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吟ずるおと/inert People mounts a Hill
「吟ずるおと」
真白い地面に、他でもない
あなたを立てると
あなたは黒い線を残しながら
走ってゆく
その黒い線は、文字となり
言葉となって
人々(ひと)の心をかけて逝く。時々
そのまま過ぎ去ってしまうことも
あるけれど。たまには
記憶にとどまって、いつの日か
その人への贈り物になる
そうなる瞬間があることを
願って。わたしは
あなたを走らせる
とんとんかりかり
あなたは走る
いろんな想いをのせながら
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「inert People mounts a Hill」
丘をのぼる。
毎日、毎日。同じ丘を
決められた速度と、決められた長さで
のぼってゆく。
何が面白いのか、
時々、笑い声があがる。
毎回、毎回。同じような話題
同じ道筋、同じ顔ぶれ。
怠惰、とも呼べる生活が
丘をのぼるあいだに
丘をのぼったあとも、
続いてゆく。
そこに、
出来事がない限り。