの時間ですよ」
舞い降りた死神が 三日月の鎌を振り被り微笑んだ
赤い欠片が舞う 最期に目は悲劇で潰れた
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恨みでもぎれた両手 卑猥で溶けた両足
「縄張りに入った キミが悪いんだよ?」
精神を削る笑みを顔に飾った影が 気品と美徳を刻んだ身体を抱き締める
退屈な華 面白い展開 新たな世界
さあ 焼けた舌で一緒に絶望を叫ぼう