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プロローグ 夏
ある暑い夏の日の放課後、――がいない放課後のことだった。
僕は屋上の扉の前で泣いていた。自分のせいだ、と自分を責めていた。
そんな僕の前に彼女が立っていた。堂々と前を向いて立っている。
彼女は僕に、
「センパイ、元気出してください、辛い時こそ前を向いて、ほら」
そう言って手を出した。普段は小さい彼女の手が大きく見えた。
僕はその手を掴んだ、その手は暖かかった。
「さあ、立ったなら歩きましょう、人間は歩いてでしか進めませんから」
彼女は笑顔だそう言った。その笑顔はいつもと同じ彼女の笑顔。
向日葵のような元気で、力強い、彼女らしい笑顔だった。
始めてですが、よろしくお願いします。