気嚢破裂とアナフィラキシーについての補足
Case1、Case2をお読みくださりありがとうございます。
元救急救命士の稗田と申します。
ここでは、医療的、また救急隊としての補足を書いていきます。
ストーリーには直接関係ないので、興味がない方は飛ばしていただいて大丈夫です。
医学的にどう考えて作ったのか、病気や怪我について、救急隊の動きや考え方などを知りたいという方向けに、なるべく簡単に書いていきます。
興味のある方はぜひご覧ください!
Case1 有翼種の気嚢破裂
こちらはお腹を打った衝撃で気嚢が破れ、気胸という病気になったという想定で作りました。
鳥は効率の良い呼吸をするために気嚢という空気を溜める袋を持っており、それがお腹まであります。
今回はそれが片方破れてしまい、片方の肺が正しく機能しなくなったというわけです。
ここで怖いのは緊張性気胸です。
聞き慣れないと思いますが、普通の気胸の最終形態とでも考えてください。
これは肺に入った空気が肺の穴から出て、胸の空洞に溜まってしまう病気です。
何が怖いか。
肺も心臓も空気に押しつぶされ、動かなくなることです。
とても怖いですね……
こうなってしまうと、胸に針を刺したり管を通したりして、空気を抜かないといけません。
ちなみに救急隊はこの処置を行えませんので、すぐ病院に運びます。
次に、ロワルたちの動きについてです。
まず顔を押さえていたのを覚えていますか?
これは神経を守るための処置です。
もし首を動かして脊髄を傷つけてしまうと、そこから下が麻痺してしまいます。
なので頭を強く打った、車に跳ね飛ばされたなどで救急隊を呼ぶときは首をなるべく動かさず待っていてください!
そのあと、本来でしたら首を固定したまま骨折はないか、身体の中で出血はないかを確認するのですが、ロワルたちは魔法で確認し、動かしても問題ないと判断しました。
レントゲンもエコーも魔法で一発、便利ですね。
次にポーションでの処置です。
想像としては、下級ポーションなら打撲や捻挫、切り傷なら効果的に治せますが、骨折なら曲がったままくっついたり、体の中で出血した場合、出血は止まるけど溜まった血は消えないという感じです。
もし今回はポーションで治療していれば、気嚢の穴が塞がり、しぼんだ肺が復活。
その結果胸の中が狭くなり、緊張性気胸を発症していたかもしれません。
治療院で中級治癒魔法、医療的にいうと脱気を行い一件落着です!
Case2 ドワーフのアナフィラキシー
ドワーフといえば酒!顔が赤ければアレルギーで倒れてもわかりにくいんじゃないか?
ということで、ドワーフのアナフィラキシーでした。
アレルギーを持っている読者の方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?
今回のように材料のわからない酒や料理でアレルギー反応はよく聞く話です。
アレルギー反応が全身に現れ、命を脅かすものをアナフィラキシーといいます。
症状は全身のじんましんや口、喉などの腫れ、呼吸苦、腹痛、嘔吐、血圧低下、意識消失などなど……
今回のドワーフは血圧低下で意識がなくなり、喉の腫れで呼吸ができなくなり、このままいけば亡くなってしまうところでした。
特効薬の存在について
現実世界にも特効薬はあります。
その名もエピペン!
これは1度蜂に刺されたり、アレルギーでアナフィラキシーになるリスクが高い人が貰えます。
使い方は簡単で、アナフィラキシーを発症したら、自分で太ももに注射します。
このエピペンを使うと血圧を上げる効果や腫れを抑えて呼吸を楽にする効果があります。
まさに特効薬ですね。
ですが、改善してもまたすぐ症状が再発する可能性があるので、救急車を呼んで病院へ行くようにしてくださいね。
ドワーフの皮膚の硬さ
鉱山の採掘や鍛治師として働くドワーフは、岩や溶鉱炉で怪我をしないよう、皮膚が非常に頑丈になっています。
それこそ細い針なら刺さらないくらい……
ちなみに私たちに使われる針は、細いものでは0.2mmほどのものから太いもので1.6mmまでサイズがあり、用途によって使い分けられてます。
今回Case1とCase2について補足を書かせていただきました。
ファンタジー世界ということで、あくまでフィクションとして楽しんでいただけると幸いです。
また、医療や救急隊のことで聞きたいことがありましたらコメントに残していただければお答えいたします。
物語の裏にある現実の医療も、少しでも身近に感じていただけたら嬉しいです。
それではこれからも、多種族の入り混じる世界での奮闘をお楽しみください!




