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詩集 「bleu printemps」  作者: 月見里 星維
15/51

海へゆく日

永い踏切を越え、

細くなだらかな坂道を降りる。

すると、風景が変わり

目の前に海が拓ける。

波間につまれたテトラポットは、

いつも黙って、おのれの上へ

僕をいざなう。


“私の上でこころを鎮めなさい。

 気の清むまで感じなさい。”


すべてのものが芽生える、

春の海より。

すべてのものが熱くなる、

夏の海より。

すべてのものが眠りはじめる、

秋の海より。

すべてのものが静かになる、

冬の海の方が、僕は好きだ。


他のどんな季節より荒々しい、

冬の海や砂浜は

冷たく。そしてどこか暖かく、

僕を迎える。


打ちつけては引き、

打ちつけては引く波は

海を見に来た僕と同化し、

肌で感じる砂や風は

テトラへ向かう僕を追いたてる。


テトラの上に立って、

冬の波間を眺める。

いつまでもいつまでも、

そこにいると

僕は見つける。

季節が移ろう瞬間を

僕は見つめる。


一度見つけてしまうと

嬉しくなって、また海を眺める。

ずっとそうしていた僕は、

海に来た理由も忘れ。

心穏やかに、坂をのぼる。


まだ荒々しい海に想いを馳せて……。

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