深夜の訪問者
時刻は深夜二時を過ぎた頃、道草は一人パソコンでネットサーフィンをしていた。特に理由は無い、ただの暇つぶしだった。
ぼーっとパソコンの画面を眺めている。そんな時だった、一人の男が静寂を破った。
「気づいてるんですよね、オレのこと」
男は金髪で青い目をしていた、この男の名は雁来 春千佳、ある家に仕える者だ。
「ああ、気づいているとも、君の気配遮断くらい簡単に気づく」
「そうですか、はぁー、オレもまだまだですね」
「そんなことはどうでもいいんだ、これはどういうことだ」
道草はそう言ってタバコを春千佳に投げた。春千佳はそれを取ると笑って、
「気づいたんですか」
「ああ、まさかタバコに刻印を刻んでおくとは、びっくりしたよ」
「すいませんね、別に驚かせるつもりじゃなかったんですけどね」
そう言うと、少し光ってタバコが燃えた。
「で、要件はなんだ、多方予想はついているんだ、弓塚の掃除人」
そう言って、道草は自分の頭を指差した。
「くく、そこまで知ってるのかよ、あなたはすごいですね」
「伊達に探偵やってないさ」
「すごいな、あんたの予想どうりです、今日オレの記憶がぶっ壊されたんです、しかも一瞬で」
春千佳の頭には障壁をしてある、記憶を奪われないために、それが一瞬で壊せれ、しかも記憶まで壊した。
「ありえないことだ、この街には記憶専門のヤツでもいるというんですか」
道草は笑って、
「いや、いないよ、この街にはこっち側のヤツは三人しかいない」
「じゃあどうして、ありえないこんなこと」
春千佳は声を荒げて言った。それを見て、道草は笑う、
「ふっ、君にはまだ早いよ」
「チッ、めんどくさいな、一から調べなきゃいけないのか」
そう言って、春千佳は振り返り、
「邪魔しました、オレは帰ります、あの人のことはよろしくお願いしますね」
そう言って、扉を開けた。
「気をつけて帰るんだぞ」
「くく、オレのことバカにしてます?」
「ふふ、いや」
道草がそう言うと、もういなくなってた。