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丘の上の大きな樹/夏の愁い、夏の想い出
「丘の上の大きな樹」
いつも たったひとり
ぽつんと丘に立っているきみ
太陽が昇っても、夜をむかえても
絶対に丘のいただきから
逃げ出さない。
雨の日も雪の日も風の日も
春も夏も秋も冬も
くる日もくる日も
きみはただ黙ってそこに立っている。
悠然と空を見上げ
大きな手足をのびのびと広げて
きみはそこに立っている。
きらめく光も いのちのさえずりも
ぼくの憧れさえも 全て受け止めて
きみは何年もそこにいる。
いつまでもそこに立っている。
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「夏の愁い、夏の想い出」
見つめていると
なぜか切ないこころになる
あまりに綺麗で純な世界
あの夏の想い出を切りとって
並べて浮かべた夢のよう
わたしの思いを風にのせ
はかない幻 描きだす
うつつの夢にこころはせ
わかれのうたを口ずさむ
うまれた音は潮騒に
溶けてもまれてなくなって
やがては空に霧散する
夏の愁いはうつつとなる




