25/51
さくら咲くころ/ゆうやけ
いつも この坂道を
遅刻と戦いながらのぼった 朝日のなか
ずっと 楽にかけあがる
先生のくるまが うらやましかった。
だけど それもきょうでおしまい
あしたの卒業式は 坂のうえの学校じゃない
だから 制服を着て
この坂をのぼるのも きょうが最後。
卒業は さよなら じゃないし
さよならは 永遠 でもないけれど
式が終われば ぼくは
おとなになる ということを知るのだろう
ありがとう とつぶやくのだろう
あの大きなさくらの木が
ももいろに染まるころ ぼくは
あたらしくなる
----------------------------
「ゆうやけ」
「忘れないよ」
ふたり誓ったあの日から
季節はそう過ぎてはいないのに
「さよなら」と
君は振り返りもしないで
笑いながら手を離した
君があの橋の向こうに消えるまで
見つめていた僕は
背を向けて
やがてゆっくりと歩きはじめる
遥かなる道へ
ゆうやけ色のあの空へ




