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第7話「小さな命と、新たな道」




それは、ひとつの始まりの知らせだった。


――“陽性”という診断。


妊娠検査薬の結果を受け取り、病院での検査を経て、正式に医師から伝えられた。


「妊娠6週目ですね。……双子の可能性もあります。おめでとうございます」


診察室のその言葉に、美紅は一瞬、呼吸を忘れた。


指先が震える。鼓動が跳ね上がる。


だが、それは“怖さ”ではなかった。

これまでに経験したことのない、特別な感情――

“命を授かった”という、圧倒的な実感だった。



家に戻ると、瑞稀がいつものようにリビングでテレビを見ていた。


「おかえり、美紅。どうだった?」


「……妊娠、してた」


「……っ!」


瑞稀が思わず立ち上がり、数秒沈黙した後、ゆっくりと歩み寄って、美紅を抱きしめた。


「おめでとう。ほんとに、おめでとう」


「ありがとう、瑞稀ちゃん……」


瑞稀の目に、わずかに光るものが見えた。


それを見て、美紅もまた涙をこぼした。



その夜。


帰宅した悠真は、玄関で待っていた美紅の表情から、すぐにすべてを察した。


「……できたんだね」


「うん。6週目。しかも、双子かもしれないって」


その言葉に悠真は目を見開き、すぐに美紅を抱きしめた。


「ありがとう……ほんとに、ありがとう」


「こちらこそ……私を、お母さんにしてくれて、ありがとう」


しばしふたりは、何も言わずに抱き合っていた。



翌日、美紅は自らのInstagramに、一枚の写真を投稿した。


《白いニットの上から、お腹に手を当てて微笑む、横顔のショット》


そして、添えられた文章。



ご報告


いつも応援してくださっている皆さまへ、大切なお知らせがあります。


この度、私・篠原美紅は、新しい命を授かりました。

突然のご報告に驚かれた方もいらっしゃるかもしれません。ですが、今の私の心は、温かく、満ち足りています。


母になるというのは、まだ実感が追いつかないほど大きな出来事です。

それでも、お腹の中に確かに宿る命と向き合いながら、これからの日々を大切に過ごしていきたいと、心から思っています。


体調と赤ちゃんのことを第一に考え、

本日をもって、しばらくの間、モデル・女優としての活動をお休みさせていただくことにしました。


芸能活動を始めてから、数えきれないほどの方々に支えられ、励まされてきました。

私にとって皆さんの存在は、かけがえのない宝物です。


ファンの皆様、関係者の皆様、

そして、どんな時も私を信じて応援してくださったすべての方へ――

心から、感謝の気持ちをお伝えしたいです。


そして何より、夫である彼と、ふたりで支え合いながら、新しい家族を迎える準備をしています。

彼が隣にいてくれることが、今の私にとって一番の安心であり、希望です。


これから母として、ひとりの人間として、また少しずつ成長していけたらと思います。


どうか、これからも温かく見守っていただけたら幸いです。


また皆さんの前に立てる日まで、しばしの間、お時間をください。


20○○年 ○月○日

篠原 美紅



投稿は瞬く間に話題となった。


「え、美紅ちゃんママになるの⁉︎」

「え、結婚してたの⁉︎」

「しかも相手が一般人ってマジかよ……」

「でも、幸せそう……泣いた……」

「これが本当の“推しの幸せを願う”ってやつか……」


コメント欄は、驚きと祝福の声で溢れた。



瑞稀はそのコメントの一つひとつを見ながら、美紅の背中をそっと支えていた。


「これから大変だよ。でもさ……私たちなら、いけるよね。3人なら」


「うん。……私、絶対に幸せな子にする。悠真くんと、あなたがいれば――絶対に大丈夫だから」



その頃――


悠真は、大学4年生として、就職活動の準備を本格的に始めていた。


「……父親になるって、こういうことなんだな」


カバンの中には、複数の会社資料と、面接練習ノート。

顔には迷いのない表情が宿っていた。


“君のために、家族のために。俺は未来に歩き出す”



最後まで読んでくださり、ありがとうございます!

もしこの物語に少しでも「面白い!」と感じていただけたなら——


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その一つひとつが、次の章を書き進める力になります。

読者の皆さまの応援が、物語の未来を動かします。


「続きが気になる!」と思った方は、ぜひ、見逃さないようブックマークを!

皆さまの応援がある限り、次の物語はまだまだ紡がれていきます。


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