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色彩の想い出
赤。それはいつか、真夜中に食べたりんご飴の色。
血のように紅く、苺のように甘い。林檎の色。
そして、また。
朱は「闘争」の色。争い戦った痕、鮮血が舞う。
紅は「弱さ」をただの「見せかけの強さ」に変えてくれる。
それだけの色。
青。それはいつか、夢を見ていたあの頃の色。
空のように蒼く、海のように塩辛い。幼い日の色。
そして、また。
藍は「始まり」の色。全てが終わった痕、新しく芽生える。
蒼は「終わり」をただの「見せかけの穏やかさ」に変えてくれる。
それだけの色。
黒。それはいつか、通い歩いた夜の色。
眠りのように黒く、穴のように暗い。哀しみの色。
そして、また。
玄は「過程」の色。通り過ぎた痕、明るさが残る。
黒は「死」をただの「見せかけの絶望」に変えてくれる。
それだけの色。
紅。蒼。黒。
語るものは、いつもある。




