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あのころ…1.17.
10年前の今日 僕らの街は揺れに揺れた
いろんなものが壊れて 崩れ落ちた
何もかもが街から消えた
灯りも水もガスも高いビルも 生命の気配さえも
ただ、すべてを焼きつくす炎だけは 消えなかった
悪魔のように燃えつづけ 数日後にやっと絶えた
失ってしまったものもたくさんあった
いのち 時間 お金 家
そして 笑うこと
笑顔が途絶えた街は 死んだも同然だった
それが
僕らのあのころの記憶
あれから10年が経ったいま
僕らには一体何が出来るだろう
一度死んだ街は少しだけ再生したけれど
この10年間 地球はちっとも沈黙しなかった
同じように死んでしまった大地へ
震災という過去の時間を持つ僕らには
何かもっと違うことが出来るだろう
あまりにも幼すぎたあのころとは……
これが
10年目を迎える僕らの これからの記憶
2005年1月17日(阪神・淡路大震災から10年目)




